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2015年09月20日  - No.9 - 2

ベットフェア社とパディパワー社が合併に合意(イギリス)【開催・運営】


 ラドブロークス社(Ladbrokes)とガラコーラル社(Gala Coral)の合併合意に続き、ベットフェア社(Betfair)とパディパワー社(Paddy Power)の合併も基本合意に達した。これにより、世界最大級のオンライン賭事業者が誕生する。

 売上げ11億ポンド(約2,035億円)以上となるこの合併会社は、現在の市場、さらには今後の新たな市場における競争で、優位な立場にたつことになる。

 合意条件には、パディパワー社の株主は5,800万ポンド(約107億3,000万円)の特別配当を受取って合併企業の株の52%を所有し、残りの株はベットフェア社が所有すると記されている。

 両社は証券取引所に対して、次のような共同声明を発表した。「予定されている合併によって、収入額で世界最大級の民間オンライン賭事・ゲーミング会社が誕生する。また、事業の規模と能力が拡大するとともに、ブランドの独自性を高めつつ相互補完することが可能となる」。

 「この合併には、説得力のある戦略的論理がある。また、オンライン賭事・ゲーミング市場における地位を強化するとともに、相乗効果を発揮し、顧客の満足度や株主価値を高めるに当たって両社に魅力的な機会を与える」。

 ベットフェア社のCEOブリオン・コーカラン(Breon Corcoran)氏(元パディパワー社COO)とパディパワー社のゲイリー・マクガン(Gary McGann)会長は、合併会社でも同じ役職を務める。一方、パディパワー社のCEOアンディ・マッキュー(Andy McCue)氏は、COO(最高執行責任者)となり、ベットフェア社のアレックス・ガーシュ(Alex Gersh)氏はCFO(最高財務責任者)となる。

 コーカラン氏は、次のように語った。「パディパワー社との合併案には、とてもワクワクさせられます。これまでにない賭事商品と能力、そして大幅に拡大された事業規模で、真に国際的なスポーツ賭事会社が創られるでしょう」。

 「合併会社の総収入は10億ポンド(約1,850億円)以上に上り、世界最大級のオンラインスポーツ賭事会社になるでしょう」。

 ラドブロークス社とコーラル社の合併合意の際と同様、この合併の成否は競争市場局からの承認にかかっており、両社は数週間後に進捗状況を報告するとみられる。

 ベットフェア社は、8月26日、2015年第1四半期の業績を発表した。同社の収入は15%増の1億3,540万ポンド(約250億4,900万円)、償却前利益(金利支払・税引前)は19%増の4,100万ポンド(約75億8,500万円)と好調であった。

 コーカラン氏は次のように続けた。「この結果は、今後も業績は堅調に推移することを示しています。サッカーW杯があった前年同時期から収入が2桁増加したことには、元気づけられますし、期待を上回るものでした」。

 「ベットフェア社は、賭事商品への投資、魅力的なオッズ、市場をリードするプロモーションにより、顧客を引き付け、繋ぎ止めています」。

 「ブランドへの投資拡大により、サッカーシーズンの滑り出しは好調です。シーズン開幕にあたり、スポーツチャンネルであるスカイスポーツ(Sky Sports)とBTスポート(BT Sport)を通じた“モアトゥプレイフォー(More to Play For)”の広告キャンペーンを開始しました。そして、プレミアリーグの5チームと新たなパートナーシップを締結し、サッカースタジアムのフェンス広告で存在感を高めました」。

 同氏は次のように付言した。「TVG社は、HRTV社買収により、高品質の競馬コンテンツに一層アクセスできるようになり、米国ベットフェア社の業績は引き続き堅調です」(訳注:ベットフェア社は2009年にTVG社を買収した)。

 「ベットフェア社は現在勢いがありますし、戦略を遂行するのに有利な状況にあります。今後も成長を続けて行くことでしょう」。

 8月26日に第1四半期の業績発表を予定していたパディパワー社も、営業利益が33%増の8,000万ユーロ(約108億円)となり、期待できる業績となった。純収入は25%増で、オンラインとベッティングショップのいずれの売上げも2桁以上増加した。

 マッキュー氏は次のように語った。「パディパワー社は、上半期に極めて良好な業績をあげ、定常ベースでの営業利益は68%増加しました」。

 「業績の大部分はオンラインおよびベッティングショップでの売上げに基づくものですが、オーストラリアでの営業利益は78%増となり、際立っています」。

 「私たちは、3月に計画した戦略、すなわち、払戻率の高いモバイル新商品の発表、販売促進キャンペーンの刷新、効率性向上などを実施することで、大きく前進しました」。

 「現在は、2015年全体の営業利益が2014年比で5%以上増加し、市場予測を上回ることを期待しています」。

 

ベットフェア社とパディパワー社の歴史

1988年:スチュワート・ケニー(Stewart Kenny)、デヴィッド・パワー(David Power)、ジョン・コーカラン(John Corcoran)の3氏は、それぞれのブックメーカー業を合併させ、パディパワー社を設立。アイルランドで40店舗のベッティングショップを営業開始。

1999年:アンドリュー・ブラック(Andrew Black)氏とエドワード・レイ(Edward Wray)氏は、共同でスポーティングエクスチェンジ社(Sporting Exchange)を設立。同社は2000年にベットフェア社としてベッティングエクスチェンジの提供を開始。

2000年:パディパワー社、パディパワーコム(paddypower.com)を立ち上げ、オンライン賭事市場に進出。
ベットフェア社、ラブディヴァイン(Love Divine)が優勝した2000年英オークス(G1)から賭事提供開始。

2001年:ベットフェア社、初めてインプレイベッティング(in-play betting訳注:試合や競走が開始されてから行われる賭事)を提供。フラッターコム社(Flutter.com)と合併。

2002年:パディパワー社、英国に最初のベッティングショップを開業。

2004年:パディパワー社、e-ゲーミングを提供開始。
ベットフェア社、5,000万ポンド(92億5,000万円)以上を売上げ、世界最大のエクスチェンジ賭事提供会社となる。

2005年:パディパワー社、ポーカーサイトを開設。世界最大のストリップポーカーゲームを運営。

2009年:ベットフェア社、米国の競馬会員制賭事業者TVG社を買収。
パディパワー社、豪州のオンライン賭事業者スポーツベット社(Sportsbet)の株を51%購買し、翌年に残りの株を購買。

2010年:ベットフェア社、ロンドン証券取引所に上場。
パディパワー社、アップルアプリケーションストアで初めて賭事アプリを提供するオンラインブックメーカーとなる。

2011年:パディパワー社、ブルガリアに拠点を置くゲーム・ソフトウェア開発会社カイタノ(Cayetano)を買収。

2012年:ベットフェア社、英国競馬界に対し5年間で4,000万ポンド(約74億円)以上の任意の資金提供を行うことを発表。
パディパワー社のCOOブリオン・コーカラン氏がベットフェア社のCEOに就任。

2013年:非公開投資会社CVCキャピタルパートナー社(CVC Capital Partners)が、ベットフェア社買収を試みるが失敗。ベットフェア社、伝統的な固定オッズスポーツブックを開始。
パディパワー社、オスカー・ピストリウス氏の裁判を対象にした賭事の宣伝広告が物議を醸し、広告規制当局に中止を命じられる。

2014年:パトリック・ケネディ氏が、8年務めたパディパワー社のCEO辞任を発表。

2015年:パディパワー社のCEOにアンディ・マッキュー氏が就任。

By Graham Green

 

(1ポンド=約185円、1ユーロ=約135円)

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2012年No.8「BHAとベットフェア社、賦課金制度に代わる歴史的契約を締結(イギリス)」、
2015年No.3「大手競馬チャンネルのTVG社がライバルのHRTV社を買収(アメリカ)

[Racing Post 2015年8月26日「Betfair and Paddy Power agree terms on merger」、8月27日「A history of the two companies」]
 


 


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