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No.40 - 4
パキスタンスター、悪癖のために今シーズンは出走できない可能性(香港)[その他]
2017年10月12日

 香港で一番有名な馬であり、インターネットで世間をあっと言わせたパキスタンスター(Pakistan Star)は、12月の香港国際競走に出走しない。香港ジョッキークラブ(Hong Kong Jockey Club: HKJC)が、同馬が手におえない行動を取り続けるのであれば、「出走を停止する」と通告したのだ。

 パキスタンスターは、デビュー戦で最後方から一気に追い上げて先頭に立ち、センセーショナルな勝利を果たしたことで、世界的名声を獲得した。その後は1倍台の人気を背負っても他馬を差し切れずに敗退し、ファンを苛立たせていた。しかし今年に入ってからは、香港クラシックカップと香港ダービーの覇者であり悲運のスター馬でもあるラッパードラゴン(Rapper Dragon)に最後の直線で食らいつき、別格であることを証明し、世界的人気馬としての地位をさらに高めた。

 ところが、同馬の競走生活は新たな難題にぶつかった。オッズ1.2倍の一番人気で臨んだプレミアプレート(G3 6月25日)で自ら止まってしまったのだ。そのため、裁決委員は同馬に出走停止処分を課した。同馬は、バリアートライアル(模擬レース)に合格して意欲的に競走できるようになるまで出走できない。

 パキスタンスターは10月3日のバリアートライアルで、再びジョアン・モレイラ騎手の合図を無視した。コースの全く同じ地点でほぼ停止してしまったのだ。裁決委員はこれを受け、10月4日午前にこう発表した。「パキスタンスターは、シャティン競馬場の1800mの地点からスタートして芝コースの向こう正面でギャロップ(襲歩)を2回し、問題のある地点を通過しなければならない。さらに1600mのバリアートライアルに2回出走できれば、競走に復帰することができる」。

 アンソニー・クルーズ(Anthony Cruz)調教師は、パキスタンスターが再びバリアートライアルに出走する態勢が整うまでに数ヵ月掛かるかもしれないことを認めた。そして、「12月の香港国際競走ですか?その話はしないでください。今シーズン中でさえも出走は厳しいかもしれません」と語った。

 クルーズ調教師はヒアリングの後、サウスチャイナモーニングポスト紙にこう述べた。「私たちはビッグレースに挑戦することを考える前に、この問題を必ず解決しておかなければなりません」。

 「この問題に対処するチャンスを与えてくれたHKJCに感謝します。プレミアプレートでパキスタンスターがやったようなことをする馬は、誰も見たくはありません。急にブレーキを掛け、止まったのです。とてもショックでした。騎手時代も調教師になってからも、このようなことをする馬を担当したことはありません」。

 「パキスタンスターのこうした愚かな癖を無くすために取り組んでいます。大変ありがたいことに、馬主とHKJCは、私たちが自らの方法でこの問題を克服できるように、十分な時間を与えてくれています」。

 「簡単に無くせる癖ではありません。馬には人間と同様に癖があります。このことは、パキスタンスターが場所や顔を認識していることを示しています。彼は思慮深く、物覚えが良いのです。すぐにこれを取り除くことはできません。この種の問題を解決するのは容易ではありません。この癖が治らなければ、彼は私のもとを去るでしょう。しかし、必ず治す自信があります」。

By Stuart Riley

[Racing Post 2017年10月4日「Pakistan Star may not race again this season as stewards get tough」]



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