TOPページ > 海外競馬情報 > ベッティング・エクスチェンジの米国上陸に向けて取り組み開始(アメリカ)【開催・運営】
海外競馬情報
2011年05月27日  - No.10 - 3

ベッティング・エクスチェンジの米国上陸に向けて取り組み開始(アメリカ)【開催・運営】


 3月25日にニューオーリンズ州で開催された北中米競馬委員会協会(Association of Racing Commissioners International:RCI)の会議において、ベッティング・エクスチェンジを提供し監視した経験のある人々が規制指針と予防措置を強化する必要性を強調したことで、ベッティング・エクスチェンジは話題の中心となった。

 米国に上陸するベッティング・エクスチェンジは、世界一のベッティング・エクスチェンジの事業体である英国のベットフェア社(Betfair)のような会社を通じて顧客同士で行う賭事である。300万人以上の顧客を有し週に8,000万ドル(約72億円)以上を売り上げているベットフェア社は、米国を拠点とする賭事業者であり競馬チャンネルでもあるTVG社を所有している。

 米国の2州の競馬賭事客は間もなく、ベッティング・エクスチェンジを通じて勝馬と負け馬に賭けることができるようになるだろう。ベッティング・エクスチェンジはまず初めに2012年に施行されるカリフォルニア州の法律によって承認される。ニュージャージー州においては、ニュージャージー州スポーツ・展示施設運営協会(New Jersey Sports and Exposition Authority)がホースメングループによって認可された賭事業者と契約することを承認する法案は1月31日に成立した。

 現在、各州の競馬委員会はベッティング・エクスチェンジが導入されるにあたり、米国競馬の公正確保と福祉を保護する規制を作り出すために奮闘している。

 TVG社の会長でありベットフェア社の競馬国際担当部長であるスティーブン・バーン(Stephen Burn)氏は、ルール作成のプロセスにおいて全面的な協力体制を約束している。

 同氏は次のように語った。「規定に関する限り基準がどこに設定されているかについて、私たちから反対意見が出されることはないと思います。私たちは欧州のように公正が確保されるようルールブックを作成する手助けを行いました。私たちはすべての管轄州の競馬統轄団体と協力しており、私たちの顧客を保護するために米国が高い基準を設けることを望んでいます」。

 バーン氏は、米国の市場との繋がりを強化するためにニュージャージー州でベッティング・エクスチェンジを運営することに強い関心を示しているベットフェア社は、競馬産業を保護するために法律を作成するのを手伝うだろうと述べた。

「私たちの短期の目標は勝馬に賭ける市場で賭事を提供することですが、単勝や複勝の選択肢も用意しています。米国へのベッティング・エクスチェンジ導入が成功を収めるための鍵は、公正確保に掛かっています。ベッティング・エクスチェンジがどのように機能するかということについて人々の理解を得る必要があります」。

 BHA(英国競馬統轄機構)の公正確保・法令遵守・免許担当理事であるポール・スコットニー(Paul Scotney)氏は、BHAがベッティング・エクスチェンジと付き合う上で抱えている懸念のいくつかを共有した。同氏はシステムの乱用に関しては厳重な罰則を科すことを勧告した。

 同氏は次のように語った。「権力を持つ立場にある人々と競馬統轄機関はすべての起こり得る結果を注意深く考慮し、前もってこれらの問題に対応する必要があるでしょう。一旦道を下れば、反対方向に引き返すことは非常に困難です」。

 サラブレッド競馬保安協会(Thoroughbred Racing Protective Bureau: TRPB)の賭事分析担当理事であるカーチス・リネル(Curtis Linnel)氏は競馬統轄機関に対し、スポーツテック社(SportTech)、アムトート・インターナショナル社(AmTote International)、ユナイテッド・トート社(United Tote)およびラスベガス・ディセミネーション社(Las Vegas Dissemination Co.)のような主要企業とともに取り組んでいるTRPBの“賭事トート安全計画(Wagerig Tote Security Initiative)”の最新情報を紹介した。同氏は、TRPBは競馬場がそこで開催するレースに対しベッティング・エクスチェンジの提供を認める契約を締結する前に、将来のベッティング・エクスチェンジ提供会社について質すべき質問を持っていると述べた。

 バーン氏はまた、ベッティング・エクスチェンジが既存のパリミューチュエル賭事プールを食い物にするという共通した懸念にも対応した。

 バーン氏は「私たちが賭事運営免許を得ることができたら、ベッティング・エクスチェンジを提供し、勝馬に賭ける市場に人々を惹きつけるように努めるでしょう。一方で、私たちは馬単(Exacta)と3連単(Trifecta)とピック6(Pick Six 6重勝馬券)を組み合わせて販売することを望みます。私たちは現在米国競馬を食い物にするどころか成長させることができると考えています」と語った。

 同氏は次のように付言した。「英国で行われているのとは違う方法でモデルは作成されるでしょうが、契約の手筈は整えられ、一定の割合が競馬に直接的に還元されるので、控除金は競馬界と分配されるでしょう」。

By Claire Novak
(1ドル=約90円)

[The Blood-Horse 2011年4月2日「Regulators Grapple With Model For U.S. Exchange Betting」]
 


上に戻る