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TOPページ > 海外競馬情報 > 米国の繁殖牝馬を欧州に派遣して交配させるという選択肢(アメリカ)【生産】
海外競馬情報
2014年02月20日  - No.2 - 2

米国の繁殖牝馬を欧州に派遣して交配させるという選択肢(アメリカ)【生産】


 繁殖牝馬を交配のため欧州に派遣することは、ただでさえ費用が高くリスクがつきもののサラブレッド生産をさらに高額で危険なものとするが、一流生産者は、望ましい状況であれば繁殖牝馬に大西洋を渡らせることは魅力的な選択肢だと考えている。

 そして、ジャドモントファーム(Juddmonte Farms)の新種牡馬フランケル(Frankel)クールモア牧場の実績ある種牡馬でフランケルの父でもあるガリレオ(Galileo)は、その「望ましい状況」にしばしば関係している。

 ファシグ・ティプトン社(Fasig-Tipton)ケンタッキー11月セールで供用1年目のフランケルの仔を受胎した米国の繁殖牝馬2頭がセリを盛り上げたことで、すぐにこのような動きの利点がはっきりした。繁殖入りしたばかりのスピンスターS(G1)優勝馬インランジェリー(In Lingerie)は、フランケルのもとに送られた米国の繁殖牝馬17頭のうちの1頭であり、社台ファームにより240万ドル(約2億4,000万円)で購買された。また、2009年ダーレーデビュータントS(G1)優勝馬ミスエーニョ(Mi Sueno)は、190万ドル(約1億9,000万円)で吉田勝己氏に購買された。両馬ともブルーウォーター・セールス社(Bluewater Sales)により上場されていた。

 エクリプス・サラブレッド・パートナーズ社(Eclipse Thoroughbred Partners)の代表としてインランジェリーを所有していたアロン・ウェルマン(Aron Wellman)氏は、欧州年度代表馬に2回輝いた無敗馬フランケルのもとにインランジェリーを送ったことは正しいと思っていると語った。5歳牝馬インランジェリーは、ジャドモントファームが所有しボビー・フランケル(Bobby Frankel)調教師が管理した2003年ベルモントS(G1)優勝馬エンパイアメーカー(Empire Maker)を父とする。

 ウェルマン氏は、「フランケルとの交配にゴーサインが出た瞬間から躊躇はありませんでした。フランケルと交配させ米国に連れて帰ってくることは、またとない特別なチャンスでした」と語った。

 そして、「インランジェリーはフランケルの仔を受胎してセリに上場される米国初の牝馬になるかもしれないと考えていました。そしてそれは事実となり、歴史の一部となりました」と述べ、インランジェリーを欧州に輸送して交配させた上でセリに上場するため米国に連れて帰ることは容易なことではなかったことを認めた。また、英国でリーディングサイアーに4回輝いたガリレオの1歳産駒も、2013年に米国のセリで熱烈な支持を受けた。キーンランド9月セールで落札された5頭とファシグ・ティプトン社サラトガセールで落札された1頭の平均価格は、53万5,833ドル(約5,358万円)に上った。

 これらのほとんどはアイルランドで生まれ、米国での上場のため輸送されたが、スターライトドリームズ(Starlight Dreams)がケンタッキーで出産したガリレオ産駒に最も高い価格が付けられた。スターライトドリームズはこれまでに、アイルランドクラシック勝馬でG1を数回制したマスタークラフツマン(Mastercraftsman)やG1・2着馬フェイマス(Famous)、G3勝馬ジェニュインデボーション(Genuine Devotion)を出している。生産者ウッズエッジファーム(Woods Edge Farm)でコンサイナーがSFブラッドストック社(SF Bloodstock)で上場されたこの1歳馬は、キーンランドにおいてマイケル・マグニア(Michael Magnier)氏によって140万ドル(約1億4,000万円)で購買された。

 クールモア牧場の所有者ジョン・マグニア(John Magnier)氏の子息マイケル・マグニア氏は、「非常に素晴らしい馬で、この上ない血統です。マスタークラフツマンは2013年、大変活躍しました。この1歳馬はまさに優良馬で、この馬をアイルランドに連れて帰ります」と語った。

 2014年はプライベート価格で供用されるガリレオの成功と、初年度の種付料12万5,000ポンド(約2,125万円)で供用されたフランケルを巡る熱狂を受け、繁殖牝馬を持つ多くの米国人生産者は今、大西洋をまたぐ交配を検討している。

 フランケルとの交配のために繁殖牝馬を欧州に送った他の米国生産者は、2010年度代表馬ゼニヤッタ(Zenyatta)の半姉でG1を制したバランス(Balance)を送ったアマーマンレーシング社(Amerman Racing 代表:ジョン&ジェリー・アマーマン夫妻)、およびG1馬レディジョアン(Lady Joanne)やクラシック勝馬シャックルフォード(Shackleford)などを誕生させている2011年ケンタッキー州年度代表繁殖牝馬オートシー(Oatsee)を送ったマイメドウビュー社(My Meadowview 代表:レオナード・リッジオ氏)である。

 アマーマンレーシング社に交配について助言したヘッドリー・ベル(Headley Bell)氏は、フランケルが生み出す興奮は米国にもほぼ確実に達していると述べた。

 ベル氏は、「フランケルは私たちが長年見てきた中で最高の馬です。同馬と何らかの共通点を持つ仔を想像するだけで、非常にワクワクします。また、バランスは、アマーマンレーシング社にとってずば抜けて素晴らしい繁殖牝馬で、その馬がフランケルという素晴らしく、またぴったりの血統を得たのです」と語った。

 リッジオ氏に対しオートシーについての助言をしたリンカーン・コリンズ(Lincoln Collins)氏も、フランケルに対し同じように熱狂していた。

 コリンズ氏は次のように語った。「年度代表繁殖牝馬のオートシーをフランケルと交配させることには大きな魅力があり、フランケルは私の経験上おそらく最高の馬だと考えています。馬格的にも素晴らしい組み合わせです。オートシーはよく知っていますが、フランケルの現役時代は見ましたし、オートシーの契約を交わす前にも牧場で見ました。私の考えでは馬格は常に考慮すべき重要な事柄です」。

 ベル氏もコリンズ氏も、繁殖牝馬の欧州への輸送を生産者とともに決定するに当たり、費用とリスクを考慮に入れていた。しかし、いずれの繁殖牝馬も健康な状態でケンタッキーに戻ってきて、今年無事に出産すると見られている。

 繁殖牝馬を欧州と米国の間で行き来させるには、追加費用が生じる。さらに、米国に帰国する際にはその大部分が還付されるとは言うものの、繁殖牝馬の欧州到着時には付加価値税を支払う必要がある。

 コリンズ氏は、受胎した繁殖牝馬の輸送にはリスク増加が伴うことを指摘し、繁殖牝馬が帰国の輸送中に流産しても保証されない種付契約もあると語った。

 出産と交配のタイミングでも課題が生じる。たとえば、コリンズ氏とマイメドウビュー社は当初、オートシーを英国に輸送してそこで2013年の仔を出産させた後フランケルと交配させることを計画していた。しかし結局は、オートシーを米国で出産させる決定を行った。同馬は3月にダービーダンファーム(Derby Dan Farm)でバーナーディニ(Barnardini)の牝駒を出産し、その牝駒は乳母に預けられ、オートシーはフランケルのいるニューマーケットのバンステッドマナー牧場(Banstead Manor Stud)に輸送された。

 コリンズ氏は、そうすることでオートシーが輸送中に流産しても契約上保証されないとう懸念が無くなったと語った。それは、以前米国の繁殖牝馬を欧州に輸送した際に保証がない契約によって問題が生じたことがあったからであると語った。

 そして、「海外から繁殖牝馬を輸送するときに基本的に保証が付かない種付契約があり、これは契約前に確認すべき事柄です。不幸にも、過去の経験を通じてこのことに気付きました」と付け足した。

 コリンズ氏もベル氏も、輸送により繁殖牝馬に課税される可能性があることに言及した。

 コリンズ氏は次のように語った。「オートシーが若返ることはないという事実がありこのようなチャンスが巡ってきたので、私たちは挑戦してみることにしました」。

 「これはオートシーにとって最初で最後の旅になる可能性が高いです」。

 そして、「オートシーの輸送は非常に順調でした。素晴らしい気質の繁殖牝馬ですが、16歳であり狭いところに閉じ込めたくありませんでした。しかし結局のところ、彼女は英国での休暇を楽しみました」と付け足した。

 ベル氏は優良繁殖牝馬を欧州に輸送する決定に当たり、できる限り多くの要素を検討したと述べ、次のように語った。「調べなければならないことが山ほどありました。輸送には付加価値税を支払う必要があり、輸送費用も高額です。それに比較的危険な試みです。考慮したすべての事柄が決定に関わります」。

 240万ドル(約2億4,000万円)の落札額に満足した後でさえも、ウェルマン氏はインランジェリーをフランケルのもとに輸送するのに気がかりな場面があったことを認めた。

 ウェルマン氏は、「容易なことではありませんでした。繁殖シーズンを迎えてから彼女を検疫入りさせ、欧州に輸送するまで、非常に混み入ったプロセスでした。まったく特別などこか異様な経験でした。しかし私たちは結果に大変満足しており、彼女が成し遂げたことに感謝しています」と語った。

 ベル氏もコリンズ氏も、近年欧州勢が米国のセリで繁殖牝馬を購買して成功を収めていることに対応する動きでもあると語った。

 ベル氏は次のように語った。「何年もの間、欧州人は最高級の米国馬を購買して、数頭の傑出した米国産種牡馬を欧州で繋養しています。私たちは状況を変えようと思っています。誰もが常に優良競走馬を作り出そうとしており、結果がどうであろうと自身の繁殖牝馬に最高の種牡馬を付けるチャンスがあるのならば、それを必死で検討するでしょう」。

 「欧州の非常に優れた種牡馬の大半はその血統表に、少なくとも米国産の近親馬がいることを忘れないでおきましょう。これらの馬は基本的に米国産馬で、米国の血統を持っています。それが欧州、日本、オーストラリアであろうと、世界中の馬は当然米国の遺伝子プールと混じり合っていることを理解しなければなりません。そこには優良種牡馬を選べる世界が存在するのです」。

 コリンズ氏は、現在、欧州のサラブレッドへの米国人の関心は高まっていると述べた。

 そして、「ガリレオ産駒などの購買のため欧州に行く米国人もいます。確かに米国で上場され高値で落札されるガリレオ産駒もいます。欧州の血統に対する需要があり、どんな手段でも良いから手に入れたいと思っているようです。それを得る1つの手段は繁殖牝馬を欧州馬のもとに送って交配させることです。もちろん1つの手段にすぎませんが」と語った。

 「運があれば、欧州での購買中に優良種牡馬を手に入れ米国で供用することができます。そうすれば米国人も1歳セールで欧州血統を購買することができます」。

 自身の繁殖牝馬をフランケルのもとに送った生産者とそのアドバイザーは、ケンタッキーの種牡馬を軽んじているわけではないと述べる。状況を変えるために欧州への遠征を検討していると同時に、彼らは米国種牡馬を大いに支持し続けている。

 ベル氏は次のように語った。「私は依然として米国の種牡馬には大きな価値があると考えています。本当に素晴らしい種牡馬を2万5,000ドル(約250万円)で付けることができます。ポイントオブエントリー(Point of Entry)のような馬がいます。同馬は優秀な競走馬であった上に、完璧な血統です。他にも新種牡馬や若い種牡馬に大きなチャンスがあります。クオリティロード(Quality Road)などは傑出しています。実績が証明されていない種牡馬の中にも、とても素晴らしい種牡馬がいます。したがって、米国にはチャンスがいくらでもあります」。

 バランスはこれまで多くのケンタッキー拠点の優良馬と交配したが、今年フランケルと交配するチャンスは特別であるとベル氏は述べた。そして、アマーマンレーシング社が所有馬をボビー・フランケル厩舎に預託していたこともバランスのフランケルとの交配につながったと語った。

 そしてベル氏は次のように語った。「バランスはこれまでケンタッキーでストリートクライ(Street Cry)、エーピーインディ(A.P. Indy)、そしてスマートストライク(Smart Strike)と交配しました。選択肢はたくさんありますが、フランケルだけが持つ魅力が同馬と交配させる決定をさせました。しかし、他の生産者はその活躍ぶりからキトゥンズジョイ(Kitten’s Joy)やウォーフロント(War Front)などと自身の繁殖牝馬を交配させるでしょう。したがって、私たちは米国にとどまり米国の種牡馬に誇り持つこともできます」。

 コリンズ氏は、サラブレッド生産はますます国際的になっているが、ケンタッキーの種牡馬が提供できるチャンスは十分認識していると語った。

 そして、「このビジネスは国際的ですが、米国の生産者の関心は非常に内向きです。なぜならケンタッキーで馬を生産する場合、優良種牡馬が国内に多くいて選びたい放題なのです。しかしそうは言っても、海外で供用されている非常に素晴らしい種牡馬と交配させる例もあるのです」と付言した。

 ベル氏は、フランケルはおそらく生産者の想像力を捉えたのだろうと語った。

 そして次のように語った。「フランケルはあらゆる方法で皆の想像力を刺激しました。その血統もフランケルと言う名前も、その名前の由来となった人物にしても、すべてにおいてです。彼は現在いる種牡馬の中で最も国際的な馬です」。

 「商業的観点からすれば、フランケルの仔を受胎して上場された繁殖牝馬の平均価格が100万ドル(約1億円)を超えたことから、これだけでフランケルは間違いなく一流種牡馬と言えるでしょう」。

By Frank Angst
(1ドル=約100円)

[The Blood-Horse 2014年1月4日「The European Option」]


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