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No.35 - 1
BHA会長が税制問題で競馬界の団結を呼びかける(イギリス)【その他】
2025年09月18日

 英国競馬統括機関(BHA)の新会長チャールズ・アレン卿は、政府が計画するオンライン賭事税への一本化に対し、英国競馬界が一丸となって撤回を働きかけていることを誇りに思うと語った。

 アレン卿は、ウェストミンスターのクイーンエリザベス2世センターで競馬界の指導層が開催した抗議集会の参加者に対し、競馬界のメッセージを徹底させるためには地元の国会議員への働きかけを継続する必要があると述べた。

 今月1日の就任後、アレン卿が公の場で話すのはこれが初めてだが、本キャンペーンについて次のように語った。「これまでの取り組みも評価していますが、今日、何より誇りに思っているのは、この業界が固い結束を見せていることです」

 「政治家からすると、目的の異なる人がバラバラに陳情に来た場合、その訴えを軽くあしらうのは簡単なことです。我々がこれからすべきことは、それが支払い能力審査や賦課金の問題であれ、この問題であれ、様々な課題に対し一枚岩となって臨むことなのです」。

 アレン卿は、競馬というスポーツが持つ人間味にあふれる物語を政府に示していく必要があると述べた。

 「競馬場運営者やここにいる賭事事業者は一人残らず、地元の国会議員に要請しなければなりません。そうすることによって、我々のメッセージの影響力を高めることができるのです」と、アレン卿は語った。「政治家と接する際は、何かを求めるように話をしてはいけません。まず、その議員が何を重視しているのかを尋ねるのです。いかなる政府、なかでも、労働党政権にとって、雇用問題はきわめて重要です。国内投資や経済成長も同様です。競馬界は、その国内投資を呼び起こす産業です」。

 アレン卿は、状況を「楽観的に見てはいる」ものの、政府が「相当な圧力下にある」ことも承知していると述べた。

 「政府は巨額の財源不足をどう埋めるかという課題に直面しています」とアレン卿は述べた。「国に潤沢な資金がないことは承知しています。だからこそ、業界全体が一丸となり、我々の言い分を強く訴えかけていく必要があるのです」。

 アレン卿は続けた。「我々に対する協力的な姿勢が多く認められますが、なすべきことはまだ山積しています。皆さんに課せられた使命は、今日この場を離れたらすぐに、地元の国会議員や地方自治体と連絡を取ることです。我々は国内外で社会的にきわめて重要な役割を果たしているのです」。

 火曜日の夕方、財務省はダン・トムリンソン財務担当政務官の声明を発表した。そのなかで同氏は、税率引き上げの可能性を巡る憶測は「不正確であるばかりか、無責任でもある」と述べた。

 英国ジョッキークラブCEOのジム・マレン氏は、財務省が賭事税の増税による弊害を認識することを期待し、次のように語った。「財務省の役人は、おそらく考えうるかぎり最も冷徹かつ客観的なタイプの人たちだと言えるでしょう。担っている職務の重要性を考えれば、そうあるべきなのです」

 「この税制一本化について理解に苦しむ理由は、新税制が競馬界に6,600万ポンド(約132億円)もの打撃を与えることによって、結果的に3億ポンド(約600億円)もの税収にも影響を及ぼすからです」

 「財務省のきわめて優秀で客観的な方ならば、この問題を見極めて、中期的に3億ポンドを失う結果になるのに一体、何の意味があるのか、自ずと結論に至るはずだと期待しています。また、増税をすれば、イギリスが疑う余地なく世界一である分野を損ねることにもなるのです」。

 競馬場運営者としてマレン氏と同じ立場にあるアリーナレーシング社(Arc)のマーチン・クラッダス氏も、競馬界が団結して政府に働きかけるべきというアレン卿の主張に賛同した。

 「本日、我々の活動がこれほど大きく報道されたことに勇気づけられています。我々の運動は大きく前進していますが、ここで手を緩めてはなりません。働きかけを続けなくてはなりません。残された8週間が正念場です。

 「頻繁に起こらなかったことですが、競馬界が完全に一枚岩となれば何ができるのかをまさに示すことができる事例なのです」。

By Bill Barber

1ポンド=約200円

[Racing Post 2025年9月10日「Lord Allen calls on British racing to stand 'shoulder to shoulder' in racing tax campaign」]



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