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TOPページ > 海外競馬情報 > 2019年に新たな英国産馬奨励賞の導入を計画(イギリス)【生産】
海外競馬情報
2018年10月19日  - No.10 - 1

2019年に新たな英国産馬奨励賞の導入を計画(イギリス)【生産】


 "英国生産界の将来は危機にさらされている"と警告する『経済影響調査報告』が発表されたことを受け、サラブレッド生産者協会(Thoroughbred Breeders' Association: TBA)の理事会メンバーであるブライアン・メイヨー(Bryan Mayoh)氏は925日、2019年に"英国産馬奨励賞(British Bred Premium Scheme)"を導入したいという意向を繰り返した。

 この報告(TBAの委託を受けプライスウォーターハウスクーパーズ社が作成)によれば、英国の生産者はその66%が「不採算状態」で危機に瀕しているため、現在のレベルの競馬開催日程を維持することは難しい。

 また、生産者の資本利益率(投下資産当たりの利益)は平均1%~3%にすぎず(対する賭事産業の資本利益率は平均22%)、この数字が改善されなければ、多数の中小規模の生産者が"消滅に直面する"と結論づけている。

 TBAは、この問題に対処するためにいくつかの措置を取ることを約束した。その第一は、英国産競走馬を所有することにインセンティブを与える新たな英国産馬奨励賞の導入である。これは、既存の"プラス10ボーナス制度(Plus 10 programme)"や"障害牝馬馬主賞(National Hunt Mare Owners' Prize Scheme)"を基盤とする。

 TBAの役員たちは、この新たなボーナス制度を2019年に導入することに意欲的である。しかし、そのためにはまず財政的支援を確保しなければならない。この計画は既存の資金提供に加えて、競馬賭事賦課公社(Levy Board)から年間300万ポンド(約45,000万円)の支援を必要とする。

 メイヨー氏は、「新たな奨励賞導入により、すべての問題が確実に解決するわけではない」と強調した。しかしその一方で、同氏はこの計画への財政的支援が今後数週間のうちに確保されることについて楽観的であり、何も措置を取らずに1年をふいにすることがないように、競馬界のリーダーたちに対してこう訴えている。「2019年までほとんど時間が残っていませんが、1年間を無駄に過ごしたくはありません。できなければ翌年に持ち越すでしょうが、その可能性を認めたくはありません。やり損えば、それで失う1年間はとても長い月日になります」。

 メイヨー氏はこの計画の詳細をプレゼンした。ボーナスを受ける資格は登録に基づく。プラス10ボーナス制度へ登録する場合は、当歳馬で150ポンド(約22,500円)、1歳馬で200ポンド(約3万円)、2歳馬で350ポンド(約52,500円)を支払う必要がある。

 有資格馬は2つのカテゴリーに分けられ、ボーナスのレベルが異なる。すなわち、英国拠点の種牡馬を父とする英国産馬が優勝した場合はボーナス全額を受け取れるが、海外拠点の種牡馬を父とする英国産馬が優勝した場合は半額しか受け取れない。

 対象となるのは、平地2歳戦・3歳戦の約850レース、そして平地牝馬限定戦の約150レース、障害約1,900レース。TBAは現在よりもボーナス額を大幅に引き上げることを検討している。

 メイヨー氏はこう語った。「6ヵ月間にわたりこの計画に取り組み、大きな進展がありました。ホースメングループ(Horsemen's Group)は支援してくれていますし、BHA(英国競馬統轄機構)はとても前向きです。この計画はうまく行くはずです。私は楽観視しています」。

 メイヨー氏の仲間であるTBA理事会メンバーのフィリップ・ニュートン(Philip Newton)氏は925日のプレゼンにおいて、TBA2回目に発表したこの経済影響調査報告(1回目は2014年)を"画期的な調査報告"と表現し、対策を講じるように呼びかけた。そしてこの報告が今後の前進に向けた生産界全体における活発な話合いのきっかけとなることを望んでいる。

 ニュートン氏は、競馬の他部門に比べて生産者の資本利益率が取るに足りない水準であることについて、「生産は、競馬産業の礎です。それなのに優先順位が逆になっているように思います」と述べた。

英国のEU離脱について軽視は禁物

 英国がEUを離脱した後の状況の不確実性も、警戒すべき問題として話し合われた。TBAのジュリアン・リッチモンド-ワトソン(Julian Richmond-Watson)会長は特に警鐘を鳴らし、こう述べた。「英国のEU離脱がどのような形で実現しようとも、影響が及ぶでしょう。馬の移動はより困難となり、さまざまな事がとても悪い方向に進む可能性があります」。

 『経済影響調査報告』は、英国・アイルランド・フランスにおいて馬の自由な移動を可能にしていた三国協定が終わることで、レースの施行にかなりの影響が及ぶかもしれないと警告している。現役の障害競走馬の50%以上はアイルランド産である。

 しかしこの報告は、「このような調査結果は、より多くの国が関わる新たな協定が締結されるチャンスに繋がるかもしれない」と指摘している。

前向きになれる手掛かり

 この報告はこれらの懸念にかかわらず、世界トップクラスの競馬と生産を誇る英国の地位を再確認し、前向きになれる手掛かりを提供する。

 英国競馬界がもたらすGDPは、全体で35億ポンド(約5,250億円)と見積もられている。生産界だけで42,700万ポンド(約6405,000万円)であり、19,000件以上の雇用を維持している。

 『2017年世界のトップ100G1レース』のうち英国の競走は24レース。また、『2017年ワールドベストレースホースランキング』の上位100頭のうち英国産馬は24頭である。2番目に多いアイルランドでも18頭。

 BHACOO(最高執行責任者)のリチャード・ウェイマン(Richard Wayman)氏は、この報告についてこう述べた。「『経済影響調査報告』の発表を歓迎しています。これは、英国生産界を支援するための連帯的な責任を際立たせるきっかけとなります」。

 「プラス10ボーナス制度のような生産界のイニシアティブは、近年大きな成功を収めています。英国の生産者の経済見通しが明るくなるように、TBAおよび生産界のあらゆる団体と引き続き取り組んで行きたいと思います」。

By Mark Scully

1ポンド=約150円)

(関連記事)海外競馬情報 2018No.8英国の小規模生産者がますます減少(イギリス)

Racing Post 2018925日「TBA continues push for 2019 introduction of British-bred bonus scheme」]


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