所有馬が5連勝した強運馬主(イギリス)[その他]
たぶんイギリス最大のインターネット・ビンゴ事業者であるキャッシュケード社(Cashcade)を率いるマイケル・バックリー(Michael Buckley)氏の所有馬が5レース連続で優勝した。商売柄、数字には敏感であり、競馬の記録にも詳しいようだ。だから、彼はこの度の5連勝を“驚異 的”と表現したのだ。
バックリー氏は、ケンプトン競馬場の障害競走において、3月23日の2連勝に続き、4月20日に3連勝し、5連勝という快挙を成し遂げた。いずれもニッ キー・ヘンダーソン(Nicky Henderson)調教師とアイルランドのバリー・ゲラーティ(Barry Geraghty)騎手とのチームによるものだ。5連勝は、彼にとっては信じられないような出来事であり、40年間競馬に携わってきた同氏だが、ハットト リック(3連勝)の記録でさえ1回しかなく、彼自身それを思い出せなかったほどだ。
同氏は40年間に馬主として様々な浮き沈みを経験してきた。なかには、1976年ヘネシーゴールドカップ(障害G3)をゼタズサン(Zeta’s Son)で制した同じ日に、自身が大半の所有権を有していたグランドキャニオン(Grand Canyon)が米国のコロニアルカップ(障害G1)を制するという高揚感を味わったこともある。
しかし、バックリー氏はまた、1990年に“最高馬”と確信していたザプロクラメーション(The Proclamation)が、アスコット競馬場で致命傷を負う惨事を目の当たりにするという悲哀を味わったこともある。しかも、同氏はその後2年続けて 1頭ずつ同競馬場で所有馬を亡くしている。
ストロンボラス(Strombolus)を管理し1978年にホイットブレッド・ゴールドカップ(障害G3:現Bet365 Gold Cup)の勝利をもたらしたピーター・ベイリー(Peter Bailey)調教師の引退後、バックリー氏は1980年代にヘンダーソン調教師とコンビを組み、1989年にもビル・シャンド・キッド(Bill Shand Kydd)氏と共有のブラウンウィンザー(Brown Winsor)で同競走を制した。
その他、バックリー氏の勝負服で活躍した馬のなかには、サムズアップ(Thumbs Up)、ムターレ(Mutare)およびニューヨークレインボウ(New York Rainbow)がいる。
同氏は次のように述べた。「辛いことや嬉しいことがいろいろありました。3年続けてアスコットで所有馬を亡くした私の愛馬の1頭が多くの馬が転倒・落馬 する中、最下位で完走したときのことを思い出します。裁決委員が全員押し寄せてきて、私の馬がレースで生き残ったことに感動したと口々に言いました」。
「70年代には、立て続けに3頭の優勝馬に巡り会えました。ストロンボラスがウィンカントン競馬場のハードル競走を制し、ゼタズサンがバジャービア・ チェイス競走を制し、プリンスロック(Prince Rock)も他の競走を制しました。しかし、5レース連続で優勝するのは驚異的です」。
「ヘンダーソン調教師をはじめ厩舎全員にとっても非常に嬉しいことでしょう。そしてゲラーティは実に素晴らしい騎手です。他方、ミック・フィッツジラルド(Mick Fitzgerald)騎手の引退は残念です」。
「フィッツジラルド騎手がキャリアを積み始めた頃から知っており、彼が初めてヘンダーソン調教師にもたらした勝利は、私の所有馬の1頭ビリーバスゲイト (Billy Bathgate)によるものです。同騎手はいつも我々の身近にいますが、彼の引退はさびしいことです」。
「たとえモハメド殿下(Sheikh Mohammed Al Maktoum)でも5連勝は滅多にないことだと思います。私のような者にとってはなおさら特別なことです。」
6連勝がかかっている同氏は、「私の次の出走予定馬は、除外されなければ、4月23日にアイルランドのパンチェスタウン競馬場で初出走するユーアマイ ワールド(You’re My World)となるでしょう。同馬はジェシカ・ハリントン(Jessica Harrington)氏と共同所有しています」と付言した。
By Graham Green
[Racing Post 2009年4月23日「Five wins in a row a case of ‘man alive’ for Buckley」]