エイントリー競馬場、指定席券斡旋業者が破産して大混乱(イギリス)[その他]
2008年4月2日〜4日のエイントリー開催を観戦するため、熱心な競馬ファンが総額およそ25〜30万ポンド(約4250〜5100万円)を支払って指定席券を購入したが、チケット予約代行業者の倒産により、指定席券を手に出来ないことになった。
エイントリー競馬場が3月31日発表したところによると、3月末ネーションワイド・スポーツ・ホスピタリティー社(Nationwide Sports Hospitality Ltd.: NSH)が倒産して以来、同社を通して指定席券を予約した人々から約100件の問い合わせがあった。その中にはプライベートな特別室を予約するため1万ポ ンド(約170万円)支払った者もいた。
エイントリー競馬場の経営陣は被害者に同情するものの、問い合わせに対して同競馬場とNSHとは無関係なので救済できないと答えた。
以前馬主であったリンカンシャー州マーブルソープ出身のダンカン・アーノルド氏(Duncan Arnold)は、4月2日にエイントリー競馬場で家族や友人と一緒に自身の50歳の誕生日を祝うためNSHへ3200ポンド(約54万円)支払った。3 月31日、改めてエイントリー競馬場から2000ポンド(約34万円)の指定席券を購入した同氏は怒りをあらわにした。
アーノルド氏は次のように述べた。「この問題について初めて知ったのは、NSHが倒産したという電話を受けた3月27日です」。
「エイントリー競馬場も実際に“厳しい問題だ”と言いました。被害を受けたのは私だけではありません。明らかに競馬場は、被害者から数百件の問い合わせ を受けたでしょう。ご想像いただけると思いますが、かなり不満です。それでも週末に競馬場へ行けるようにするために、エイントリー競馬場から改めて指定席 券を購入したのです」。
「精算人の話によると、NSHの関連会社であるネーションワイド・トレード・ホスピタリティー社(Nationwide Trade Hospitality Ltd.:NTH)はエイントリー競馬場に指定席券の前払金を一部支払っていますが、チケットは受け取っていません。エイントリー競馬場がNTHから前払 金を受け取ったままになっています」。
被害を受けた人々の中にはエイントリー競馬場のマーケティングマネージャーを務めるエマ・オーウェン氏(Emma Owen)の義理の兄弟も含まれる。オーウェン氏は、「私の兄弟は1万ポンド(約170万円)を支払ったのですが、なぜ私でなくエージェントを通じてチ ケットを購入したのか分かりません」と述べた。
オーウェン氏は、NSHの多くの顧客が売込みの電話を受けたと確信しており、「このような形で多くの人が失望させられたことに大変がっかりしていますし、これは最悪です」と話した。
「エイントリー競馬場はNSHと全く関係ありません。私たちはいつも顧客に対し、指定席券を購入する際は今回のようなリスクを避けるために、競馬場から直接購入するよう勧めています。そうすれば法的に権利主張できます」。
「当競馬場への電話による問い合わせは、数えてはいませんが、おそらく100件近くあったと思います。かなり多額の前払金が絡んでいます。これらの人々は指定席券を購入したと主張していますが、当競馬場では一度も受け付けていないのです」。
「関係者全員にとって大変厄介な話しです。私たちは問い合わせ電話を上手く処理しなければならないし、被害者はお金だけでなく素敵な外出の機会をも失ったわけですから」。
「NSHとNTHのつながりについて私は把握していませんが、事の真相を究明するために情報を収集しています」と、アーノルド氏は続けた。
グラスゴーを拠点にするテノン・リカバリー社(Tenon Recovery)のグラハム・マッキンタイヤー(Graham McIntyre)氏が精算人になっている。
By Graham Green
(1ポンド=約170円)
[Racing Post 2009年4月1日「Aintree hospitality buyers in turmoil as firm goes bust」]