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海外競馬ニュース
2007年05月31日  - No.21 - 1

トート社が過去最高の利益を上げる(イギリス)[開催・運営]


 トート社(Tote)の前期利益が、前々期の2,350万ポンド(約47億円)を超え、3,000万ポンド(約60億円)強に達し過去最高となった。

 競馬界の団体が結成した“競馬コンソーシアム(racing consortium)”が“競馬界”のためにトート社の買い取りの入札に参加しているが、4月中旬にコンソーシアムを構成する競馬場関係者から、トート 社の現行経営陣の能力に疑問が呈された。これに対しトート社の最高経営責任者トレバー・ボウモント(Trevor Beaumont)氏は4月24日に、「経営陣ならびにすべてのスタッフの努力を嬉しくかつ誇りに思います」と述べた。

 3月末までの前事業年度におけるグループ全体の売上高は10%以上増加し、また営業利益は約28%増加した。営業経費は前年度比2%強減少したもよう。競馬界への貢献額は、1,000万ポンド(約20億円)を超えた2005−06年と同水準となる。

 ボウモント氏は、次のように述べている。「当社の事業がどの時点で民営化されるにせよ、私たちは難局に耐える自信があり、他の博戯事業者と同等の条件で 競い合うことを心待ちにしています。当社の法律上の制限が撤廃されることは、我が社の事業の成長をさらに促進することになります」。

 競馬場協会(Racecourse Association)の会長で、競馬コンソーシアムの代表を務めているデーヴィッド・ソープ(David Thorpe)氏が、英国競馬統括機関(British Horseracing Authority)の会長、理事長、株主に宛てた文書に含まれている批判的意見は、4月20日の全国紙に掲載された。

 西インド諸島の訪問から4月25日に帰国するリチャード・カボーン(Richard Caborn)・スポーツ大臣は、トート社の売却に関する競馬界の現在の立場についてソープ氏に説明を求めることになっている。これは、長引いているトー ト社の買収問題に最終的決定権を有するスティーヴン・ティムス(Stephen Timms)財務省主席国務大臣と4月26日に行われる会合に先立つものである。

 トート社の賭事事業を買収するために競馬コンソーシアムとトート社経営陣が提携して行った4億ポンド(約800億円)の入札の前途は、2つの会合の結果にかかっている。

 他方、ボウモント氏と彼のチームは、トート社の経営方法の変更および2005年と2006年に行われた投資が実を結んだことを会合において強調するものと思われる。

 同氏は、次のように述べている。「新経営陣は、全ての事業部門にさらなる成長をもたらし、かつ博戯市場における当社の地位を確立するでしょう。当社は、 国際共通賭金プール戦略に関する計画も、十分に練っており、他の国際賭金プール運営会社との協力および統合をリードしています。この分野では、さらなる成 長のチャンスが期待されます」。

 ボウモント氏は、ソープ氏によって事業計画が“魅力に欠ける”と称された投票部門は、昨年売上16%増と利益30%増を達成したことを明らかにした。

 現在の買収提案が財務省によって拒否された場合、競馬場関係者はトート社の場内投票事業を買収することもその視野においているので、トート社の業績内容に関心を持つだろう。

 パリミューチュアル馬券の場内売上高は、入場者の全体的な減少にもかかわらず約1.75%増加したが、ボウモント氏は、場内投票部門が赤字であることを明らかにした。

 同氏は、投票事業の改善はトート・ダイレクト社(Tote Direct)の利益増および国際的な賭金プール事業によってもたらされたと述べている。トート・ダイレクト社と海外投票運営会社の業績は昨年、それぞれ約25%および45%の伸びを示した。

 トート社は昨年トート・ダイレクト社のパートナーの株式を買い増し、またウィリアム・ヒル社(William Hill)の2,000ヵ所の営業所を社内端末網に組み入れた。

 2006‐07年のトート・ダイレクト社の営業利益は、約400万ポンド(約8億円)に回復すると予想されている。

 トート社の経費には、競馬場へのスポンサー料と手数料に加え、ベッティングショップ施設への設備投資1,500万ポンド(約30億円)強および競馬場再開発事業への支出300万ポンド(約6億円)が含まれている。 

 

(1ポンド=約200円)
By Howard Wright


〔Racing Post 2007年4月25日「Tote records a £30m profit for the first time」〕


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