エプソム競馬場の新グランドスタンドが 竣工(イギリス)[開催・運営]
エプソム競馬場の新グランドスタンドは日程通りにほぼ予算内で竣工し、4月22日に公爵(Duchess:女性の公爵)を迎えてお披露目された。
新グランドスタンドにはコーンウォール公爵(Duchess of Cornwall)を迎え、その名称を“公爵スタンド”と命名する予定である。アンソニー・ケイヴ(Anthony Cave)場長は、同競馬場の親会社ジョッキークラブ競馬場社(Jockey Club Racecourses: JCR)による総工費3800万ポンド(約64億6000万円)の再開発事業が完了し、感無量であると述べた。
ケイヴ場長は、「新グランドスタンドの竣工は、すべての関係者が長年にわたる計画と建設の過程で払ってきた努力の賜物です。以前の状況を思い起こしてみ ますと、1914年に建てられた管理棟は老朽化し、1927年に建てられたスタンドでは、飲み物を最上階の貯蔵室に運ばなければならず、レース開催日には そこから各階に運ばなければなりませんでした」と述べた。
エプソム競馬場の4月開催は2年ぶりであったため、観衆の反応は概ね良好であった。
エプソム競馬場の常連客でウォーキング(Woking)出身のトニー・スミス(Tony Smith)氏は「エプソム競馬場は、アスコット競馬場から教訓を得たようです。新スタンドは確かに観客が求めるとおりの造りになっています。観客席の段 差は非常に良く、眺めも遮られることなく、パドックもスタンド裏に配置されており、大変よくできています。ダービーがどのように施行されるか大きな関心と 期待を持っています」と語った。
レーススポンサーであるブリタニアクレスト・リサイクリング社(Britaniacrest Recycling)の取締役レスリー・フォス(Lesley Foss)氏は、従来、クイーンズ・スタンドの3階の特別観覧室を借り切って12名ほどの招待客をもてなしてきた。
同氏は新しくできた特別観覧室について、「サービスも良いです。ここからの眺めは、前の特別観覧室より良いと思います。眺望が良いことは接客上重要な要素です。また、広さも20名まで収容できて完璧です」と評価した。
この日2競走に出走させたジョン・ゴスデン(John Gosden)調教師は、「本当によく設計されたグランドスタンドです。エプソム競馬場の関係者はよくやってくれました」と総括した。
新しいスタンドを“素晴らしい建物”と表現したエプソム競馬場の代表取締役ニック・ブロフェルド(Nick Blofeld)氏は、来賓のコーンウォール公爵を新しいスタンドに迎える直前にヒューズが飛んで停電になったときでさえ冷静さを保っていた。これによ り、3人のメディア関係者が新スタンドのエレベーターに20分閉じ込められた。
同氏は「新スタンドの“雰囲気”にとても満足しています。とりわけ、クイーンズ・スタンドと並んで立つ姿は素晴らしいです。この新スタンドが公共の区域 であり、現在の経済不況のなかで事業を推進して行くための場所であることを銘記する必要があります。エプソム競馬場の開催日数は法令で16日に制限されて おり、実際には14日開催する予定ですが、競馬場施設は通年稼動させるべきです。競馬が施行されない日でも会議室や展示会場、結婚式会場などとして、他の 用途に利用すべきです」と付言した。
JCR の上席執行役員ポール・フィッシャー(Paul Fisher)氏は、予算計上されていた積立金は、厩舎スタッフ用の宿舎などの整備に利用される予定であると語った。
予期していなかった問題で、積立金の取崩しが必要になるかもしれない。ブロフェルド氏は鳩の糞害対策に2万ポンド(約340万円)支出したが、この手の 自然災害を完全に解決することは難しく、鷹の専門家からのアドバイスをはじめ、更なる配慮が必要であることを明らかにした。
By Howard Wright
(1ポンド=約170円)
[Racing Post 2009年4月23日「Grandstand Opens on time and under budget」]