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2018年04月12日  - No.14 - 4

ジャドモントファームの重要な優良繁殖牝馬ハシリが27歳で死亡(イギリス)[生産]


 カリド・アブドゥラ殿下のジャドモントファーム(Juddmonte Farms)は、傑出した繁殖牝馬ハシリ(Hasili 父カヤージ)の死を悲しんでいる。同馬は27歳だった。

 ハシリは、現代で最も有名な繁殖牝馬の1頭であり、血統に消えることのない影響を残している。なぜなら、G1馬5頭を送り出すという記録を達成しているからだ。この記録は、ニュージーランドの優良繁殖牝馬エイトカラット(Eight Carat)とタイである。

 ハシリはあと僅かでエイトカラットの記録を上回ることができた。というのも、初仔ダンシリ(Dansili)はG1競走で5回3着内に入っていたからだ。BCマイル(G1)では、ウォーチャント(War Chant)のわずか首差で3着に敗れた。

 ダンシリは、G1勝利という栄誉を逸したことを、種牡馬生活で埋め合わせた。ジャドモントファームのバンステッドマナー牧場(Banstead Manor Stud)で供用された同馬は、G1馬20頭を送り出したのだ。これらのG1馬の中には、驚くべき才能をもつフリントシャー(Flintshire)、ハービンジャー、レイルリンク(Rail Link)、ザフューグ(The Fugue)などがいる。

 さらに、産駒のベイティッドブレス(Bated Breath)やゾファニー(Zoffany)が種牡馬となり生産者の間で人気を博していることで、ダンシリの影響力は高まっている。また、繁殖牝馬となった産駒は、アステア(Astaire)、チキータ(Chicquita)、クリフスオブモハー(Cliffs of Moher)、エキスパートアイ(Expert Eye)、アイスブリーズ(Ice Breeze)、ネズワー(Nezwaah)、タイムテスト(Time Test)などの優良馬を送り出している。

ダンシリの後に生まれたハシリの仔5頭は、以下のG1競走を制した。

・ バンクスヒル(Banks Hill)...コロネーションS、BCフィリー&メアターフ、ジャックルマロワ賞

・ ヒートヘイズ(Heat Haze)...ビヴァリーDS、メートリアークS

・ インターコンティネンタル(Intercontinental)...メートリアークS、BCフィリー&メアターフ

・ カシック(Cacique)...マンハッタンH、マンノウォーS

・ シャンゼリゼ(Champs Elysees)...ノーザンダンサーターフS、ハリウッドターフC、カナディアンインターナショナルS

この5頭は牧場においても成功した。そのうち3頭は繁殖牝馬として次のような優良馬を出している。

・ バンクスヒル...ジャンロマネ賞(G1)優勝馬ロマンティカ(Romantica)

・ ヒートヘイズ...フォージ(Forge)、ミラージュダンサー(Mirage Dancer)、ラジエーター(Radiator)

・ インターコンティネンタル...アブセイル(Abseil)

 2頭の種牡馬のうちカシックは生殖能力が低いにもかかわらず、ドミナント(Dominant)、ミューチュアルトラスト(Mutual Trust)、スランバー(Slumber)などのG1馬を送り出した。一方、シャンゼリゼはゴールドカップ(G1 ロイヤルアスコット開催)優勝馬トリップトゥパリス(Trip To Paris)をはじめとし、バルサンティ(Barsanti)、ジャックネイラー(Jack Naylor)、ダルハライルド(Dal Harraild)などの優良馬を送り出した。

 これら5頭のG1馬のうち、ヒートヘイズ(父グリーンデザート)を除く4頭とダンシリの父はデインヒルである。

 ハシリはストームキャットとも相性が良く、G3勝馬でサンタラリー賞(G1)2着のデラックス(Deluxe)を送り出した。一方、2008年生まれの牝駒ベリーグッドニュース(Very Good News 父エンパイアメーカー)は、自らは未出走馬だがリステッド競走(準重賞)3着内馬のウィークエンダー(Weekender)を生んでいる。ハシリの最後の仔となった牝駒レスポンジブル(Responsible 父オアシスドリーム)は未出走馬である。

 2012年、ハシリは繁殖を引退し、生まれ故郷であるバンステッドマナー牧場で余生を過ごしていた。

 ハシリの繁殖牝馬としての快挙がどれほど驚くべきものなのかは、ジャドモントファームの牝馬全頭の4分の1の血統表にハシリが現れているという事実が物語っている。ハシリが送り出した5頭の牝駒は、今でも繁殖牝馬としてジャドモントファームで繋養されている。

 また、ハシリの仔は合わせてG1・63レースに出走し、そのうち43レースで優勝するか3着内となっている。

 サイモン・モクリッジ(Simon Mockridge)場長はこう語った。「ハシリは、ジャドモントファームの歴史の重要な部分を占めていました。G1馬5頭を送り出したという記録は今でも破られていません。ハシリの大きな影響は、ジャドモントの血統とジェネラルスタッドブック(英国とアイルランドのサラブレッド血統書)において今後長期にわたり感じられ続けるでしょう」。

 「このような驚異的な優良繁殖牝馬を繋養することができたことを光栄に思います」。

 ハシリはアブドゥラ殿下により生産された。母ケラリ(Kerali父ハイライン)は、チェヴァリーパークS優勝馬スーケラ(Sookera)を母とする。ジャドモントファームは、スーケラをロバート・サングスター(Robert Sangster)氏から購買していた。

 アンリ-アレックス・パンタール(Henri-Alex Pantall)調教師に管理されたハシリは、サブロネ賞(L)など4レースで優勝し、1995年に繁殖入りした。

 ハシリのファミリー(牝系)は多くの優良馬を出している。リステッド勝馬である全妹アライヴ(Arrive)は、G1馬のプロミシングリード(Promising Lead)とヴィジット(Visit)を、また半姉スキアブル(Skiable 父ニジンスキー)は、コヴェントリーS(当時G3)で圧勝したスリーバレーズ(Three Valleys)を送り出している。

By Martin Stevens

[Racing Post 2018 年3月23日「Juddmonte announces death of magnificent broodmare Hasili」]


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