TOPページ > 海外競馬ニュース > ラヴァマン、束の間のカムバック(アメリカ)[その他]
海外競馬ニュース
2010年01月21日  - No.3 - 4

ラヴァマン、束の間のカムバック(アメリカ)[その他]


 収得賞金500万ドル(約5億円)のせん馬ラヴァマン(Lava Man)は、カムバックの試みに挫折したことを受けて引退することが1月5日に確認された。同馬は17ヵ月間競走から退いていた後、12月27日にサンタ アニタ競馬場で施行されたサンガブリエルH(G2 芝)に出走して最下位に終わった。

 同馬を父デーヴ、姉トレイシーおよびジェイソン・ウッド(Jason Wood)氏と共同所有しているスティーブ・ケンリー(Steve Kenly)氏は、ラヴァマンを引退させることは苦渋の決断であるが、ダグ・オニール(Doug O’Neill)調教師および獣医師のダグ・ハーセル(Doug Herthel)氏と協議した結果、一同はこれが正しい決断であると結論付けた。

 「ラヴァマンは17ヵ月ぶりのレースを無事終えました。彼は強く勇敢な馬です。私たちはこれ以上彼の評判を傷つけたくはありません。私たちは常に、彼が 最高レベルで競走できるのであればしばらく出走させようと言ってきましたが、それはもはや起こりそうにありません。これは1年半ぶりのレースであり、私は ラヴァマンが次のレースで調子を上げることに確信を持っていますが、サンガルリエルHでは力を失ってしまいました。調教で素晴らしい動きをしていましたの で、私たちにとっては残念なことです」。

 「私たちの目にラヴァマンの健康面のリスクは見当たらず、彼を出走させることには何の心配もありません。ただ私は、ラヴァマンが私たちが望んでいるレベ ルで競走を行なうことはできないだろうと思います。これは結局、馬に関する問題であり、お金の問題ではありません。これが他の馬であれば、数週間以内にも う一度出走させていたことでしょう」。

 ケンリー氏は、ラヴァマンが引退後の生活をどこで送るかについて決定していないと述べた。現在ラヴァマンはカリフォルニア州ロスオリーボスのアラモ・ピ ンタード馬医学センター(Alamo Pintado Equine Medical Center)にいる。ケンリー氏は、ラヴァマンの引退後の生活についてはいくつかの選択肢があり、そのなかには、引退馬受け入れ施設オールドフレンズ (Old Friends)に行くこと、障害競走馬として第2のキャリアを歩むこと、オニール調教師のもとで乗用馬になることが含まれている。

 同氏は、「私たちはまだ決定していませんが、現時点では引退を熟考しています。いずれにしても万事上手くおさまると思います。ラヴァマンの手術の前に、 私たちはこれらの選択肢を考えていませんでした。彼は体力的に以前よりも断然良くなり、私たちは医療技術の進歩に恩恵を受けました」と語った。

 6着に終わった2008年7月20日のデルマー競馬場のエディリードH(G1)がカムバック前のラヴァマンにとって最後のレースであった。関係者は当 初、このレース後に彼を引退させるよう決定していたが、マガリファーム(Magali Farm)での休養とハーセル獣医師が施した骨片摘出手術と幹細胞による再生医療の素晴らしい経過を受けて、2009年9月に調教が再開された。

 ラヴァマンは2009年12月12日にハリウッドパーク競馬場のネイティブダイヴァーH(G3)でカムバックを果たすと考えられていたが、悪天候のため に出走を取り消していた。サンガブリエルH(競走距離:9ハロン)では、直線走路で力尽きるまで6ハロン(約1200 m)の間先頭に立っていた。

 ケンリー氏は、「彼はレースを必要としていたかもしれませんが、結果的には失速し、それでもなお必死に走ろうとしていた事実は私たちが知るべきことを教 えてくれました。もし水晶の球を持っていて、彼が最下位で終わることを予言できていたら出走させなかったと思います。もちろん私たちはそのことは分からな かったのです。しかし、彼が作り出した熱狂と興奮、そして彼がもたらした幹細胞治療に関する知見には価値があったと思います」と付言した。

 2004年8月にクレーミング競走でケンリー一家とウッド氏によって5万ドル(約500万円)で購入されたラヴァマンは7つのG1競走を制し、クレーミ ング競走で購入された馬のなかでは史上最高額の賞金を稼いだ。カリフォルニアで生産されたスルーシティスルー(Slew City Slew)産駒である同馬は、2005年〜2007年にわたりハリウッドゴールドカップ(G1)を3回制し、2006年と2007年にサンタアニタ H(G1)を連覇した。黒鹿毛の同馬は2006年、チャールズウィッティンガムH(G1 芝)とパシフィッククラシック(G1)も制した。同馬は47戦 17勝し、その収得賞金額は526万8706ドル(約5億2687万円)である。

 ラヴァマンはカリフォルニア州でロニー・アーターバーン(Lonnie Arterburn)氏およびイヴ&キム・クルマン夫妻(Eve and Kim Kuhlmann)により生産された。同馬の母馬は、ノスタルジアズスター(Nostalgia’s Star)の牝馬であるリールミスレオナード(Li’l Ms. Leonard)である。

By Jason Shandler
(1ドル=約100円)


[bloodhorse.com 2010年1月5日「Lava Man Retired After Brief Comeback」]


上に戻る