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TOPページ > 海外競馬ニュース > ロイヤルアスコット開催における禁止薬物議論(イギリス)[獣医・診療]
海外競馬ニュース
2008年07月17日  - No.28 - 2

ロイヤルアスコット開催における禁止薬物議論(イギリス)[獣医・診療]


 アナボリック・ステロイドの使用に関連して、オーストラリアから遠征してきた2頭の短距離スター馬であるテイクオーバーターゲット(Takeover Target)とマグナス(Magnus)の調教師たちが、英国のマーク・ジョンストン(Mark Johnston)調教師の薬物に対する拒絶反応を愚弄したことが発端となって、舌戦が繰り広げられ、ロイヤルアスコット開催の前評判への悪影響が心配されている。

 ジョンストン調教師が「テイクオーバーターゲットは、2006年のキングススタンドSに勝ったあと、同年末に香港の薬物検査で失格しており、アスコットに招待されるべきではなかった」とほのめかしたのに対して、マグナスを管理するピーター・ムーディー(Peter Moody)調教師が、獣医師でもあるジョンストン調教師の能力に疑問を呈し、「わけの分らないことを言う人だ」と非難した。

 ジョンストン調教師は、「テイクオーバーターゲットはステロイドの永続的効果によって不公正に有利になっているかもしれない」と述べ、ヒューイ・モリソン(Hughie Morrison)調教師も6月11日、ニューマーケットの記者会見において薬物使用を非難し、ジョンストン調教師を支持した。

 この騒動に加えて、テイクオーバーターゲットを管理するジョー・ジャニアック(Joe Janiak)調教師は、「賞金210万ポンド(約5億400万円)を獲得しているチャンピオン馬のテイクオーバーターゲットは2006年以降ステロイドを使用していません。マーク・ジョンソン調教師は事実を確認すべきです。どの段階においてもステロイドが同馬の競走成績に有利に影響したことはありません。香港において出走除外となったのは、空輸される馬のために獣医師が薬物を投与したことによるものです」と述べた。

 ジョンストン調教師は、キングスレークラリオン紙(Kingsley Klarion)において、イギリスのルールでは馬へのステロイド投与を禁じているが、このルールがイギリスのレースに出走する外国馬にも適用されているのか疑問であるとし、筋肉を増強するステロイド(17-alpha-hydroxyprogesteron hexanoateあるいはHPC)が薬物検査で検出され、出走除外されたテイクオーバーターゲットを例に挙げた。なお、この薬物はテイクオーバーターゲットの一件があるまで、オーストラリアでは食欲促進剤として合法であったが、2008年2月1日から非合法化されている。

 マグナスを管理するムーディー調教師は、ジョンストン調教師を激しく攻撃し、「オーストラリアの薬物ルールは世界で最も厳しく、大レースにおいては全出走馬にレース前検査を受けさせています。もしジョンストン氏のような200年前のやり方で調教しようと思っている人がいたら、幸運を祈ります。最高レベルの競馬に到達するためには、競馬施行規定の範囲内であらゆる可能性を追及するものです。どうみてもジョンストン氏の厩舎には獣医師がいません」と語った。

 ジョンストン調教師が獣医師の免許を持っていることを指摘されたとき、ムーディー調教師は、「多分彼はあまり有能な獣医師ではないのでしょう」と述べ、聴衆に息を飲ませた。

 ジョンストン調教師は、「何に対して有能でないというのですか?何と言おうとアナボリック・ステロイドは禁止薬物であり、食欲を促進させ正常な遺伝的潜在能力以上に多くの筋肉がつくのを可能にします。ステロイド使用は競走に影響しないと示唆することはナンセンスです。たしかテイクオーバーターゲットに投与されていた薬物は2月に禁止されましたが、2月からそれほど時が経ってはいません。もしスポーツ選手がオリンピックの4ヵ月前までステロイドを使用していたら、競技に影響するでしょう。イギリスのルールは、イギリスで管理馬を出走させるオーストラリアの調教師には適用されないのでしょうか。他のスプリンター馬よりも筋肉がついていて臀部が大きく、大ぶりに見える馬がいたら、私たちは疑いを抱きます。私がしたい質問は、怪我や治療に関係なく、いかなる理由にせよ、テイクオーバーターゲットにアナボリック・ステロイドを最後に投与したのはいつであるかということです。疑問を提起したいだけなのですが、不思議なことに誰も答えません」と述べた。

 ジョンストン調教師は、6月21日のゴールデン・ジュビリーSでテイクオーバーターゲットと対戦するサキーズシークレット(Sakhee’s Secret)を管理するヒューイ・モリソン調教師と手を組んだ。

 モリソン調教師は、禁止薬物に対して断固とした措置を要求しており、次のように付言した。「スポーツ選手はステロイド使用を禁止されています。なぜかといえば、彼らの競技に影響を与えるからです。ステロイドを使用すれば、検査で不審なものが出てこなかったとしても長期にわたる効果があります」。

 同調教師は、「このようなことを言うのは好ましくありませんが、競馬産業において例えば1歳馬を仕上げるときにステロイドが使われています。私たちは1年中馬を検査する必要があります」と述べた。

 アスコット競馬場のチャールズ・バーネット(Charles Barnett)場長は、騒動勃発からこの問題には控えめであった。

 同場長は、「私たちはアスコット競馬場で国際レースを施行することを光栄に思っています」と述べ、これはイギリスとオーストラリアの間の薬物検査体制の違いがあり、本件を決めるのは英国競馬統括機構(British Horseracing Authority: BHA)だと言及した。

 BHAは6月11日、6月9日にニューマーケットに入厩している海外からの出走馬に薬物検査を実施したことを正式に発表した。その手順は昨年と同じであり、陽性反応は見られなかった。

 BHAの馬科学・福祉担当理事であるティム・モリス(Tim Morris)氏は、「私たちが今年行ったことは、これまでにやったことと変わりません。私たちは、施行規程が守られ、薬物に関するうわさが払拭され、公平な競走が行われるよう最善の努力を尽くします」と述べた。

By Tony Smurthwaite

[Racing Post 2008年6月12日「Royal Ascot drugs row」]


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