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海外競馬ニュース
2007年03月15日  - No.10 - 1

ウマゲノムの塩基配列の公開(アメリカ)[獣医・診療]


 2月上旬、国 際ウマゲノム配列解読プロジェクト(International Horse Genome Sequencing Project)は、ウマゲノムの概要塩基配列をデータベース上に公開した。世界中の研究者が利用可能となった。この概要塩基配列は、多くの獣医師が多分 野の研究に大いに役立つと見ている。

 ウマゲノム概要塩基配列解読には、政府出資の国立保健研究所(National Institutes of Health: NIH)の1部門である国立ヒトゲノム研究所(National Human Genome Research Institute: NHGRI)が資金を提供した。そして、マサチューセッツ工科大学(Massachusetts Institute of Technology)とハーバード大学(Harvard University)の共同施設であるブロード研究所(Eli & Edythe L. Broad Institute)で、シャースティン・リンドブラッド=トー(Kerstin Lindblad-Toh)博士の率いるチームによって行われた。

 1,500万ドル(約18億円)をかけたこの取り組みは、長年到達出来なかった精度で、ウマの遺伝を担う物質、DNAの塩基配列を明らかにした。この成 果は獣医学にとって大きな恩恵となるばかりでなく、医学におけるヒトゲノムの分野にも多くのことを教示するものである。ウマについては、骨格筋、筋神経、 心臓血管、呼吸器疾患などヒトに見られものと類似する80以上の遺伝性疾患が確認されている。

 2006年に開始されたウマゲノム配列解読は、ウマゲノムプロジェクト(Horse Genome Project)が行っている。このプロジェクトは、遺伝子構造と生物学的な機能との関係の研究であるゲノム学(genomics)に基づいて、ウマの健 康問題に取り組んでいるウマ獣医師の国際共同事業である。

 今回のウマゲノム配列解読には、ニューヨーク州のコーネル大学(Cornell University)が提供したトワイライト(Twilight)というサラブレッド牝馬のDNAが用いられた。同馬は、母体と胎児の間における免疫反 応のメカニズムを研究するために、国立小児保健発達研究所(National Institute of Child Health and Human Development: NIH)が資金を提供し、ダグ・アンザック(Doug Antczak)教授が指揮して、四半世紀にわたり繁殖してきた少数の馬の1頭である。

 今後、ウマゲノム概要塩基配列解読と、ウマの集団遺伝学とを関連づける論文の公表が予定されている。

 

(1ドル=120円)
By Rachal Pagones


[Racing Post 2007年2月12日「Breakthrough with release of first draft of equine genome」]


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