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2010年06月11日  - No.11 - 3

競馬変革プロジェクトの動き:複合馬券のオッズを改善する憲章を設ける(イギリス)【開催・運営】


 競馬ファンが競馬場でより快く1日を楽しめるようにするため、競馬場の場内ブックメーカーに、単勝・複勝を組み合わせた複合馬券の標準的なオッズを適用するよう促す新しい顧客憲章が導入される。

 自主的行動規範に署名したブックメーカーは、タタソールズ委員会(Tattersalls Committee)が発表したオッズよりも同じか高いオッズで複合馬券を提供することと、丁寧かつ顧客の役に立つ形で接客することに同意しなければならない。

 金色の旗は、競馬変革プロジェクト(Racing For Change: RFC)と競馬場協会(Racecourse Association)が期待するとおり、憲章を採択し、競馬ファンの最大の不満の1つとなっていた問題に対処するブックメーカーを区別するものとな る。

 2007年に賭事法が制定されて以来、ブックメーカーはバラエティーに富んだ複合馬券を提供できるようになったが、6月4日に設けられる憲章のもとでは、複合馬券は出走頭数に応じて複勝オッズを単勝オッズの1/5あるいは1/4よりも低いオッズで提供できなくなる。

 RFCの賭事開発担当理事であるナイジェル・ロディス(Nigel Roddis)氏は、「RFCの主要目標の1つは、より多くの人々がより頻繁に競馬場を訪れるように促すことです。場内における複合馬券のオッズが余りに バラバラなことは、常連客による苦情リストの上位に挙げられており、憲章はこの案件に対処するために作成されています。金色の旗が賭事客と場内ブックメー カーの双方に、前向きな一歩と受け止められるよう望んでいます」と語った。

 内柵沿いに20の屋台を持つ優良ブックメーカーのジェフ・バンクス(Geoff Banks)氏は、「たまに競馬場に来る競馬ファンを混乱させるだけでなく常連賭事客を敬遠させる低いオッズで複合馬券を提供する少数のブックメーカーに よって、場内ブックメーカー全体の評判が傷つけられています」と語った。

 同氏は、「さまざまな理由によりビジネスがプレッシャーを受けている状況なので、ブックメーカーはオッズの水準を上げて、新しい需要を惹き付けなければなりません」と付け足した。

 しかし、同業者仲間のバリー・デニス(Barry Dennis)氏は、このことはあまり違いをもたらさないだろうと懸念しつつ次のように述べた。「人々は実際のところ、ブックメーカーが“あなたがうちで 賭事を行うなら、複合馬券から詐取させてもらいます”と言って、金色の旗の代わりに掲示板の周りにブラックプール(訳注:電飾の種類)の照明をつけたとし ても、その違いを理解できないでしょう。そして引き続きそれらのブックメーカーのもとで賭事を行うでしょうから、金色の旗を掲げることにはほとんど意味は ありません」。

 同氏は次のように付言した。「いつも従来どおりのオッズで商売を行っている私たちのようなブックメーカーがいるすぐそばで、いくつかのブックメーカーが 複勝オッズを単勝オッズの1/7として商売するのを見るのは気に障ります。私は憲章を適用するつもりですが、それがすべての解決になるという考えからでは ありません」。

ブックメーカーの憲章ルール

 

◄◄ 礼儀正しく効果的なマナーで顧客に接する

◄◄ 経験のない競馬ファンに時間の許す限り手ほどきを行い、賭事と競馬についてファンを教育するのに一役買う。

◄◄ ファンが競馬場で味わう体験を向上させるために、顧客の反応を競馬場へ提供する。

◄◄ “単勝のみ”しか提供していないレースについては、それを明白に表示する。

◄◄ 複合馬券を提供する場合、オッズはタタソールズ委員会によって発表されたものと同じか高いものとし、それらは次のとおりに定められる。(1) 出走頭数4頭以下の場合…すべて単勝馬券とする、(2) 5〜7頭立ての場合…複勝(1、2着)のオッズは単勝オッズの1/4とする、(3) 8頭立て以上の場合…複勝(1〜3着)のオッズは単勝オッズの1/5とする、(4) 12〜15頭立てのハンデキャップ競走の場合…複勝(1〜3着)のオッズは単勝オッズの1/4とする、(5) 15頭立て以上のハンデキャップ競走の場合…複勝(1〜4着)のオッズは単勝オッズの1/4とする。

 

By Jon Lees


[Racing Post 2010年5月26日「RFC launches charter to improve each-way terms」]


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