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No.35 - 2
課税問題に対する様々な反応(イギリス)【その他】
2025年09月18日

 英国文化・メディア・スポーツ大臣のリサ・ナンディ氏は9月10日(水)、政党を超えた政治家たちからの意見表明を受けて、英国の競馬が直面している課題について、レイチェル・リーヴス財務大臣と何度も話し合いを行ったと述べた。

 ナンディ氏は、オンライン賭事の課税を統一するという財務省の提案に反対する抗議活動の一環として、競馬関係者がウェストミンスターに集結する数時間前に、文化・メディア・スポーツ委員会で発言した。

 委員会議長であるキャロライン・ダインネージ氏は、政府の計画により2,700人以上の雇用が危機にさらされるとの競馬界の評価について大臣に質問した。

 ナンディ氏は「その件については協議を行いました。協議の結果についてはまだ発表していません。競馬が直面している課題と、それに正しく対応することの重要性について、各政党の議員から意見が寄せられています。

 「私は財務大臣、首席秘書官(ダレン・ジョーンズ氏)と何度も話し合いを持ち、新しい首席秘書官(ジェームズ・マレー氏)とも話し合う予定です」と述べた。

 英国賭事・ゲーミング協議会(Betting and Gaming Council: BGC)は、英国競馬界が財務省の提案に対する懸念を強調するため、本日の競馬の中止決定に踏み切ったことを「遺憾に思う」と表明した。

 同団体は競馬界の指導者層との協働を望んでいるとしつつも、税制上の特別扱いを求める声は「誤った方向性」だと述べた。

 競馬界とブックメーカー間の緊張はここ数週間で高まっており、競馬界の一部ではオンラインカジノ事業者の税率を大幅に引き上げる提案を支持する動きが見られている。

 「競馬界が本日の開催日程変更を強行した決定を遺憾に思います」とBGC広報担当者は述べた。「業界の懸念は理解しますが、英国競馬に多大な財政的貢献をしている賭事事業者との協議なしに決定が下され、本日の開催を楽しみにしていた顧客に混乱をもたらす結果となりました」

 「BGCとその加盟団体は、競馬界と建設的に連携し共通の課題に取り組む意思があります。特定スポーツへの優遇措置は誤った方向性です。規制対象の賭事・ゲーミング業界へのさらなる増税は、競馬だけでなく事業者からの資金に依存する他スポーツにも打撃を与えるでしょう」

 「競馬と賭事は長年にわたり共生関係にあり、一方が繁栄するには他方が不可欠です。さらなる混乱は何百万人の競馬ファンを失望させ、雇用や地域社会、そしてこのスポーツの長期的な未来を支える収益基盤を損なうリスクがあります」。

 BGCは、賭事業界から英国競馬に年間3億5,000万ポンド(約700憶円)以上貢献していると述べた。

 BGC広報担当者は次のように付け加えた。「我々は、引き続き建設的な対話を進め、競馬の将来と、何百万人ものファンにもたらされる楽しみを守るための解決策を見つけていきたいと思っています。」

 英国競馬界の指導者は、現在15% の一般的な賭事税率が、スロットやカジノなど偶然性に基づいたオンラインゲームに課せられる21%と同水準に引き上げられることを懸念し、政府に対してリモート賭事税の一律化を取りやめるよう要請している。

 また、他の賭事が競馬に対して不公平な税制上の優位性を持っているとも主張している。

 一方で、今週、米国を拠点としてカジノとオンラインカジノを運営するバリーズ社の最高経営責任者であるロブソン・リーブス氏は、一般賭事税をリモート賭事税と同水準にする一律化の上で、同社は十分対応できる立場にあると述べた。

 賭事業界誌 EGaming Review は、リーブス氏が「それは当社にはほとんど影響を与えないでしょう。同業他社には大きな影響があるでしょう」と述べたと報じている。

By Bill Barber

(1ポンド=約200円)

[Racing Post 2025年9月10日
「Minister has had 'number of discussions' with chancellor about challenges facing racing in light of government plans」]



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