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海外競馬ニュース
2007年10月18日  - No.40 - 4

コブラ毒所持のかどで獣医師に5年間の業務停止処分(アメリカ)[その他]


 ケンタッキー州の裁決委員は、複数の罪状によりロッド・スチュワート(Rod Stewart)獣医師に5年間の業務停止処分を言い渡した。その中には神経を遮断する薬剤として使用したとされるコブラ毒のアルファ・コブラトキシン(Alpha-Cobratoxin)所持による4年間の業務停止処分が含まれている。

 ケンタッキー州競馬統括機関(Kentucky Horse Racing Authority: KHRA)の調査員は、キーンランド競馬場にあるパトリック・ビアンコーヌ(Patrick Biancone)調教師の厩舎を6月22日に捜査した際に、コブラ毒が入った3つの薬瓶を発見したと語った。

 KHRAによれば、その時厩舎にいたスチュワート獣医師の診療車も捜査され、コブラ毒も車内から発見された。

 KHRAの常任理事であるリサ・アンダーウッド氏は、「私たちは裁決委員のこの処置が、ケンタッキー州の競馬規則に違反する者は厳しく処罰されるという明白なメッセージとなることを望みます」と述べた。

 スチュワート獣医師はオーストラリア出身でケンタッキー、ニューヨーク、カリフォルニアで活動している。同獣医師の弁護士であるカレン・マーフィー(Karen Murphy)氏は、処罰は不当なものであるとして控訴する予定である。

 マーフィー弁護士は、「本事案に対しこのような処罰をするのは不当です。北中米競馬委員協会(Association of Racing Commissioners International)のガイドラインでは、コブラ毒の投与に関しては半年から1年の業務停止処分を推奨していますが、本事案では所持というだけで処罰されています」と述べた。

 アンダーウッド氏は、6月22日の捜査は、ビアンコーヌ調教師の管理馬からテオフィリンとカフェインの陽性反応が出たことを受けて行われたと述べた。ザヴァタ(Zavata)を父に持つ2歳牝馬ラズィザ(L’Aziza)が、5月3日チャーチルダウンズ競馬場の未勝利競走に勝ったが、レース後の検査でこれらのBクラス薬物の陽性反応が出た。

 ビアンコーヌ調教師は、この違反に対する処分で、9月5〜19日業務停止処分となった。

 アンダーウッド氏は、「近日中にビアンコーヌ調教師に対して裁決委員の審理が行われるので、調査を続けているところです」と述べた。

 マーフィー弁護士は、スチュワート獣医師は厩舎の捜査とコブラ毒の押収を受けたあと、事情聴取が行われ、その内容はテープに録音されたと述べた。そして、同弁護士にはそのテープは提供されなかったと付言した。

 同弁護士は、「スチュワート獣医師はそこに何があり、どうしてそれがそこにあり、何のために使用したのか、テープの中で話したということです。それは大変重要ですし、処罰内容と考え合わせられるべきです。そのテープは証拠物件とされ、封をされ、ラベルを貼られておりますが、裁決委員には、詳しい背景と、行為内容が十分に説明されています」と語った。

 マーフィー弁護士は、スチュワート獣医師は馬にコブラ毒を投与していないが、コブラ毒は馬の治療に使用されており、それは後趾(指)の神経を切断する外科手術である切神術(heel nerving)に代わる手段であると述べた。

 同弁護士は、「私たちは皆、競走馬が脚に問題を抱えていることも、切神術の必要が生じることも心得ています。そのことに間違いはありませんが、コブラ毒の投与はこの最後の手段としての手術を避けるためのものであり、それゆえRCIは乱用の可能性があるとしながらも、治療薬としてコブラ毒を第2類に認めています」と述べた。

 スチュワート獣医師は、使用することで中枢神経系の刺激伝導物質であるドーパミンレベルを増やすと考えられている2つの薬物、カルビドパ(carbidopa)とレボドパ(levodopa)所持のかどで、1年間の業務停止処分も課された。カルビドパとレボドパはケンタッキー州の分類ではクラスAの薬物である。この1年間の処分はコブラ毒による4年間のに加算される。

By Pete Denk

[thoroughbredtimes.com 2007年9月18日「Stewart suspended for possession of cobra venom」]


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