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TOPページ > 海外競馬情報 > ペガサスワールドカップはマッチレースとなるか?(アメリカ)【開催・運営】
海外競馬情報
2016年12月20日  - No.12 - 2

ペガサスワールドカップはマッチレースとなるか?(アメリカ)【開催・運営】


 第1回ペガサスワールドカップ(G1・1月28日ガルフストリームパーク競馬場)はすでに、競馬史上最も奇妙なレースの1つとなりつつある。このレースの12の出走枠は1枠あたり100万ドル(約1億1,500万円)だが、5月に発売されて4日後には売り切れた。出走枠の大半は、このレースに出走するレベルの現役馬を持たない人々により購入された。枠の1つは、生涯で一度も競走馬を所有したことがない謎のピザ店のフランチャイズオーナーが購入した。ペガサスワールドカップ開催まで2ヵ月を切った今、出走枠が発売された5月と同様に、どの馬が出走するのか見当がつかない。

 出走が確実と見られているのは、今年素晴らしい活躍をしているカリフォルニアクローム(California Chrome)である。同馬の馬主たちは5月に出走枠を購入した。一方、出走が有力視されるものの、馬主が枠を持っておらず参戦がまだ決まっていない1頭は、トラヴァースS(G1)とBCクラシック(G1)を制したアロゲート(Arrogate)である。馬主のジャドモントファーム(Juddmonte Farms)が史上最高賞金のこのレースにアロゲートを出走させたいのであれば、空の出走枠のオーナーに価格を提示させて出走枠を購入するだろう。

 残りの10枠については予測困難である。ガンランナー(Gun Runner)はクラークH(G1・チャーチルダウンズ競馬場)を制し、出走馬候補として浮上したが、共同馬主のロン・ウィンチェル(Ron Winchell)氏は積極的ではなく、サラブレッドデイリーニュース紙(Thoroughbred Daily News)にこう語った。

 「アロゲートとカリフォルニアクロームが参戦するようなので、非常に厳しいレースとなるでしょう。3着賞金は100万ドル(約1億1,500万円)です。出走するには100万ドルを出資した出走枠のオーナーと取引をすることとなりますが、彼らがまず初めに100万ドルを回収したいと考えるのは当然です。自分がその人であったとしても、それが最優先事項となるでしょう。私のような立場の者にとってそれはどういうことかと言うと、1着か2着にならないのであれば出走させても意味がないということです。そのような分が悪い賭けには乗り気になれません」。

 それでは、残りの10枠のオーナーはどうするのだろうか?そもそも、なぜ彼らは出走馬と目される馬がいないのに、100万ドルもの大金を出走枠に注ぎ込んだのだろうか?ペガサスワールドカップが史上最高賞金レースであることは事実である。なぜなら、出走枠のオーナーが賞金のすべてを拠出するので(出走馬の馬主が賞金の1~2%を拠出する通常のレースとは対照的である)、1着賞金は700万ドル(約8億500万円)に上る。しかし、出走枠のオーナーは、賭事、スポンサー料、メディア権料からの収入も均等に受け取ることができる。レースへの興奮度が高まれば、出走枠のオーナーにとってはるかに価値のあるものになるかもしれない。あいにく、出走枠のオーナーはレース施行日が近くなってきたら、参戦を検討する有力馬の馬主に出走枠を売却することも望んでいる。

 他の出走馬よりもずっと格上のアロゲートとカリフォルニアクロームの再対戦を中心にペガサスワールドカップが盛上りを見せているならば、いっそペガサスワールドカップがマッチレースとして施行されればどうだろうか?

 1975年にベルモントパーク競馬場でラフィアン(Ruffian)とフーリッシュプレジャー(Foolish Pleasure)がマッチレースで戦って以来、高額賞金のマッチレースは実施されていない。このレースはラフィアンが故障したことで悲劇に終わった。このレースによるトラウマは長く続き、マッチレースが実施されなくなった原因の1つとなった可能性が高い。この悲劇のマッチレースの前には、裕福な馬主が所有馬と賞金を出し合って互いに競う、ペガサスワールドカップに似たマッチレースがしばしば実施されていた。結局のところ、マッチレースは世界中の人々を観客として2人の馬主の間で行われる高額の賭けであった。ストロナックグループ(Stronach Group)がペガサスワールドカップで構想したように、当時はマッチレースの条件や賞金を巡りあれこれと思案された。何よりもマッチレースは、カリフォルニアクロームやアロゲートのように群を抜いて優秀な馬の対決から利益を得ていた。

 残りの出走枠のオーナーたちが、賞金よりもレースが生み出す収入に興味を持つのであれば、また、世界のトップホースの馬主たちがロン・ウィンチェル氏と同様に、カリフォルニアクロームとアロゲートを相手に勝負することに消極的であるならば、総賞金1,200万ドル(約13億8,000万円)のマッチレースとなることが答えとなるだろう。

 残りの出走枠のオーナーたちは、このレースにおいてその権利を2頭のどちらか1頭か、あるいは2頭それぞれに按分して支持することになるだろう。そして、マッチレースが作り出す興奮と評判は、かなりのスポンサー料とメディア権料をもたらすだろう。

 このマッチレースの光景はテレビ視聴率を高めて、たまにしか競馬場に来ないファンにどちらかの馬を応援する気にさせ、それぞれの馬のファン層を想像以上に作り出すことだろう。また、出走枠のオーナーには、レースそのものへの投資から利益を得る最高のチャンスをもたらすだろう。賭事客にとっては面白くないレースとなるかもしれないが、それで良いのかもしれない。1番人気馬が負けることを望むことよりも、ファンとして馬を応援するのだから、レースを純粋に楽しめるだろう。どのみち、どちらが勝ってもあまり多くの払戻金を受け取れない。

 しかし、これが妙案でない理由はたくさんある。馬はこのような少頭数のレースで走ることはほとんどなく、多頭数のレースに向けて調教されているので、マッチレースは通常、どちらの馬が秀でているかを決定する最善の方法ではない。

 マッチレースが独特である理由は、本来あるべき結果とは異なるからである。それでもやはり、どちらかの馬が勝たなければならない。そして、もたらされる賞金は、カリフォルニアクロームとアロゲートの関係者にとって極めて関心の高いものである。

 ペガサスワールドカップはすでにマッチレースであると言ってもいい。それを認めれば、このレースはずっと面白くなるだろう。

By David Hill

(1ドル=約115円)

[bloodhorse.com 2016年12月2日「Arrogate-'Chrome' Match Race in Pegasus?」]


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