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2015年07月09日  - No.27 - 3

伝説の障害馬コートスター、囲い馬場での事故により死亡(イギリス)[その他]


 伝説の障害馬コートスター(Kauto Star)は、囲い馬場での事故によって負傷し、安楽死処分となった。

 クライヴ・スミス(Clive Smith)氏所有のスター馬は、アッパーランボーンにあるヴァレー馬診療所(Valley Equine Hospital)に搬入され、集中治療が施された。6月24日(水)の事故後、コートスターの命を救うため、医療チームは週末にかけて、懸命に治療に当たった。

 しかし、コートスターの状態は悪化し、6月29日(月)午後3時に安楽死処分となった。スミス氏と獣医助手であるハッティ・ローレンス(Hattie Lawrence)氏が立会した。

 スミス氏は、次のように語った。「ショックです。コートスターは、数年前からこの時期には囲い馬場に出されていました。この日も同じように過ごしていましたが、何かを飛び越えようとして躓いたようです。よく分かりませんが、うっかり怪我をしてしまい、それが深刻であることが判明したのです」。

 「ヴァレー馬診療所の獣医師たちは、可能な限りの処置を実施してくれました。しかし、手の施しようがなく、安楽死処分の方が馬のためになることが、徐々に明らかになりました」。

 「ハッティ・ローレンス氏とヴァレー馬診療所の獣医師たちは、あらゆる手を尽くしてくれました。安楽死処分の決定が下された際、コートスターは落ち着いた状態を保持し、痛みは感じていませんでした」。

 チェルトナムゴールドカップ(G1)2勝馬の安楽死処分の原因となった負傷の詳細報告において、ローレンス氏は次のように記した。

 「骨3本、すなわち腸骨骨幹軸(ilial shaft)、坐骨結節(tuber ischi)、大腿骨大転子(greater trochanter of the femur)が骨折したと考えられます。頸部の基部脊椎、C6とT2の間あたりにも骨折が判明しました。結局、これが一番の重傷であり、麻痺を引き起こして起立不能となりました」。

 「二次的な問題としては、十字に繋がれたことで頸部を下垂できず肺炎となり、菌体内毒素と長時間の起立によって蹄葉炎となりました」。

 「馬を救命できなかったときは、いつも動揺させられます。多くの人々に喜びを与えてきた大切な馬である場合は、特に残念です」。

 「治療の全段階と安楽死処分に立会した馬主クライヴ・スミス氏をはじめとする関係者に、お悔やみ申し上げます」。

 15歳のコートスターの競走成績は41戦23勝であり、そのうちキングジョージ6世チェイス(G1)を5勝、チェルトナムゴールドカップを2勝している。

 コートスターは、スミス氏がフランスで購買した。ポール・ニコルス(Paul Nicholls)調教師に管理され、G1・16勝を果たした。G1初勝利は、サンダウン競馬場の2005年ティングルクリークチェイスであり、翌年も同レースを制している。

 コートスターは、2006年に初めてケンプトン競馬場のキングジョージ6世チェイスを制し、その後2011年まで同レースを連勝した(改装工事中の2010年を除く)。後年、同競馬場にはコートスターの銅像が建てられた。

 2006年〜2011年にベットフェアチェイスを4勝したことにより、ヘイドック競馬場にもコートスターの銅像がある。

 コートスターは、2007年と2009年にチェルトナムゴールドカップで優勝し、史上初の同レース2勝馬となった。

By Jim Cremin

(関連記事)海外競馬ニュース 2010年No.11「コートスター、ゴールドカップのタイトルを守ることができるか(イギリス)

[Racing Post 2015年6月30日「Legend Kauto Star dies after fall in paddock」]


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