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TOPページ > 海外競馬情報 > アル・ザルーニ調教師に8年間の調教停止処分(イギリス)【開催・運営】
海外競馬情報
2013年05月20日  - No.5 - 1

アル・ザルーニ調教師に8年間の調教停止処分(イギリス)【開催・運営】


 マームード・アル・ザルーニ(Mahmood Al Zarooni)調教師は4月25日、クラシック競走に出走予定の有力馬サーティファイ(Certify)など管理馬15頭にアナボリック・ステロイドを投与したとして、BHA(英国競馬統轄機構)の懲罰委員会から8年間の調教停止処分を科せられ、この不祥事により競馬界に敬意を払わない無謀な人間というレッテルを貼られた。

 今やアル・ザルーニ調教師の“元”雇用主となったゴドルフィンのレーシングマネージャーであるサイモン・クリスフォード(Simon Crisford)氏は、もともと同調教師にモハメド殿下(Sheikh Mohammed)の事業体ゴドルフィンの第二調教師となることを直接勧めた経緯があり、同調教師を激しく非難した。そしてクリスフォード氏は、同調教師が英国で馬へのステロイド使用ができないことを知らなかったとは考えられないと語った。

 ニューマーケットのモールトン調教場(Moulton Paddocks Stables)におけるアル・ザルーニ厩舎の2人の厩務員と1人の獣医助手が、3月中頃に同調教師からの指示の実行に関与していた。同調教師は、英国でいかなる使用も禁じられているステロイドのエチルエストレノール(ethylestranol)とスタノゾロール(stanozolol)をドバイで調達し英国に持ち込んでいた、とクリスフォード氏は述べた。

 クリスフォード氏は、アル・ザルーニ調教師がドバイでもモハメド殿下に隠れてデビュー前の馬10頭にもステロイドを使用していたことを明らかにした。モハメド殿下は、自身の輝かしい世界的競馬帝国で生じた不祥事に激怒していると言われている。

 アル・ザルーニ調教師は、懲罰委員会の結果発表後に報道関係者に向けての声明発表を準備していたが、ロンドンのBHA本部への午後2時前の到着時に多数の取材陣が殺到したため、声明読上げを辞退し一人で立ち去った。

 用意された声明はクリスフォード氏が代読することになったが、その内容は次のとおりである。「何よりもまず、モハメド殿下、ゴドルフィン関係者、英国競馬の関係者に謝りたいと思います。私は英国の禁止薬物についてのルールを認識する責任があったことを認めます」。

 「私には謝罪することと今週初めに出した声明を繰り返すことしかできません。つまり“私は最悪の過ちを犯した”ということです」。

 クリスフォード氏は次のように続けた。「本日は英国競馬界にとって最悪の日となり、ゴドルフィンは大変な状況に立たされるでしょう。英国競馬界で評価を回復するには長い年月を要するでしょうが、これは競馬界に敬意を払わない無謀な人間が行ったことです。英国競馬界にとって暗黒の日です。アル・ザルーニ氏が私たちの調教師であったことを非常に遺憾に思います」。

 「モハメド殿下は私に、この問題を早急に収拾するよう指示しました。この不祥事を英国競馬界で長いこと未解決のままにしておくことはできませんので、早く処理することが必要です。モハメド殿下は英国競馬界に対し敬意と称賛の気持ちを持っており、30年以上トップオーナーとして関わってきていますので、英国の大衆がゴドルフィンを再び信頼できるように、この出来事を早急に処理する重要性を認識しています」。

 「モハメド殿下は毅然とした性格の持ち主であり、何よりもまずこの出来事を過去のものとすることを望むでしょう。殿下は馬と競馬に情熱を持っており、それらは楽しいものでなければなりません。今回の出来事は不愉快なものであり、私たちは皆、このことが殿下の競馬の楽しみに暗い影を残さないように望んでいます」。

 BHAが断固として素早くこのケースに対応したことは、昨日、薬物検査で陽性反応が出たニュースが初めて報じられてから100時間以内に裁定が出されたことから明らかである。

 アル・ザルーニ調教師が活動していた厩舎において内部検査と手順の見直しが進行中であり、BHAのCEOポール・ビター(Paul Bittar)氏は、BHAはこのようなケースが再発しないようゴドルフィンと緊密に取り組んでいくと発表した。

 このケースに、サイード・ビン・スルール(Saeed Bin Suroor)調教師の管理馬が関わっていることを示す証拠はないが、クリスフォード氏は、BHAが必要と考えるのであれば同調教師の厩舎をBHAの薬物検査の対象とする用意があると述べた。

 ビター氏は、「競馬関係者は皆、モハメド殿下の過去の実績だけでなく、関与した馬の頭数と程度から考えて、このケースが例外的なものであると認識していると思います」と語った。

 そして次のように続けた。「しかし、私たちはこの結果が英国競馬の薬物検査プログラムがしっかり機能していることを保証するものであるとも思います」。

 「4月9日に、調教中薬物検査の一環としてBHAの代理人がアル・ザルーニ厩舎を訪れ、45頭から検体を採取しました。陽性反応を示した薬物の種類と頭数が明らかになるや否や、競馬界とBHAにとってまずは短期間で解決しなければならない多くの課題があることが分かりました」。

 「第一に緊急を要する優先事項は、禁止薬物が馬の検体からどのように検出されるに至ったかについての事実の立証でした。第二に、競馬界に波紋が及ぶ可能性および陽性馬のうち数頭が出走登録していたレースの注目度を考慮して、できるだけ早急に懲戒手続きを進めることが、大衆のみならずBHAとゴドルフィンの関心事でした」。

 「これらの目的がどちらも達成された今、私は、本日の懲罰委員会における審問結果を出すために24時間体制で取り組んだBHAのスタッフとHFLスポーツ科学研究所(HFL Sport Science)のチームに対して、この場を借りて感謝の念を述べたいと思います。またこの早急な解決は、ゴドルフィンとモハメド殿下の全面的な協力がなければ不可能だったでしょう」。

 このケースでアナボリック・ステロイドが使用された、英1000ギニー(G1)の一番人気となったこともあるサーティファイなどの出走登録に関しては、サーティファイおよび同厩舎の馬14頭は6ヵ月間(10月9日まで)出走が停止されることがビター氏から発表された。

 調教師にも馬にも厳格な罰則を与えたビター氏の見解は、英国競馬界で能力強化薬物の使用が容認されることは無いということを、大衆と競馬関係者に再確認させる働きを持つだろう。

 ビター氏は次のように付言した。「BHAの次の目標は、競馬の公正確保への全体的な信頼が危険に晒されないようにするため、必要な対策を講じることです。ゴドルフィンとモハメド殿下が、この厩舎の管理手順を見直そうとする強い意思を示すとともにアル・ザルーニ調教師の管理馬全頭に薬物検査を実施し再出走前に潔白を証明する必要性を発表し、先を見越した対応をしたことを私たちは歓迎しています」。

 「当然BHAは、この出来事がもたらした広範囲にわたる問題を考慮し、必要に応じてゴドルフィンの職員や契約者に聞き取りを行うなど、他の関連情報との照合や解明に努めるでしょう」。
オーストラリア調教師会(Australian Trainers’ Association)のコリン・アルダーソン(Colin Alderson)会長は4月25日、同会メンバーはステロイド使用禁止ルールを制定するどのような動きに対しても反対すると述べた(豪州では調教目的のステロイド使用は容認されている)。しかし、オーストラリア人であるビター氏はこれに反論した。

 ビター氏は次のように語った。「今回のケースは、私たちがすでに知っていることを強調するのに役立ちました。世界中の競馬統轄機関において、どの薬物が調教中に使用を許可されているかについては統一されておりません。競走後薬物検査については、世界中で全く当然にアナボリック・ステロイドに対するゼロ・トレランス主義(zero tolerance: 0以外は陽性)がとられているものの、調教中の馬についての方針は一貫していません」。

 「海外遠征や国際競走が盛んになっている時代に、私たちはこの問題を世界中の競馬統轄機関と話し合うために議題に入れるつもりです」。

By Peter Scargill


オーストラリアの調教師はステロイド使用禁止ルール導入と戦う構え

 レース以外ではアナボリック・ステロイド使用が認められているオーストラリアの調教師たちは、ゴドルフィンの薬物スキャンダルを受けて導入される予定の薬物禁止ルールについては反対する構えであると予告した。

 英国で広く行き渡っている方針とオーストラリアでの違いで言えば、アル・ザルーニ調教師は豪州では嫌疑を逃れることができるだろう。なぜなら、エチルエストレノールとスタノゾロールは競走当日に馬の体内に存在しない限り使用が合法であるからである。

 レーシングヴィクトリア社(Racing Victoria)の上席獣医師であるブライアン・スチュワート(Brian Stewart)氏は次のように語った。「私たちは、調教中や放牧中におけるこのような薬物の使用についてのガイドラインをしっかりと確立し文書化しています。それらは検出可能期間によって厳格に管理されています」。

 「アナボリック・ステロイドを投与された馬はすべて、競走当日までに体内からなくなさければなりません。一般的に残留期間は1ヵ月〜3ヵ月です」。

 レーシングヴィクトリア社は調教師に対し、アル・ザルーニ調教師を巡る騒動と他のスポーツで目立つ薬物使用違反を考慮すれば、薬物使用禁止ルールの制定は避けることができないと語った。しかし、オーストラリア調教師会のコリン・アルダーソン会長は、ステロイド使用を非合法化するいかなる試みも大失敗に終わるだろうと語った。

 アルダーソン会長は次のように続けた。「競走馬はあらゆる助けを必要としています。薬物が禁止されたらアスピリンすら投与することはできません。また放牧場で成長を促進させるためにステロイドを投与すれば、早く厩舎に戻すことができ、いくらか早く馬主のために賞金をもたらし始めることができるのです」。

 2010年キングズスタンドSの4着馬ニッコーニ(Nicconi)を管理したデヴィッド・ヘイズ(David Hayes)調教師は、薬物禁止ルールが制定されれば遵守するつもりと語った上で、次のように付け足した。「これは完全に過剰反応であり、やり過ぎです。なぜ私たちが英国でのひとつの出来事のためにステロイドを禁止しなければならないのでしょうか?」

 この問題は、5年前に激しいやり取りのあった論争を再び巻き起こす。当時、英国のマーク・ジョンストン(Mark Johnston)調教師は、豪州のジョー・ジャニアック(Joe Janiak)調教師が管理する短距離馬テイクオーバーターゲット(Takeover Target)が香港出走の際にステロイドの陽性反応を示したため、ロイヤルアスコット開催に招待されるべきかどうかを問題提起した。

 そのときジョンストン調教師は、海外の統轄機関の管轄下にある馬が英国で競走する際に英国のステロイド使用禁止ルールを適用するべきかどうかを問いかけた。

 ジョンストン調教師を非難した者のなかには、ブラックキャビア(Black Caviar)を管理したピーター・ムーディー(Peter Moody)調教師もおり、同調教師は次のように語っていた。「マーク・ジョンストン調教師のような人が200年前と同じような調教を行いたいのであれば、幸運を祈りますが、競馬を最も高いレベルに引き上げるには、競馬施行規程の中の有用な点はすべて検討しなければならないのです」。

By Jon Lees

[Racing Post 2013年4月26日「Al Zarooni hit with eight-year drug ban」「Trainers in Australia would fight steroids ban」]


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