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2009年09月17日  - No.37 - 3

ニューヨーク市の場外馬券発売公社、民事再生を申請(アメリカ)[開催・運営]


 デヴィッド・パターソン(David Paterson)ニューヨーク州知事の9月1日の発表によれば、ニューヨーク市の場外馬券発売公社(New York City Off-Track Betting: NYCOTB)は破産を回避し、企業再編・人員削減と債務軽減により再建を図るため、連邦破産法第9章に基づく破産保護(民事再生手続)を申請した。

 ニューヨーク州は2009年7月に破綻したNYCOTBを引き継いだ。ニューヨーク市のマイケル・ブルームバーグ(Michael Bloomberg)市長はNYCOTBを救済するよりもむしろ閉鎖するように迫った。しかし、閉鎖するだけで6億ドル(約600億円)もの費用が掛か り、今後約40年分の年金を支払う義務を負っているという事情があった。

 NYCOTBは、ニューヨーク競馬協会(New York Racing Association: NYRA)に1400万ドル(約14億円)、サラブレッド生産振興団体であるニューヨーク生産・開発基金(New York Breeding and Development Fund:NYBDF)に150万ドル(約1億5000万円)の債務を負っている。7月と8月の競走の賞金に対するNYBDFからの補助金は、10月に支 払われる予定であったが延期されるだろう。

 パターソン知事は、「NYCOTBのビジネスモデルは倒産するように設計されていたようなものです」と述べた。

 パターソン知事が3ヵ月前に、NYCOTBの徹底的な経営見直しを行わせるために、NYCOTBの会長に任命したのがナスダック(National Association of Securities Dealers Automated Quotation: NASDAQ)の副会長マイヤー・“サンディ”・フラッチャー(Meyer "Sandy" Frucher)氏であった。

 フラッチャー氏は、「私見ですが、NYCOTBは発足当初にすでに欠陥がありました」と述べた。

 同氏は、「年間10億ドル(約1000億円)の賭事売上げがありますが、NYCOTBは2010年第1四半期には資金繰りがつかなくなるでしょう」と述べた。

 また同氏は、「再建計画を遂行するには関係者全員に正真正銘の重圧がかかります」と述べた。

 数ヵ月中に連邦破産裁判所に再建計画が提出されその承認を得たあと、再建計画は州議会で審議されることになる。NYCOTBの経営を悪化させた原因と言われている厄介な法定納付金債務を減額するためには、州議会の承認が必要である。

 NYCOTBはニューヨーク州内にある6つの場外馬券発売公社の1つである。場外馬券発売公社は互いに独立して運営され、州のサラブレッド競走および繋 駕競走の競馬場とも競合しており、それが赤字の原因となっている。フラッチャー氏は、「他州は場外馬券発売公社と競馬場の共存関係ができています。ニュー ヨーク州では場外馬券発売公社と競馬場が競合関係にあり、発足当初から問題があったのです」と述べた。

 NYRAのチャールズ・ヘイワード(Charles Hayward)会長は、「NYCOTBの賭事売上げの30%はNYRAの競走により生み出されたものです。これからは、NYRAとNYCOTBが密接に協力して事態を切り開くことが重要になるでしょう」と語った。

 しかし、合併や共同経営の可能性については明らかにされなかった。パターソン知事もフラッチャー氏も再建に際し、どの程度の雇用が失われるか述べなかったが、ニューヨーク市は年金と関連する給付金を支払うことを余儀なくされる。

By Paul Post
(1ドル=約100円)

[thoroughbredtimes.com 2009年9月1日「New York City OTB to file for bankruptcy」]


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