TOPページ > 海外競馬ニュース > ベットフェア社とブックメーカーの確執、 競馬統括機関を巻き込む(アイルランド)[開催・運営]
海外競馬ニュース
2009年05月28日  - No.21 - 1

ベットフェア社とブックメーカーの確執、 競馬統括機関を巻き込む(アイルランド)[開催・運営]


 ベッティング・エクスチェンジを提供するベットフェア社(Betfair)とパンチェスタウン競馬場の場内ブックメーカーの確執は4月30日、ベット フェア社と競馬統括機関ホースレーシング・アイルランド(Horse Racing Ireland: HRI)の対立まで招いた。

 4月29日、場内ブックメーカーの圧力によってベットフェア社がオッズ(スターティングプライス:発走直前の平均的オッズ)を馬券売り場近くの大画面 ディスプレーで表示できなくなった。ベットフェア社はこれに対抗して5月1日のハンデキャップチェイス新馬戦のスポンサーを下りるとほのめかした。これに よりベットフェア社と場内ブックメーカーおよびHRIとの間の緊張が一気に高まった。

 HRIの最高経営責任者ブライアン・カヴァナー(Brian Kavanagh)氏は、「ベットフェア社は500万ユーロ(約6億5000万円)に上る協力金の拠出の契約が満了した後、アイルランド競馬に協力しようとしません」と非難した。

 同氏は、「ベットフェア社がアイルランド競馬に資金を拠出しなくなったことが原因となって、4月末にベットフェア社とパンチェスタウン競馬場およびブッ クメーカーとの間にいさかいが生じたのです。これは必然的な結果です。場内および場外ブックメーカーは拠出しているのに、現在ベットフェア社は拠出してい ません。この状態を続けるべきではありません。いさかいを治めてから、HRIとしては対応策の検討を始めるつもりです」と語った。

 カヴァナー氏は、「たとえベットフェア社が今後もHRIへの資金拠出を拒否し、その代わりに資金をスポンサーシップと販売促進のために投入するとして も、そのような状況は長続きするものではありません。HRIは、アイルランド市場で賭事を営んでいるのに競馬界には資金拠出しない海外賭事業者の問題に取 り組んでいます。現時点では、ベットフェア社もこれらの海外賭事業者の1つです」と続けた。

 しかし、カヴァナー氏の厳しい非難に、ベットフェア社も激しく反論した。ベットフェア社の“アイルランドの支配人”グラハム・ロス(Graham Ross)氏は、次のように述べた。「HRIが“ベットフェア社はHRIへの資金拠出を拒否し続けている”と公言したことにがっかりしました。誤解のない よう事実関係を説明します。ベットフェア社は過去4年間にわたって、英国で法定されている賦課金の算出方式に準拠し、ただし、まったく任意に、HRIに 450万ユーロ(約5億8500万円)の協力金を支払ってきました」。

 「この金額は、当社がアイルランド競馬を対象としてアイルランドの顧客から得た収益の50%に相当します。私たちの知る限りでは、アイルランドの国外に拠点を置く賭事業者のなかで拠出しているのは、ベットフェア社だけです」。

 「当社は今後3年にわたり引き続き提携してアイルランド競馬に400万-500万ユーロ(約5億2000万-6億5000万円)拠出する案を提示しました。HRIは拠出額を倍増でもしない限り提携の続行を受け入れないでしょう」。

 「アイルランド競馬への当社の貢献は減少していないのに、6年連続でスポンサーを務めているパンチェスタウン競馬場のグレードAの競走当日にこのような事態が生じたのは誠に残念です」。

 なお、パンチェスタウン競馬場の経営陣は場内ブックメーカーからの圧力に屈し、開催の初めの2日間はベットフェア社のオッズを表示しなかったが、4月30日に同社の場内オッズ表示は再び大画面のディスプレーに現れた。

 4月29日のブックメーカーの売上げは、2008年[78万3000ユーロ(約1億179万円)]よりも減少し70万ユーロ(約9100万円)であった。観客数は2008年の1万7240人から1万6193人に減少した。


By Paul Eacott and Tony O’Hehir
(1ユーロ=約130円)

(関連記事)海外競馬ニュース2006年No.19
「ベットフェア社がHRIへ協力金を支払う(アイルランド)」

[Racing Post 2009年5月1日「Row between Betfair and bookmakers draws in HRI」]


上に戻る