
今年デルマー競馬場で2日間に渡り開催されるブリーダーズカップでは、今秋デルマー競馬場で行われる他の競走と異なり、発売締切直前2分前の単勝馬券発売においてコンピューター支援購入(computer-assisted wagering=CAW:プログラム化された馬券購入方法)を排除しない方針であることが発表された。これは南カリフォルニアにおける現行の発売方針と食い違うものである。
デルマー競馬場担当者は、10月16日に開催されたカリフォルニア州競馬委員会(CHRB)の月例会議において、現行のCAW制限の継続を発表した。ブリーダーズカップ開催の運営に関しては、開催競馬場ではなくブリーダーズカップ側が主にその責任を負う。
デルマー競馬場がCAWの単勝賭けプール制限を導入したのは今年の初夏で、レース中に劇的にオッズが変動した事例が相次ぎ、一般のファンが不満を抱いたためである。その後、南カリフォルニアのサンタアニタパークでもCAWの制限が導入された。この措置はニューヨーク競馬協会(NYRA)傘下の競馬場で実施されていた方針に倣ったものだが、業界全体で採用されているわけではない。一部の競馬場では、CAWの発売額が膨大であるため、その制限に消極的だ。中にはCAWの発売額が全体の20%以上を占めている競馬場もある。
CAWを利用した大口顧客の影響により、通常の方法で購入している顧客への実質的な還元が低下している。この事実はCAWに関係している者でさえ認めている。
通常、CAW経由の賭けは高度なコンピューター技術を通じて、レースのスタート直前に実行される。レース直前の購入によるオッズの動きは、レースが開始された後にならないと完全に知ることができない。
ブリーダーズカップ広報担当者の声明によると、「幸いにも、数百万ドル規模の投票プールには十分な流動性があるため、馬券購入者を苛立たせる締切直前購入で発生するオッズ変動は、昨年のデルマーを含むブリーダーズカップでは問題になっていません」とのこと。「さらに、我々のレースには世界中から最高峰の競走馬が出走していて、歴史的に見て一般の馬券購入者には配当的な魅力があり、大きな払い戻しのチャンスを提供してきました」。
デルマー競馬場のジョシュ・ルービンスタイン会長とCHRBのスコット・チェイニー事務局長も、木曜日の会合でブリーダーズカップの投票プールの大きさに言及した。
デルマー競馬場のCAW方針は、10月31日と11月1日の2日間に施行されるブリーダーズカップを除く、10月30日から11月30日までの秋季開催期間に適用される。
また、秋の開催に関連して、ルービンスタイン氏はCHRBの会合で、騎手から異議申立があった場合や裁決委員による審議があった際、騎手と裁決委員間のコミュニケーションを補助するための通信機器を導入することを明らかにした。観客の騒音のため、双方が互いの声を聞き取れないことがあったという。
ルービンスタイン氏は「騎手にはマイク付きヘッドセットを配備し、テスト済みであるため問題解消が見込まれます」と述べた。
CAW問題や騎手との通信問題については、木曜日の会議を主宰した副議長オスカー・ゴンザレス氏が提起した。同会議には3名の委員が欠席していた。
デルマー競馬場の秋開催における賞金総額は7%増加する。さらに同競馬場は調教師に対し、秋開催の出走費用を補填するため1出走ごとに400ドル(約60,000円)を支給すると、競馬事務局長デビッド・ジャーケンズ氏は説明した。さらに、馬用PETスキャナーも現地に設置されると付け加えた。
木曜日の理事会におけるその他の議論:
・CHRB獣医局長ジェフ・ブリア博士は、2024-25年度の統計を引用し、レース直前に規制獣医師により競走除外となった馬、およびクレーミング競走での馬の売買が規制獣医師により却下された馬は、他の馬よりも長期にわたり競走から離脱する可能性が高いことを示した。取消された馬の関係者からは批判されることの多い規制獣医師だが、同博士は、このデータが彼らの措置が正当化されることを示していると述べた。この発言は、厳格な獣医学的監視のもとで出走取消や競走除外がより多く発生するブリーダーズカップ開催を控えるタイミングで発表された。
・チェイニー氏は、カリフォルニア州における昼間競走(サラブレッドの主要競走が実施される時間帯)の発売金が9月に16%減少し、夜間競走(クォーターホース競走およびサラブレッドの下級クラスの競走が実施される時間帯)の発売金も5%減少したと指摘した。
・「もちろん、今年は2024年のように北カリフォルニアでのレースは開催されませんでした」と彼は続けた。「その事実を考慮しても、2025年度における昼間のレースは6%減、夜のレースは8%増、そして全体では2024年1〜9月期と比較して5%減となっています。北カリフォルニアの競馬がない状態で5%減が好ましいのか問題なのかは、理事会と専門家の方々に判断を委ねます」。
・理事会は2026年の南カリフォルニア開催日程を承認した。2025年と同様だが、今年デルマー競馬場がBC開催のために取得した1週間分の日程が来年はサンタアニタ競馬場に振り分けられる。来年のブリーダーズカップはキーンランド競馬場で開催される。
・バーナルパークレーシングのジョージ・シュミット氏は、公開討論の時間を利用して理事会に対し、同社が再び北カリフォルニアでのフェア競馬の開催申請を行う意向を表明した。申請は来月のCHRB会合前に提出される見込みだと述べた。シュミット氏は、バーナルパークレーシングを共同設立した故ジョン・ハリス氏と共に、2025年の開催承認取得に失敗していた。北カリフォルニアでの競馬開催が中止されたことにより、サイマルキャストによる収益が南カリフォルニアに振り向けられ、同地域の賞金総額が増加した。
・シュミット氏は委員会に対し、カリフォルニア州における生産頭数の減少と、従来北カリフォルニアを拠点としていた馬の一部が、競争力が高い南カリフォルニアを嫌って州外へ流出している現状を強調した。
By Byron King
(1ドル=150円)
[Bloodhorse.com 2025年10月16日「Breeders' Cup Not Planning to Restrict CAW in Win Pool」]