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TOPページ > 海外競馬情報 > 騎手として快適な暮らしを送るのに必要な騎乗回数(イギリス)【その他】
海外競馬情報
2016年02月20日  - No.2 - 5

騎手として快適な暮らしを送るのに必要な騎乗回数(イギリス)【その他】


 2015年リーディングに輝いたシルヴェストル・デ・ソウサ(Silvestre de Sousa)騎手が「騎手として快適な暮らしを送るために必要なことは何か」について述べたとき、人々は眉をひそめた。

 デ・ソウサ騎手はインタビューで、「2015年シーズン開幕時にフリーとなりましたが、快適な暮らしを送るには100勝する必要があると考えていました。かつては50勝すればやっていけたでしょうが、今はもっと勝つ必要があります。賞金が低いからです」と語った。

 もちろん"快適な暮らし"には個人差がある。デ・ソウサ騎手は、12人の100勝ジョッキーの1人として2015年シーズンを終えた。彼がこの話をしたときには、それぞれの理由で国内100勝を達成できなかったものの以前リーディングジョッキーに輝いたことのあるフランキー・デットーリ(Frankie Dettori)、ライアン・ムーア(Ryan Moore)、ジェイミー・スペンサー(Jamie Spencer)や、76勝しかできなかったが獲得賞金は338万7,000ポンド(約5億5,886万円)に達したアンドレア・アッゼニ(Andrea Atzeni)のことは考慮していない。しかし、デ・ソウサ騎手が伝えたいことは明確である。

 プロの騎手の大半が厳しい生活を強いられているとは、誰も考えてはいないだろう。騎手協会(Professional Jockeys Association:PJA)は18ヵ月前、騎乗回数が年間100鞍以上の騎手を対象に調査を実施した。彼らの平均所得は2万5,110ポンド(約414万円)である。この"平均"の中には、ビッグレースで頻繁にこの平均所得に相当する額を稼ぐトップジョッキーが含まれている。しかし、最も底辺にいるジョッキーは含まれていないことに留意すべきである。

 デイリーメール紙(Daily Mail)が最近実施した同様の調査によれば、チャンピオンシップ(訳注:最上位であるプレミアリーグの1つ下のディビジョン)の平均的なサッカー選手は、週に約9,000ポンド(約149万円)を稼いでいる。

 しかし、多くの騎手が厳しい状況にある一方、50勝はできても100勝には届かない"平地の中堅騎手"とも言える騎手も厳しい状況にあるのだろうか?多くの人々は、特に怪我や競走中止が頻繁に生じる障害競走の大多数の騎手に比べればまだ良いと認めている。

 多くの"平地の中堅騎手"は、賞金が低いため、勝利数よりも騎乗回数を所得の指標として重視している。しかし、「騎乗機会を得ることは難しく、乗鞍を巡る争いは壮絶なものになっている」と彼らは述べる。


少なくとも500鞍

 ポール・マルレナン(Paul Mulrennan)騎手は、2015年に97勝してキャリア最高の94万2,000ポンド(約1億5,543万円)を獲得したが、騎乗回数は750回程度が鍵となると述べた(2014年:753戦102勝、2015年:751戦97勝)。

 マルレナン騎手は次のように語った。「騎乗手当は1日の賃金です。移動のための燃料代などを考慮しなければならないので、私たちはどれだけ騎乗回数が得られるかを常に心配しています」。

 「騎手によってさまざまですが、賞金と騎乗手当以外の賃金を得るために厩舎で働く騎手もいます。しかし、1シーズンに少なくとも500鞍に騎乗することで、快適に暮らせると言えるでしょう」。

 「良い騎手はいくらでもいるので、競争が激しくなっているのは確かです。たった1回の騎乗のために開催場に足を運ぶ騎手を頻繁に目にするようになりました。彼らは1鞍も逃すことができないのです」。

 ロバート・ハヴリン(Robert Havlin)騎手は、優秀な厩舎のサポートを受けている。同騎手は次のように語った。「億万長者の暮らしという訳ではありませんが、そこそこの生活をしています」。

 「ここ数年は、幸運にもジョン・ゴスデン(John Gosden)厩舎の馬に騎乗させてもらっています。騎乗機会がなければ、力関係でたちまち劣勢になります。余分な騎乗機会など滅多になく、今では以前よりもずっと多くの騎手がいます」。

 ハヴリン騎手は次のように付言した。「現在42歳で、パートナーと2人の子供がいます。騎手になって26年になりますが、ここまでやってこられたことに満足しています。念のために言いますが、昨年は毎日かなりの距離を移動しました。それに、ここで騎乗しないときはほとんど毎日曜日に海外で騎乗しているので、1日の休みを取ることも難しいです」。

 「この時期の収入はすべて騎乗手当にかかっています。賞金額は非常に低いので、エージェントやバレットなどに支払ってしまえば、手元に残るお金などほとんど無くなってしまいます。賞金の10%が騎手に入るというのはよくある勘違いです」。


広がる格差

 近年怪我に悩まされているダービージョッキーのマーティン・ドワイヤー(Martin Dwyer)騎手は、最近騎乗を再開した。同騎手は次のように語った。「騎手は賞金の10%をもらっているわけではありません。1着賞金の6.8%ほど、入着賞金の3%ほどしかもらっていません。したがって、G1競走で2着となっても実入りは良くありません。賞金額はトップレースに多く配分されていますし、増額されるのはいつもG1競走の賞金です」。

 マルレナン騎手やハヴリン騎手と同様に、ドワイヤー騎手もこれまで以上に騎乗機会を得るのは難しいと考えている。そして次のように続けた。「競馬はますますエリート主義になっています。ほんの一握りの騎手が以前にも増して収入を得るようになり、格差は広がっています」。

 「最近は騎手が多いので、騎乗機会が少なくなりつつあります。5~10年前より少ない乗鞍であっても、必ず開催場に行きます。多くの騎手にとって状況は同じです」。

 現在、多数の騎手がドバイや香港で騎乗しており、長年にわたり定期的に遠征している騎手もいる。国内で49勝しか挙げていないタド・オシェー(Tadhg O'Shea)騎手は、ドバイカーニバルの賞金が高額であることを強調した。

 しかし、そのレベルの賞金を手に入れるチャンスは比較的少なく、多くの騎手が国内のコネクションを維持する方を選んでいる。香港で競馬が開催されるのは週2日だけである。ドバイカーニバルが開催されるメイダン競馬場では、2ヵ月あまりの間に競馬は基本的に週1日のみの開催であり、ドバイの他の競馬場では、ずっと小規模な開催しか施行されていない。


障害から平地への転身

 これまで障害騎手として年間50勝以上を挙げてきたダギー・コステロ(Dougie Costello)騎手は、大半の騎手とは異なる見解を述べた。同騎手は2015年に平地で12勝しかしなかったが、1年間平地と障害の両方に騎乗した末、障害騎手のキャリアを過去のものにしつつある。

 最近カール・バーク(Karl Burke)調教師の管理馬に騎乗することを発表したコステロ騎手は、次のように語った。「フリーの障害騎手として、1年間の移動距離は9万マイル(約14万5,000 km)に上り、自宅で寝るのは週に3~4回だけでした。平地レースで騎乗を開始した理由の1つは、30歳になって、より多くの選択肢を持とうとしたからです。大変うまく行っており、平地のキャリアを進むことにはメリットがあります」。

 「妻はシルヴェストルのコメントを読んで、"そういえば、賞金額が下がる一方で、燃料代・食費・自動車代・タイヤ代・サービス代などあらゆるコストが上がっている"と言いました」。

 「8月にフランスで騎乗しましたが、信じられないほど賞金は高額でした。オリヴィエ・ペリエ(Olivier Peslier)騎手は、"フランスのトップ30に入る騎手は去年、100万ポンド(約1億6,500万円)以上の賞金を獲得した"と話していました」。

 「リーディングジョッキーになったら、裏方で働く運転手、マネージャー、エージェントが必要となります。スタッフを雇い給料を支払うには、100勝以上しなければなりません。私にはそれほど収入はないのですが、11月と12月に運転手を雇っていました。週に2,000マイル(約3,200km)以上も移動するので、車中で眠ることができました」。

 多くの騎手と同様に、コステロ騎手はスポンサーの援助を受けている。同騎手は「スポンサーは用具一式の代金を支払ってくれ、移動費を補助してくれます。これでかなり節約できます」と述べた。スポンサーの援助は、500ポンド(約8万2,500円)から稀なケースでは5万ポンド(約825万円)にも上るが、これはかなり役立っている。ロバート・ウィンストン(Robert Winston)騎手は、中の下クラスの騎手の生計の実態を説明するとき、このことを認めた。


整った支援制度

 ウィンストン騎手は2005年のリーディングジョッキーになると目されていたが、顎の骨折のためにそれは叶わなかった。昨年はふたたび長期休養を強いられ35勝しかできなかった。

 スポンサーのノーサンブリアレジャー社(Northumbria Leisure)から"かなり"の援助を受けている同騎手は、次のように語った。「ブックメーカーが競馬賭事を営んでいるかぎり、賞金額が劇的に増加することはないでしょう。しかし、オールウェザーのチャンピオンシップや、多くの平凡な競馬開催で目玉となるレースが設けられたことで、そこそこの賞金が提供されるようになり、ここ2年ほどで状況は改善されました」。

 「騎手は手厚くケアされる職業です。年金制度が整っており、怪我をしたときは負傷騎手基金の支援を受けられます。それに、プロ騎手保険制度(Professional Riders Insurance Scheme)もあります。オークシーハウス(Oaksey House 引退騎手のための住宅)のほか、今では北部に新しいジャックベリーハウス(Jack Berry House 負傷騎手のためのリハビリ施設)もあり、競馬場でも物理療法を受けることができます」。

 「エディストバート社(Eddie Stobart 運送会社)からも多大な支援を受けています。同社は、リーディングランキングと現役引退保険制度(Career Ending Insurance scheme)に資金提供しています」。

 「格下レースで1回騎乗するために開催場に行くことは割に合いませんが、大局的に見るべきです。500~700回騎乗できれば、かなり快適な暮らしができます」。

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 収入

 ・1レース当たりの騎乗手当:118.29ポンド(約1万9,500円)

 ・さらに1着の場合は賞金から約7%、入着の場合は賞金から約3%の進上金を受け取る。

 ・スポンサーからの支援:500~5万ポンド(約8万2,500円~825万円)

(すべての騎手にスポンサーがついているわけではない。最低レベルのサポートでは、用具一式と車の燃料代が支給される。中レベルのサポートでは、レンタカーや量販車の使用権が提供される)。

 控除

 騎乗1回当たりの標準的な控除額は以下のとおり。

 ・エージェント:最低でも11.18ポンド(約1,845円)(騎乗手当の10%、プラス進上金の10%)

 ・物理療法:59ペンス(約97円)

 ・騎手協会(PJA):3.55ポンド(約586円)

 ・現役引退保険制度:1.10ポンド(約182円)

 ・騎手協会(PJA)団体保険:75ペンス(約124円)

 ・バレット:1鞍目14.94ポンド(約2,465円)、2鞍目9.55ポンド(約1,576円)、それ以降1鞍につき7.77ポンド(約1,282円)

 ・プロの騎手がPJAに所属しエージェントとバレットを雇用している場合(圧倒的多数)、各種控除後に騎手の手元に残る金額は、1鞍目で85.53ポンド(約1万4,112円)、2鞍目で90.92ポンド(約1万5,000円)、それ以降の騎乗で92.7ポンド(約1万5,300円)である。

 平均収入

2014年7月、PJAは年間100鞍以上騎乗している騎手を対象に、平均収入に関する調査を行った。平均値と中間値はほぼ同じである。

 ・平均騎乗回数:335回

 ・平均年収(進上金を含む):4万8,000ポンド(約792万円)

 ・スポンサー収入(騎乗のための支給):2,000ポンド(約33万円)

 総収入

 ・5万ポンド(約825万円)

 控除合計

 ・1万2,390ポンド(約204万4,350円)*

 移動費用

 ・1万2,500ポンド(約206万2,500円)**


 平均所得(税引前)

 ・2万5,110ポンド(約414万円)

*:上記控除リストの全ての控除を含む。そのほか、騎乗用具代[年間400ポンド(約6万6,000円)]、ウェザビーズ社の騎手口座への入金手数料[例えば騎乗手当の騎手口座への入金1回につき50ペンス(約83円)]、BHA(英国競馬統轄機構)の免許手数料の控除も含む。

**:年間移動距離を5万マイル(約8万km)とした(PJAの調査による平均値に基づく)。また、1マイルの燃料代は25ペンス(約41円)とした。

By Graham Dench
(1ポンド=約165円)

[Racing Post 2016年1月21日「NUMBERS GAME」]


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