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海外競馬ニュース
2009年06月25日  - No.25 - 3

ケンプトン競馬場、オーケストラ伴奏 つきの競馬を施行(イギリス)[開催・運営]


 競馬場で音楽会を開催するのは、決して珍しくない。しかし、ケンプトン競馬場は音楽と競馬との境界線を取り払い、オーケストラ伴奏つきの競馬を施行する初めての競馬場となる。

 障害馬場周辺に陣取ったロイヤル・フィルハーモニック管弦楽団(Royal Philharmonic Orchestra)により生演奏されるウィリアム・テル序曲は、7月8日の2200 mのハンデキャップ戦の競走中に場内放送される。すでに、この構想は英国競馬統括機構(British Horseracing Authority: BHA)の承認を得ている。

 人気のあるクラシックの楽曲で、かつてのローンレンジャー(訳注:西部劇を題材としたテレビ・ラジオドラマ)やテレビ番組のテーマ音楽であったこの序曲は、先頭の馬群がゴール板に近づくときに最高潮に達するだろう。

 世界的に優れた会場と耳の肥えた聴衆には慣れている“ロイヤル・フィリー・モニック管弦楽団(Royal Filly-Monic Orchestra)”にとって、この催しは新境地を開拓することになり、くだけた格好の観客が醸し出す競馬場の雰囲気を体験することになるだろう。

 楽団のメンバーにとって、シロホン(木琴)からチューバ(金管楽器)までの一式を競馬場に運搬し、指揮者の前で演奏するよう言われたのは初めての経験 だ。そして演奏のためにレースの実況が中断された際に、観客がどのような反応を示すかは、予想出来ない事柄の1つである。ただし、場外の実況放送は影響を 受けず、ケンプトン競馬場のグランドスタンドにおいてもラジオで実況放送を聴くことが可能である。

 馬主や調教師が、ジョアキーノ・ロッシーニ(Gioachino Rossini)作曲の最高傑作をバックに行うレースに管理馬を出走させることに不安を感じるかどうかにも興味をそそられる。ケンプトン競馬場の最高経営 責任者エイミー・スターキー(Amy Starkey)氏は、この趣向が広く支持されることを確信し、「馬の精神衛生面でも安全面でも懸念はありません。馬にとって大観衆の発する叫び声に比べ て、音楽は耳障りではないでしょう」と述べた。

 管弦楽団の最高責任者であるイアン・マクレー(Ian Maclay)氏は次のように語った。「風変わりなリサイタルで演奏したことはありますが、競馬場での演奏は初めてです。きっと最高にエキサイティングなものになるでしょう」。

 「心を奮い立たせる音楽を聞くと、人間はさらに速く走りますが、馬がどのような反応を見せるか楽しみです」。

 「馬と騎手を奮起させる一助となることを期待して、ギャロップのリズムが特徴のウィリアム・テル序曲を選びました」。

 スターキー氏は次のように語った。「これは私たちがロイヤル・フィルハーモニック管弦楽団とともに取組む目新しいアイデアであり、当日の第3レースは ウィリアム・テル序曲に合わせて競われるでしょう。馬がゴールに近づく頃に音楽がクライマックスに達するよう正確に時間調整される予定です」。

 「BHAは私たちの企画に満足しています。ケンプトン競馬場を訪れたことのない人々を競馬場に誘致する新たな取組みだからです。是非、成功してほしいと思っています」。

By Graham Green

[Racing Post 2009年5月28日「Blow me! It’s racing to music」]


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