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TOPページ > 海外競馬ニュース > 大局的に見れば、騎乗手当は格安である(アメリカ)[その他]
海外競馬ニュース
2011年04月14日  - No.15 - 2

大局的に見れば、騎乗手当は格安である(アメリカ)[その他]


 ケンタッキー州競馬委員会(Kentucky Horse Racing Commission)は、賞金額1万ドル(約100万円)以下のレースにおいて5着以下となった騎手への騎乗手当を1騎乗につき5ドル(約500円)増加させることを承認した。この変更は、結果が着外であっても騎手に最低50ドル(約5,000円)の報酬をもたらす。

 この11%の騎乗手当増加に対する反対意見はいくつかある。

 第1に、馬主たちは現役馬の維持費と停滞する賞金の下で収支を合わせるために苦心している。第2に、誰も騎手になることを強要しているわけではなく、安定した他の職業を選ぶこともできる。

 第3に、高リスクの職業でも支払いの良くないものがある。軍人、消防士および警察官は、危険と釣り合いの取れない賃金のために命や体を危険に晒している。第4に、騎手のような自立契約者の収入は通常、ただ単なる努力というよりも彼らがどのような結果を出すかに掛かっている。騎乗馬が着外となった場合は、馬主にもまったく利益はないのだから、騎手も手当を得るに値しないと主張する者もいるかもしれない。

 第5に、ずっと入着(4着以上)できないような騎手は優秀とは言えないので、おそらく他の職業を見つけ出す必要がある。

 これらの観点はすべて妥当なものである。しかし、次のことを考えて下さい。騎手が1日に5レース騎乗し、週に6日働いたとしよう。そうすれば、騎手は1年間の44週間で1,320レースに騎乗することになる。この筋書きにおいては、騎手の50ドル(約5,000円)の基本騎乗手当は賞金からのコミッションを差し引いたとしても1年で合計6万6000ドル(約660万円)となるだろう。

 一方、米国における平均家計収入は5万1,425ドル(約514万2,500円)であり、高卒サラリーマンの平均収入は2万7,272ドル(約272万7,200円)である。これらの数字を見ると、6万6,000ドル(約660万円)の基礎収入を得ると仮定した騎手は、彼らと同じような教育レベルの米国の人々に比べてかなり実入りが良いと結論付けることができ、賞金からの進上金で基礎収入が強化されるときには尚更そうである。

 しかし、大半の騎手は年間1,320レースに騎乗し6万6,000ドル(約660万円)稼いでいるわけではない。騎手たちは怪我によって定期的に騎乗できなくなるので、一貫して1日に5レース、週に6日、年に44週騎乗する可能性は低い。それに加えて、この職業には過酷なダイエットにより怪我とは別の副作用の危険が伴う。このような不利な要素を考慮すれば、50ドル(約5,000円)の騎乗手当は格安であるように思われる。

 競馬は、馬主、調教師、騎手および厩務員の関係するチームスポーツである。馬主は大きな財務リスクに晒され、調教師は勝たなければ顧客(馬を預ける馬主)や収入を失ってしまうというプレッシャーを掛けられており、厩務員は神経質な馬のために長時間働いている。しかし騎手は騎乗機会を手に入れ、賞金からの進上金を得て、エージェント料や旅費を支払い、健康保険に入るなどのために能力を発揮し、そしてレースで身を持って勝負しなければならない。

 馬主と調教師は金銭的に破綻するかもしれないが、騎手は文字通り命のために破綻するかもしれないのである。

By William Shankin
(1ドル=約100円)

[The Blood-Horse 2011年2月26日「Put in Perspective, Jockey Fees a Bargain」]
 


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