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No.9 - 2
ニュージーランド競馬産業の現状報告と提言(ニュージーランド)【開催・運営】
2018年09月21日

 8月29日にハミルトンにおいて、ニュージーランド競馬産業の現状に関する報告が行われた。"同産業は回復不可能なほど絶望的な状態に少しずつ向かっている"と警告するこの報告について、競馬担当大臣のウィンストン・ピータース(Winston Peters)氏は"率直な評価である"と述べた。

 この報告を行ったのは、アローフィールドスタッド(Arrowfield Stud)の会長ジョン・メッサーラ(John Messara)氏である。ニュージーランド政府は"国内競馬産業の現状についての評価"と"変革に向けた提言"を、メッサーラ氏に委託していた。

 報告における提言は以下のとおりである。

・ ニュージーランド競馬委員会(New Zealand Racing Board)をウェイジャリング・ニュージーランド(Wagering New Zealand)に改名し再編する。権限は各部門(サラブレッド・ハーネス・ドッグレース)に委ねられる。

・ スケールメリット(規模を大きくすることによって生まれる利点)を得るために、TAB(NZの独占的賭事業者)の商業活動を、国際展開している賭事業者に外部委託する。

・ 国内競馬場を48場から28場に減らし、残った競馬場をアップグレードする。

・ オールウェザー馬場をケンブリッジ・アワプニ・リッカートン競馬場に敷設する。

・ 賞金総額を年間1億NZドル(約75億円)以上増加させる。

 副首相でもあるピータース氏は、この報告はニュージーランド競馬産業の現状に関して自らが抱いていた危惧のいくつかを指摘していると述べ、こう語った。

 「メッサーラ氏が実施したレビューは、ニュージーランド競馬産業の現状への率直な評価です。同産業は低迷していて早急な改革が必要だと断定しています。また、サラブレッド競馬が回復不可能なほど絶望的な状態へ向かう瀬戸際にあるとも警告しています。その上、私たちの多くがここ何年か抱いてきた不安を指摘し、方向転換する必要性を強調しています」。

 「このレビューが明らかにしているとおり、前途には複雑な課題が待ち受けています。それゆえ、そのプロセスを促進させるために政府は暫定的な機関を設けることも検討するでしょう。それはとりわけ、競馬のガバナンスが変更される場合です。競馬産業は熱心な支持を基に確立された重要な産業であり、そのGDP(国内総生産)は16億NZドル(約1,200億円)で、大きな雇用を生んでいます。私たちは国としてこの産業を、さらに偉大なものに発展させるべきです」。

 この報告書の最も抜本的な提言の1つは、国内の競馬場をほぼ半減させ、ケンブリッジ・アワプニ・リッカートンの3競馬場へのオールウェザー馬場敷設のために投資することである。

 メッサーラ氏は報告の際にビデオリンクで調査結果をいくつか説明し、こう語った。「ニュージーランド競馬産業の現状にとても心を痛めています。賞金を倍増させるべきであり、同産業はそれにふさわしい、より明るい未来を迎えられるでしょう。競馬場の削減は提言の中でも必須の事項であり、達成可能です。私はニュージーランド競馬が再び繁栄することを心待ちにしています」。

 サラブレッド競馬統轄機関であるニュージーランド・サラブレッドレーシング(New Zealand Thoroughbred Racing: NZTR)も、メッサーラ氏が報告した調査結果を歓迎した。そして、切望される変革をニュージーランド競馬にもたらすことができると確信している。

 NZTRのアラン・ジャクソン(Alan Jackson)会長はこう語った。「変革すべき時が来ました。この報告により、サラブレッド産業を繁栄させるための計画が作り上げられることを確信しています。NZTRの理事会はこの報告の詳細をまだ検討していませんが、大半の提言は我々の見解と一致しており、それらの方針が独立した専門家によって裏付けられたことを心強く感じています」。

 「しかし、これらの提言を実行に移すには、かなりの仕事量と投資が要求されます。このチャンスを無駄にしないようにするために、私たちは政府・ニュージーランド競馬委員会・競馬産業暫定機関とともに取り組む必要があります」。

 「私たちはニュージーランド競馬には輝かしい未来があると確信しています。しかし、もし報告が目標とする賞金倍増を達成しようとするのであれば、本当の変革と勇敢なリーダーシップが必要となるでしょう」。

 「ニュージーランド競馬産業を持続可能にするにあたり、私たちは岐路に立っており、迅速に行動する必要があります。厳しく規制された産業なので、競馬法の改正が勧告されたならば、各部門がそれを実現するために、可及的速やかに適用することが不可欠です」。

 ジャクソン会長は、NZTRは競馬場の数を減少させるという提言を受け入れていると述べ、こう語った。

 「インフラ支出を引き上げるべきです。戦略的な競馬場の多くは大幅な投資を必要としています。しかし現在の競馬場数を維持しようとすれば、インフラ支出が全体には行き渡らない恐れがあります。競馬産業はニュージーランドにおいて経済的かつ社会的に大きな影響力を持っています。フルタイム当量(FTE)で1万4,000人以上の雇用を維持しており、5万5000人以上の参加者がいて、ニュージーランド経済に16億NZドル(約1,200億円)の付加価値をもたらしています」。

 「サラブレッド競馬部門だけでも、馬主1万6,000人、生産者3,700人、調教師1,000人が関わっており、フルタイム当量(FTE)で9,000人以上の雇用を生み出しています」。

By Lydia Symonds/Racing Post

(1NZドル=約75円)

[bloodhorse.com 8月30日「New Zealand Industry Report Calls for Big Changes」]



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