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TOPページ > 海外競馬情報 > ベッティング・エクスチェンジの賭事客はブックメーカーか?(イギリス)【その他】
海外競馬情報
2010年07月06日  - No.13 - 1

ベッティング・エクスチェンジの賭事客はブックメーカーか?(イギリス)【その他】


 ウィリアムヒル社(William Hill)CEOのラルフ・トッピング(Ralph Topping)氏は4月10日、「賦課金収入減少の主な理由は、多くの競馬賭事が、極めて有利な課税措置を享受しているベットフェア社 (Betfair)のようなベッティング・エクスチェンジ提供会社へ移行したためである。BHA(英国競馬統轄機構)はその事を分かっているし、街中の誰 でもその事を知っている」と語った。

 ブックメーカーとベッティング・エクスチェンジとのこの長い論争について、賭事法制が専門のデビッド・ゼフマン(David Zeffman)が法の視点から検証する。

 ブックメーカーたちはここ何年も、ベッティング・エクスチェンジ提供会社は無免許ブックメーカーとして賭事を運営し、政府が従来のブックメーカーに課し ている税金と賦課金の支払いを免れており、不当に有利な立場を享受していると主張してきた。すなわちベッティング・エクスチェンジ提供会社が、政府の税収 を減少させ、競馬産業の賦課金収入を奪いながら不当な競争を行っていると論じた。

 一方ベットフェア社は、自分たちの顧客は粗利益からブックメーカーと同じ手順と率で税金(15%)と賦課金(10%)を支払っていると強く主張する。

 ブックメーカーたちはまた、負け馬に賭ける賭事客は一般の顧客でないのと同様にブックメーカーでもない、また同じ賭事客が勝馬にも賭けることがしばしばあり、馬が負ける方に賭けるのと勝つ方に賭けるのはコインの表裏であると主張している。

 かつてゴードン・スミス(Gordon Smith)大蔵大臣は2004年予算で、“ベッティング・エクスチェンジ提供会社とその顧客に対する課税措置の見直し”を行うと発表した。

 大蔵省はこれを受けて、「我々は、ビジネスの手段として活動しながらも現在課税されていないベッティング・エクスチェンジの利用客グループがいるかどう かについて、より広範囲にわたり検討した。ベッティング・エクスチェンジの活動レベルには明らかにばらつきがあり、大規模な賭事を行う利用客は確かに存在 する。しかしこれらの利用客が、昔から税の網の外にいるただの大口馬券購入者とはちがってビジネスを営んでいると見なすだけの十分な証拠はない」と報告し た。

 これによりベットフェア社は議論に勝ったようで、その後もベッティング・エクスチェンジに対する税制は変更されていない。


ベッティング・エクスチェンジは無免許ブックメーカーをかくまっているか?

 2005年賭事法(2005 Gambling Act: 新賭事法)の制定前は、ブックメーカーの定義は、1963年賭事・ゲーミング及び宝くじ法(1963 Betting, Gaming & Lotteries Act: 旧賭事法)で定められていた。その定義によって、ブックメーカーとしての許可を必要とするのは誰か、および賦課金を支払う義務を有するのは誰かが決められ ていた。2007年9月1日に新賭事法が発効して以降、一連のルールにより賭事免許が必要かどうかが定められ、また、旧賭事法および関連する賦課金計画に おいて定められた全く別の一連のルールにより誰が賦課金支払いの義務があるかが定められている。

 新賭事法の下、賭事のための便宜を図る者は、必ず賭事委員会(Gambling Commission)からの賭事免許を必要とするとされている。“ブックメーカー”という言葉は言及されておらず、ベッティング・エクスチェンジの場合 について言えば、“賭事のための便宜を図る”のはベッティング・エクスチェンジのオペレーターであり、顧客ではない。

 賦課金支払い義務を含む税制対策などから、目抜き通りのブックメーカーがベッティング・エクスチェンジを利用してブックメーカーの業務を行うことがあるかもしれないが、単にベッティング・エクスチェンジの活動をしたという理由で賭事免許が必要となることはない。

 それゆえ法的見解から言うと、ベッティング・エクスチェンジの顧客の中には“無免許ブックメーカーがいる”という主張は、全く間違っている。


このことはベッティング・エクスチェンジの顧客は絶対にブックメーカーとは見なされないということを意味しているのか?

 私たちがまず最初に尋ねなければならないことは、“ブックメーカーであることの法的妥当性は何であるか?”ということである。

 ブックメーカーは、旧賭事法の下では潜在的に賦課金を支払う義務を有し、また、1981年賭事・ゲーミング・税法(1981 Betting, Gaming and Duties Act)の下では、潜在的に賭事税を支払う義務を有する。

 ベットフェア社は、法的解釈として、ブックメーカーとなるには、(1) 賭事の手段を提供し、(2) 賭金を受付け、(3) 賭事客に代わって金を確保し、(4) 払戻金を保証し、(5) 賭事を行うための動機を与え、(6) 誘惑に負けやすい人が利用されないよう、また未成年が賭事を行わないよう保証する、(7) 犯罪を締め出す、ことをしなければならないと主張する。

 そして、「これらのことはベットフェア社がすべて行っており、顧客の誰も行うことはできません。ベットフェア社その他の顧客は、ただ賭事の結果に対する 意見を表明し、負ける可能性がある賭事の総額を提示し、的中すれば配当金を受け取るだけです。ブックメーキングは、最初にオッズを設定すること(ブック メーカーは合法的にオッズを変更する資格がある)や、賭事客が勝ち負けのどちらに賭けるかということとは無関係です。ブックメーキングとは、顧客と向かい 合って信頼される立場になれるかということなのです。このため、ビジネスとして競馬の予想屋のようなことを営むためには、賭事免許が必要になるのです」と 述べる。

 もしベットフェア社の定義が正しいなら、ブックメーカーと見なされるベッティング・エクスチェンジの顧客は、ほとんどいないことになるだろう。しかしそ れは間違っており、法律が述べていることを考慮に入れていない。実際、旧賭事法および1981年賭事・ゲーミング・税法の下において、ブックメーカーは “賭事受付けあるいは賭事取引のビジネスを営む者である”とされている。ベットフェア社が述べたことには一切言及がなく、またベッティング・エクスチェン ジ利用客は賭事受付けあるいは賭事取引を行っていることに疑いはない。重要な問題は、これらの賭事客の中には“ビジネスとして”それを行う者がいるかどう かである。

 “ビジネスを営む”ことが何を意味しているかに関して、はっきりとした法的解釈はないので、法廷はこの表現が “一般的な意味”を持つとの裁定を行うと思われる。より直接的に関連する判例法が欠如している中で、賭事客は払戻金に対して所得税を払う責任があるかどう かに関する1925年のグラハム対グリーン(Graham v Green)の判例が参考になる。取引を行わないビジネスもあり得るが、この判例は、賭事客が“取引”を行っているかどうかについての問題を扱っている。

 判決における重要な点は、裁判所が賭事客への払戻金に課税できると見なすのであれば、賭事客の損失は所得控除可能になるという見方であり、これは論争に大きな影響を及ぼすこととなった論点である。


ベッティング・エクスチェンジ利用客はビジネスを営んでいるのだろうか?

 まず第一に、利用客の中には、ベッティング・エクスチェンジのために用意された部屋にスペースを借り、高速インターネット接続と高速テレビ画像を提供す る者がいるという事実、またレース中のベッティング・エクスチェンジにおいて優位性を得るために、競馬場の観戦部屋を借りている利用客もいるという事実を 考えてみよう。次に、ベットフェア社が、(1) 1時間に1,000回以上の賭けを行う、(2) 1秒につき20以上のデータを要求する、あるいは (3) 一貫して利益をあげている、賭事客には追加料金を課しているという事実を考えてみよう。

 もし裁判所が、このようなベッティング・エクスチェンジ利用客がビジネスを営んでいるかどうかを検討するというのであれば、彼らはたまに賭事を行うただ の賭事客以上であり、ビジネスを営んでいると思われるというのが私の見解である。この結果として、彼らは賦課金と賭事税を支払う責任があるだろう。


大蔵省は2004-05年度に見直しとベットフェア社の立場の支持をしなかったのか?

 確かに見直しは行ったが、それは5年前の政策見直しであり、情報公開法(Freedom of Information Action)の申請を通して得られた公文書によれば、大蔵省の決定は、儲かっている賭事客に課税すると、採算の取れない賭事客もしくは金融市場の投機家 が所得税対策として損害を取引利益で相殺するのを許してしまうかもしれない、という懸念に大きく影響を受けたものであったことが明らかになった。

 財務省と歳入関税局の内部文書には次のように記されている。「直接税担当局は、依然としてベッティング・エクスチェンジをビジネスとは見なしたがらな い。彼らは、ベッティング・エクスチェンジの活動が、税金対策での取引の特徴を十分に有しているとは見なしていない。ベッティング・エクスチェンジの利用 客について、“取引をしている”と見なすことは、数十年にわたって確立された判例法の土台を壊すことになり、また他のタイプの非取引活動、特にシティ(ロ ンドンの金融中心街)におけるデイトレードに対しても“取引と見なす”ことにつながってしまうだろう。最終的には、賭事と他の投機的な損失を課税所得に対 して相殺することを可能にすることで、大幅な歳入損失をもたらしうるだろう」。

 「これらの懸念がある以上、直接税担当局は、ビジネスであろうと取引であろうとベッティング・エクスチェンジ利用客をブックメーカーとは位置づけないこ とを望んでいる。ベッティング・エクスチェンジ利用客に所得税を課すことは、賭事客が“直接税対策のためにビジネスを営むことはできない”としてきた私た ちの長年の立場と相反することになる。私たちは、(賭事客の大半を占める)採算の取れない賭事客が、自身の損失を他の課税所得で相殺できるビジネス形態を 主張するおそれが引き続き懸念されるが故にこの立場を維持する」。

 これらの検討は、現行の法律の下で、賦課金あるいは賭事税のために“ブックメーカー”として活動しているベッティング・エクスチェンジ利用客が存在する かどうか、という純粋な法律問題とはほとんどあるいはまったく関連がない。大蔵省のいくつかの文書は、2004〜2005年に、ベットフェア社の賭事を行 う大口顧客はおそらくビジネスを営んでいると述べている。彼らは次のように疑問を呈している。

 「ベットフェア社の大口馬券購入者は、ビジネスと表現できるやり方で活動しているのだろうか?私たちが見出した証拠は、非常に大口の取引を行っている利 用客の中には年間何万ポンドもしくは何十万ポンドもの賭事を行う者がいることを示している。売上げは数百万ポンドにものぼるが、その純利益はずっと少ない 数字である。とは言っても、最も利益をあげている利用客は、年間10万ポンド(約1,400万円)ほどの所得をあげている。我々は、彼らがオッズの変動に 狙いをつけたり、市場における価格の付け間違いを見つけ出す戦略をとっていると考える。我々はまた、そのようなベッティング・エクスチェンジ利用客の何人 かあるいは全員が、彼らの戦略を支える“ロボット回路”のコンピュータプログラムを駆使していると考える。実際、ベットフェア社そのものが、利用客がソフ トウェアによってベットフェア社の市場とより効率的に連動出来るようにする“開発プログラム”を作動させている」。

 私たちは、これらのベッティング・エクスチェンジ利用客が何を行っているかについての定義に合意するのに苦労した(彼らは社会通念的にブックメーキング を行っているわけではないため)。おそらく、私たちはそのことを“ベッティング・エクスチェンジ市場での投機”と呼ぶことが出来るだろう。

 私たちは、一定のベッティング・エクスチェンジ利用客はビジネスを営んでいるという非常に明らかな証拠を挙げることができるだろう、というのが私自身の見解である。


結論

 あらゆる説を踏まえた上で、法律の現実は比較的単純である。ベッティング・エクスチェンジ利用客は、自身の活動のために賭事免許を必要としない。彼らの うちの何人かが賦課金あるいは賭事税を納める責任があるのかどうかは、彼らがビジネスを営んでいるかどうかの問題にかかっている。何人かの利用客はビジネ スとして自身の活動を行っている可能性が非常に高く、それゆえ賦課金と賭事税両方を支払う義務があると思われる。

 

By David Zeffman
(1ポンド=約140円)


[Racing Post 2010年5月11日「FRANCK EXCHANGES」]


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