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海外競馬ニュース
2008年03月06日  - No.9 - 1

競馬場、BHAの開催日数削減計画に反対(イギリス)[開催・運営]


 英国競馬統括機構(British Horseracing Authority: BHA)が2009年開催日数を削減することを目論んでいることについて、競馬産業は競馬場協会(Racecourse Association: RCA)のデーヴィッド・ソープ会長を先頭としてBHAに猛抗議を行っている。

 BHAの最高経営責任者ニック・カワード(Nic Coward)氏は最近アイルランドで行われた公開の会合において、数年にわたって拡大されたイギリス競馬の開催日数がついに削減されることを明らかにした。しかし半年をかけた徹底的な戦略見直しは、間違いなく再考を迫られるだろう。

 この決定は、2007年5月に開始されたBHAの徹底的戦略見直しに付随するものであるが、競馬場はあくまでも抵抗する構えであり、ニューマーケットの調教師たちと手を組むことも考えられる。

 調教入りする2歳馬が急増しているという現実は、開催日数の削減が必要であるとするBHAの確信を揺るがす可能性がある。

 2008年の開催日数は史上最多の1,504日まで拡大された。ソープ会長は先頭に立ってその数字を死守する構えである。

 同会長は、「競馬開催は、サッカーやクリケットの試合ほど多いわけではありません。量をとるか質をとるかの議論をするのは、あまりにも単純すぎます。RCAは開催日数に対する競馬場の権利を主張します」と述べた。

 サラブレッドが生産過剰であるために、ニューマッケットでは多くの2歳馬が調教入りしている。

 スチュアート・ウィリアムズ(Stuart Williams)調教師は、「私たちの厩舎には昨年の2

 倍の2歳馬がおり、2008年には多くの厩舎でこれ以上に2歳馬が増加しているでしょう。イギリス全体が同じ状況であるのか分りませんが、2007年に多くの1歳馬が売れ残り、そのため2008年に多くの生産者がその馬たちを調教入りさせたのだと思います」と述べた。

 競走馬頭数は2007年4%増加し1万5,000頭以上となり、まだ増加傾向にある。これが開催日数拡大論に拍車をかけることになるだろう。

 イギリス馬主協会(Racehorse Owners’ Association: ROA)は、表向きはBHAの戦略見直しを待っているが、意見は明らかに分かれている。

 ROAの委員会メンバーであるスティーヴン・スミス(Stephen Smith)氏は、開催日数は絶対に削減すべきであると考えている。

 同氏は、「BHAの開催日数再検討は抜本的なものでなければなりません。まずレース数の過剰問題に取り組む必要があります。レース数を少なくとも20%削減することで、賞金額は増加します」と述べた。

 スミス氏の極端な見解への反響はないが、ROAの最高経営責任者マイケル・ハリス(Michael Harris)氏は2月3日、「ROAが開催日数削減に賛成することなどありえません。私たちは、出走機会を減らすことに同意したくはありません。賞金が多くのレースに薄く配分されることが、開催日数の過剰論を巻き起こすのです。BHAの勧告を見てからROAの対応方針を決めます。多くの馬主が適切な出走機会が与えられないことに不満を持っているように、同様に賞金レベルに不満を持つ馬主も多いのです」と述べた。

 サラブレッド生産者協会(Thoroughbred Breeders' Association: TBA)のフィリップ・フリードマン(Philip Freedman)会長(辞任予定)は、カワード氏も出席した会合で、「生産者たちが過剰生産の影響によりセリの不振に苦しんでいるときに、開催日数を削減することは、生産者がすでに直面している問題を悪化させるように思えます」と述べた。

 フリードマン会長は、開催日数削減が行われれば、それは“非常に質の低いレースで、生産改善目標の意義が見出せないようなレース”に絞ったものとなるだろうと語った。

 勧告は、3月に決定する2009年開催日数方針に反映される予定である。

By Bruce Jackson

[Racing Post 2008年2月4日「Courses set to fight BHA plan to cut fixtures」]


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