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2016年02月20日  - No.2 - 1

中国競馬の規制枠組み確立を香港ジョッキークラブがサポート(国際)【開催・運営】


 ムンバイで開催されたアジア競馬会議(Asian Racing Conference:ARC)の第7ビジネスセッションで"中国大陸の競馬"が話題となった。このセッションで議長を務めたのは、香港ジョッキークラブ(Hong Kong Jockey Club: HKJC)のCEOウィンフリード・エンゲルブレヒト-ブレスケス(Winfried Engelbrecht-Bresges)氏であった。

 ブレスケス氏は次のように語った。「前回(2014年)のARCから、中国大陸における競馬関連活動は著しく増加しています。中国大陸の競馬・生産の健全で持続可能な発展のために一番優先すべきことは、適切な管理体制と規制の枠組みの確立です。その枠組みの確立と馬の福祉を確かなものにする獣医療のために、HKJCは中国馬業協会(China Horse Industry Association)と馬産業に関する協力協定を締結しました。また、競馬の管理・規制のあらゆる側面の強化に向けて私たちの技術的知見と施行経験を共有するために、HKJCは中国馬術協会(Chinese Equestrian Association)との戦略的協力を発表しました」。

 HKJCの競馬統括担当専務理事であるアンドリュー・ハーディング(Andrew Harding)氏は、中国大陸での競馬発展をサポートするために体系的に取り組んでいることを認めた。そして、「ハードウェアに不足はありませんが、ソフトウェアは全然間に合っていません」と述べた。

 「今年から私たちは、現地採用の人材に対し研修を開始する予定です。初期段階にある中国競馬の発展に取り組むにあたり、私たちが自然体のパートナーでいることは高く評価されるでしょう。HKJCは長い間、中国大陸に貢献し関与してきました。競馬の将来に関して、私たちの協力は広範囲にわたっており、血統登録・薬物検査・技術基準の向上・職員研修その他の多くの分野で取り組まれています」。

 HKJCの顧客・マーケティング担当専務理事であるリチャード・チャン(Richard Cheung)氏は、中国大陸で競馬場と馬主が増加している状況を説明した。同氏はこれまでの道のりを"競馬場投資の3つの波"と言い表した。

 同氏は次のように語った。「第一の波であった賭事目的の競馬場投資は、1990年代に中止を要求されました。その後の第二波は、"成り行きを見守る"投資でした。しかし、第三波はちょうど今、競馬への本格的な興味とともに起こりつつあります。競馬への関心が復活しているのははっきりしています」。

 中国馬業協会の賈幼陵(Jia Youling)理事長は、同協会の歴史とその運営体制について説明し、中国大陸には現在30競馬場があり、さらに建設されていると述べた。また、800以上の乗馬クラブと牧場があり、これからも増加することが予測されている。

 賈幼陵理事長は、「中国馬業協会が運営するレースに出走する場合は、必須のルールとして血統登録と予防接種、それに全レースでの薬物検査に従わなくてはなりません」と語った。

 チャン氏は、「HKJCは、中国大陸を拠点とする上位10人の馬主を特定しており、これらの馬主が合計で約1,200頭のサラブレッドを所有していると分析しています」と述べた。

 「中国の馬産業において、馬主の地位は形成されつつあります。馬主の合法的利益を増進し、馬主間で情報交換を行う基盤づくりのために、非営利団体の中国馬主連盟(China Horse Owners Association)が設立されています」とチャン氏は語った。

 チャン氏は、ライダーホースグループ(Rider Horse Group: RHG)の事例研究を発表した。その中で、同グループは昨年6月にベンチャーキャピタル投資を受けてシリーズD投資ラウンドを完了しているので、2016年に中国の証券取引所に上場される最初の馬関連企業となる可能性が高いと述べた。

 そして次のように付言した。「RHGは馬の商業分野全体を担当することを目標としており、それには馬の輸入、競馬場、競馬運営事業、サラブレッド取引、馬の輸送、飼料産業、コンサルタント業が含まれています。その持続可能性と成功に向けた道のりは現時点でははっきりしていませんが、多くの人々が認識している以上に顕著な発展を遂げています」。

 最後に、HKJCの競馬ビジネス・運営担当専務理事であるアンソニー・ケリー(Anthony Kelly)氏が、広州の従化区トレーニングセンター建設の進捗状況を代表者たちに伝えた。建設地の現状を紹介する空中ビデオ、トレーニングセンターの将来像の描写に続き、ケリー氏はこの計画の重要な支援ポイントを詳しく説明した。

 ケリー氏は、「香港では、1シーズンあたり780レース以上を施行し、馬主になるために4年間の順番待ちリストがあります。現在の土地を限度いっぱい使って運営しています。従化区での開発は地滑り問題のために遅れていますが、主要工事は2015年10月に再開されています。工事契約では引き渡し予定を2018年3月として実施中です。また、入厩と調教は2018年7月に開始される予定です」と語った。

 現在の計画では、2018-19シーズンには約400頭が収容され、2020年には700頭程度にまで増加する予定である。

 ケリー氏は、「従化区におけるスタッフのレベルと獣医療の質に関しては、香港の経営モデルを再現することを目標としています。現地採用した人材に対して、全てのマニュアル業務と運営業務の研修を実施する予定です。さらに調教騎手と競馬場スタッフの採用も現在準備中です」と語った。

 そして、「これが完了すれば、従化区は世界レベルの公正確保と競走水準でバリアトライアル(レース形式の試走)を毎週行い、大規模な競馬開催を施行することになるでしょう。HKJCは公正確保のレベルと競走水準が高いことで有名です」と付言した。

By Blood-Horse Staff

[bloodhorse.com 2016年1月28日「ARC: Regulatory Framework Needed in China」]


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