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海外競馬ニュース
2008年09月18日  - No.37 - 3

ムルタ騎手、再燃したチーム戦術騒動に反論(イギリス)[その他]


 8月24日ジョニー・ムルタ(Johnny Murtagh)騎手は、前日のインターナショナルS(G1)において、バリードイル勢(クールモア牧場+オブライエン厩舎)がペースメーカーを利用したと新たな噂が立っているのを受けて、「問題にしようがないことを問題にすべきではなく、火のないところに煙を立てるべきではありません」と否定した。

 レーシングUK社(Racing UK)のデーヴ・ネヴィソン(Dave Nevison)氏は8月24日、「エイダン・オブライエン(Aidan O’Brien)厩舎の騎手たちによるチーム戦術の問題は、すでにアイリッシュ・ダービー(G1)およびクイーン・アンS(G1)の優勝の後に表面化しており、このチーム戦術に他の関係者がイライラし始めています」と述べた。

 デュークオブマーマレード(Duke Of Marmalade)が優勝したインターナショナルSにおいて、オブライエン調教師の管理馬で穴馬のレッドロックキャニオン(Red Rock Canyon)のコース取りが論議を呼び、評論家たちのコメントが交錯した。

 オッズ67倍の先行馬レッドロックキャニオンの鞍上コルム・オドノヒュー(Colm O’Donoghue)騎手は、肩越しにデュークオブマーマレードが後ろにつけているの見て、ゴールから4ハロン手前で内柵からはなれて進路を開けた。その後ムルタ騎手は、オドノヒュー騎手が開けたスペースを通って、自身が騎乗している本命馬をゴールに導いた。

 オドノヒュー騎手の行為は、英国競馬統括機構(British Horseracing Authority: BHA)の施行規定153条(iv)に違反しているように思われる。この規定は、次のように定めている。騎手は競走において、下記の(1)または(2)に該当する他の馬に有利になるような戦術をめぐらしてはならない。その戦術によって、走行妨害が発生した場合および自身の騎乗馬が最善の着順で入線できなかった場合でも同様とする。

 (1) 自身の騎乗馬と同じ馬主もしくは管理者に属していること

 (2) 自身の騎乗馬と同じ厩舎もしくはチームから出走していること

 ムルタ騎手は問題のレースの後、サンデータイムズ紙(The Sunday Times)に、「私はずっとオドノヒュー騎手の後を走っていました。他の馬を気にする余裕などなく、私はただ自身の馬と同騎手だけを気に掛けており、彼に『君は残り4ハロンのところで、柵からはなれて内側を開け道を譲ってくれ』と言ってありました。これがバリードイル勢というものです」と語った。

 ところが、ムルタ騎手は8月24日ドーヴィルで「何の戦術もありませんでしたし、最強馬が勝ったのです。問題にしようがないことを問題にすべきではなく、火のないところに煙を立てるべきではありません」と述べた。

 レーシングポスト紙の記者アラステア・ダウン(Alastair Down)氏は8月24日の紙面において、インターナショナルSでのレッドロックキャニオンの役割を明らかにした。さらにこの話題はネヴィソン氏も取り上げて、レーシングUK社の番組で「彼らは素晴らしいレースをしました。しかし、大衆に不快感を与え始めているように思います。印象はあまり良くありません」と述べた。

 ネヴィソン氏は、「私の見解では、競馬は団体競技ではありません。デュークオブマーマレードの勝利はチームで勝ち取ったものです。もしオドノヒュー騎手が後ろを振り返った時にデュークオブマーマレードが来ていなかったら、道を譲ったでしょうか?」と付言した。

 馬主カリド・アブドゥラ(Khalid Abdullah)殿下のレーシングマネージャーであるテディ・グリムソープ(Teddy Grimthorpe)氏の管理馬フェニックスタワー(Phoenix Tower)は、レッドロックキャニオンの内側を通り抜けたデュークオブマーマレードの2着となった。グリムソープ氏は、「ムルタ騎手は、ペースメーカーに進路を開けるよう叫んでいました。ペースメーカーがうまく使われていると思いますが、正直なところ不満はありません。問題となるのは、走行が妨害された時です」と語った。

 BHAの広報担当ポール・ストラサーズ(Paul Struthers)氏は8月24日、「ニューマーケットの裁決委員は、チーム戦術に関する規定の違反が無かったことを確信していました。しかし、現段階ではこれ以上のコメントは控えさせていただきます」と述べた。

By Lee Mottershead

[Racing Post 2008年8月25日「Murtagh hits back as row over pacemakers is reignited」]


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