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海外競馬ニュース
2008年12月25日  - No.51 - 3

香港で騎乗停止処分中の騎手に豪州が免許付与(香港)[その他]


 香港ジョッキークラブ(Hong Kong Jockey Club: HKJC)による騎乗停止処分中のクリス・マンス(Chris Munce)騎手に、豪州で騎手免許が交付された。HKJCの最高経営責任者ウィンフリード・エンゲルブレヒト=ブレスケス(Winfried Engelbrecht-Bresges)氏がその措置を非難し、事態は深刻化している。この国際的な紛争が解決するまでかなり時間を要するであろう。

 香港で騎乗していたマンス騎手は、内部情報漏洩に関与した罪で2006年5月から20ヵ月間の禁固刑に服し、2008年10月31日に釈放された。さらに同騎手は、HKJCに対し36件の競馬施行規程違反を認めたため、HKJCは30ヵ月間の騎乗停止処分を言い渡していた。

 ところが、豪州のニューサウスウェールズ州の競馬統括機関のレーシングNSW(Racing NSW)は、香港で騎乗停止処分中のマンス騎手に同州内で騎乗できる騎手免許を付与した。同騎手は12月12日にサウスウェールズ州シドニーのランドウィック競馬場でカムバックを果たした。

 ブレスケス氏はこの措置に対し失望の意を表明し、「私たちが懸念しているのは、将来ルール違反が発生した際に、香港が課した制裁処分を他の競馬統括機関でも尊重するかどうかという問題について、豪州の競馬統括機関が恣意的に決めるという事態に陥ってしまうことなのです。相互協力の精神なしに、競馬の国際化に取り組むことができるでしょうか」と語った。

 ヴィクトリア州の競馬統括機関であるレーシングヴィクトリア(Racing Victoria)は、マンス騎手の件について、もし同騎手が免許申請をしてくれば、免許の可否はケースバイケースで判断されるだろうとレーシングNSWよりの考えを示した。

 ニュージーランドおよびクイーンズランド州の競馬統括機関は、国際協定の精神のもと、HKJCの決定を尊重すると述べた。

 HKJCのブレスケス氏はレーシングNSWの決定に対して、ルールの相互適用に関する国際協定[訳注:具体的には競馬統括機関連盟の『生産ならびに競馬に関する国際協定』の第10条。同条は競馬国に他の国の統括機関の制裁措置を原則として自動的に適用するよう求めている。オーストラリア競馬評議会(Australian Racing Board:ARB)が豪州を代表して署名]を尊重していないと非難した。

 ブレスケス氏は、豪州の競馬放送TVN(channel TVN)において、レーシングNSWがHKJCの制裁措置を無視したことについて、正当な理由は認められないと述べた。

 ブレスケス氏は、「マンス騎手は起訴され、有罪と判定され、同騎手も有罪を認め、控訴しなかったのです。だから、マンス騎手は制裁処分を受け入れたのです。マンス騎手に香港での刑事裁判で自らの立場を主張する機会は十分確保されていました」と述べた。

 ブレスケス氏は、ARBにこの問題を調査・検討する会合を開くように求めた。同氏は、この問題は香港と豪州の関係を危うくし、競馬ルールにおける国際協定の基礎を崩す恐れがあると主張した。

 (訳注)ARBは、州単位の統括団体の合意によって、豪州全体にわたる相互調整・決定機能を果たす全国的な組織で、国際的に豪州を代表する。

By Nicholas Godfrey

[Racing Post 2008年12月14日「Hong chief hits out at Aussie decision to grant licence」]


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