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海外競馬ニュース
2008年07月17日  - No.28 - 1

不可解なビッグブラウンのベルモントS大敗(アメリカ)[その他]


 6月7日のベルモントS(G1)で惨憺たる結果に終わった二冠馬ビッグブラウン(Big Brown)に何が起こったのであろうか。解明の糸口はほとんど掴めないまま、次走計画は進んでいる。

 ベルモントSで失速し勝利を逃してから4日後の6月11日、ビッグブラウンはアケダクトで調教を再開した。ベルモントSでの成績は、これまで三冠獲得を有力視された馬のなかで最悪であった。

 ケンタッキーダービー(G1)とプリークネスS(G1)の勝馬である同馬には、リチャード・ドゥトロー(Richard Dutrow)調教師とスタッフによる一連の馬体検査が行われ、6月11日には血液の綿密な検査が実施された。

 ドゥトロー調教師の厩舎の馬を診察しているグレッグ・べネット(Greg Bennett)獣医師は、「ビッグブラウンの健全性にはまったく問題がありませんでした。ベルモントSで右後肢の蹄鉄が大きくずれている写真を見ましたが、それが競走にどれだけの影響を及ぼしたかは分かりません」と述べた。

 ビッグブランの馬主であるIEAHステーブル(IEAH Stable)の共同所有者マイケル・イアヴァロン(Michael Iavarone)氏は、「ベルモントSでのビッグブラウンの競走内容には無数の疑問があります。まだ疑問はまだ解けていませんが、同馬は8月3日にモンマスパーク競馬場で施行されるハスケル招待ハンデキャップ(G1)に向けて調教を開始しました」と述べた。

 イアヴァロン氏は6月13日、「今後のレースに向けて調教している間は、まずハスケル招待ハンデキャップが当面の目標です。なぜビッグブラウンが残念なレースをしたかを解明するつもりですが、今のところ原因は不明です。ベルモントSでは気温が高かったことがこたえたのかもしれません。ハスケル招待ハンデッキャップは2ヵ月後という良いタイミングで施行され、8月23日サラトガ競馬場で施行されるトラヴァースSよりも少し涼しいはずです。敗因と言われている気温の問題を払拭できれば、上手く行くでしょう。この出走間隔は適切ですし、ビッグブラウンも私たちも準備万端です」と語った。

 同氏は、「馬体に何らかの問題が見つからないかぎり、ベルモントSでの失敗を忘れて、前進し、次のレースに臨むしかありません」と付言した。

 ドゥトロー調教師によれば、ビッグブラウンには5月3日のケンタッキーダービーの勝利の後、アナボリック・ステロイドであるウィンストロールは投与されていない。このことからメディアは、毎月行っていた注射を5月に欠かしたことが同馬のベルモントSでの敗因となったという憶測を広めたが、ベネット獣医師はこの憶測を一蹴した。

 同獣医師は、「私はステロイドの問題は全く影響を与えていないと思います」と述べた。

 ビッグブラウンはプリークネスS優勝からベルモントSまでの期間中、左前肢の裂蹄により3日間調教ができなかった。ベネット獣医師は、ステロイド問題ではなくこのことが原因だったようであると述べた。他方、ドュトロー調教師は、「調教の中断がこの大敗の原因となったとは思いません」と語った。

By Jeff Lowe, Frank Angst and John Scheinman

[Thoroughbred Times 2008年6月21日「Big Brown’s Belmont flop still a mystery」]


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