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海外競馬ニュース
2009年05月07日  - No.18 - 3

動物虐待の罪で有名馬主逮捕(アメリカ)[その他]


 4月8日、当局はニューヨーク州クライマックス近郊にあるアーニー・パラガロ(Ernie Paragallo)氏所有のセンター・ブルック牧場(Center Brook Farm)を捜索し、177頭の馬を保護した。ニューヨークタイムズ紙(New York Times)は、数ヵ月前にパラガロ氏のもとから、カナダの屠殺場に送られる予定の4頭の馬が、輸送前に待機していた檻から救出されたと報じた。今回の捜 索はこの記事を受けたものである。馬を保護した機関の代表によると、4頭の馬は栄養失調でシラミや寄生虫が湧いており、うち1頭の牝馬は肢の1本を負傷 し、外陰部も裂け、別の1頭は腺疫を患っていた。

 現在同牧場の馬はコロンビア・グリーン動物愛護協会(Columbia Greene Humane Society)の管理下にあり、理事長のロン・ペレス(Ron Perez)氏はAP通信(Associated Press)に対して全頭が痩せこけていると伝えた。

 4月10日パラガロ氏は逮捕され、22件の動物虐待の罪で告発された。手錠を掛けられてコックスサキーの下級裁判所から連行されたパラガロ氏は、67頭の所有権を動物愛護協会へ譲渡することに同意した。

 1991年にパラガロ氏がサラブレッド競馬の世界へ参入したとき、彼は競馬産業が求め続けてきた典型的な新しいタイプの馬主であった。彼は若くて(現在 51歳)、精力的で、情熱に溢れていた。彼は投資用の資金を持っており、始めはピンフッカーとして、後に馬主および生産者として頭角を顕した。

 パラガロ氏所有のパラネック・ステーブル(Paraneck Stable)は、1994年のファシグ・ティプトン社(Fasig-Tipton)のサラトガ1歳セールにおいて、アンブライドルド (Unbridled)の牡馬を20万ドル(約2000万円)で購買した。その翌年3月のバレッツ社(Barrett’s)2歳調教セールにおいて、この 牡馬を藤田浩氏が当時の世界最高額記録となる140万ドル(約1億4000万円)で落札した。しかし、前肢の球節に剥離骨折が見つかったので、藤田氏はこ の購買をキャンセルした。気の強いパラガロ氏は、同馬をレースに出走させて、皆が間違っていたことを証明すると述べ、そして彼はそれを実行した。後にアン ブライドルズソング(Unbridled’s Song)と名づけられたこの牡馬は、ブリーダーズカップ・ジュヴェナイル(G1)で優勝し、翌年、フロリダダービー(G1)とウッドメモリアル(G2) を制した後、ケンタッキーダービー(G1)では一番人気に推された。しかし結果は5着であった。

 パラガロ氏は今でもなおアンブライドルズソングの所有権の半分を持っている。同馬は大成功を収めている種牡馬で、ケンタッキー州のニコラスヴィルにある テーラーメード牧場(Taylor Made Farm)において種付料12万5000ドル(約1250万円)で繋養されている。同馬の1シーズンの種付料収入だけで、パラガロ氏の牧場で放置されてい た馬のために干草、穀物、獣医用品そしてその他必要なものを賄うことができる筈である。

 ニューヨーク州の関係者はパラガロ氏の馬主資格を剥奪する措置を速やかに講じた。他州も同じ措置を取るべきである。

By Dan Liebman
(1ドル=約100円)


[The Blood-Horse 2009年4月18日「What’s Going On Here−A cruel week」]


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