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海外競馬情報
2012年06月20日  - No.6 - 3

多数の競馬場を所有するルーベン兄弟の抱負(イギリス)【その他】


 英国競馬で全開催のうちの4割近くを取り仕切っている億万長者のデヴィッド&サイモン・ルーベン兄弟(David and Simon Reuben)は、競馬の将来は上向きだと評価した。そしてレーシングポスト紙に対して、英国競馬の長期的な見通しに自信を持っていると述べた。

 すでにノーザンレーシング社(Northern Racing)の競馬場を手に入れていた巨大な競馬場帝国に、最近さらにアリーナレジャー社(Arena Leisure plc)を加えていた、マスコミに登場することの嫌いなルーベン兄弟は、今回珍しくメディアのインタビューを受け、競馬場の良き管理人になるつもりであると主張し、競馬場を閉鎖するプランは無いことを強調した。

 ルーベン兄弟は最近馬主となった。マーワン・クーカッシュ(Marwan Koukash)博士が競馬福祉機構(Racing Welfare)の代表者として設立した慈善事業の一環として、今年ザミンダー(Zamindar)の牡の産駒に彼らの勝負服を背負って競走させるため2万ポンド(約260万円)を支払った。

 しかしこの馬の購買は、ドンカスターリングフィールドおよびウィンザー競馬場を含む7競馬場がノーザンレーシング社と同じ経営陣の下での経営となっているアリーナレジャー社の買収ほどは、ルーベン兄弟の将来の財政に大きな影響を与えないだろう。ノーザンレーシング社は、主要なところではチェプストウ、ニューキャッスルおよびユートクセター競馬場など9競馬場を所有し、ダイ・ワルターズ(Dai Walters)氏のためにフォスラス競馬場を経営している。

 最新のサンデータイムズリッチリスト(Sunday Times Rich List)で2人の合計で70億ポンド(約9,100億円)の資産を有し8位に入っているルーベン兄弟は、英国競馬産業の将来の戦略的方向と構造に対してより団結したアプローチをするため、競馬関係者に呼び掛ける目的でこのインタビューを利用した。

 競馬界の支配関係の対立を嘆き、賦課金制度の効果のなさに対して痛恨の念を表明する一方で、ルーベン兄弟は長きにわたる競馬の献身的な支援者として現われ、協調と努力の姿勢であるように見えた。

 彼らは次のように語った。「国内外の市場において英国競馬は長期的に有望であると確信しています。私たちは、英国競馬の方向を考え将来を形作るために、積極的に参加することを目指しています。私たちは所有している競馬場の良き管理人になるつもりです」。


レーシングポスト紙(以下:Q):競馬福祉機構と一緒になって初めて所有した競走馬のグレートオーモンド(Great Ormond)についてどのような期待をお持ちですか?

ルーベン兄弟(以下:A):私たちはこの獲得賞金を全額グレートオーモンドストリート病院(Great Ormond Street Hospital)に寄付することにしているので、同馬の健闘を楽しみにしております。また馬主として競馬に関わること自体も楽しみにしており、同時に2つの立派な目標に向かっていけることを嬉しく思います。

Q:どのような経緯からグレートオーモンドが現れる前に競走馬の所有を思いついたのですか?

A:クーカッシュ博士が私たちに、競馬福祉機構を支援するために馬主となるチャンスを与えてくれる前からすでに検討中でした。

Q:デヴィッド・シムコック(David Simcock)厩舎に入厩しているグレートオーモンドに会うためにニューマーケットを訪れる計画はありますか?

A:私たちのグループのメンバーは、グレートオーモンドに会うためにすでにシムコック厩舎を訪れています。もし今後チャンスが来れば、厩舎でも競馬場でも同馬を見に行きたいと思います。私たちの子供は競馬に強い興味を持っているので、彼らもきっとグレートオーモンドを見に行くでしょう。

Q:これまでにどのくらい競馬に行かれましたか?

A:海外と英国内で数回の機会がありました。ここ数年はウェザビーズ社(Weatherby’s)に招かれてロイヤルアスコット開催を観戦しており、非常に楽しんでいます。

Q:いつごろから競馬に興味を持ち始めたのですか?

A:2007年以来ノーザンレーシング社に投資してきました。アリーナレジャー社に興味を持ち始めたのはそれより前です。しかし私たちは長年にわたり、スポーツ、ゲームおよびビジネス取引に関心を持っていました。

Q:競馬場所有における主な魅力は何ですか?

A:現在までのノーザンレーシング社への投資は積極的なものでした。アリーナレジャー社を獲得したことで、英国競馬により大きな興味を持ち続けることを確信しています。私たちは基本的に国内外における英国競馬の長期的可能性を信じています。そのため競馬場を所有することは、私たちにこの市場の成功と成長に立ちあうことを可能にしてくれます。

Q:英国で最大の競馬場グループを所有している今、競馬場オーナーとしてあなた方の抱負はどのようなものでしょうか?

A:私たちは英国競馬の方向を考え、将来を形作るために積極的に参加することを目指しています。私たちは所有する競馬場の良き管理人となり、プロ意識を持って商業的に成功することを目標としています。

Q:英国競馬界がどうすればうまく運営されるかについてどうお考えですか?

A:英国競馬には、もはや目的に適していないと思われる賦課金徴収の仕組みのような課題があります。団体間での争いが多すぎるように思え、私たちは英国競馬界の戦略的方向と構造に対してより団結したアプローチが行われることを歓迎します。

Q:仮にあなた方が英国競馬を1日運営するとすれば、どのような変更を行いますか?

A:以前にも述べた点を取り上げれば、競馬統轄機関は取締りと管理のみに取り組むようにさせ、ホースマン、競馬場オーナー、ブックメーカーおよび競馬関係者の誰であろうと競馬に参加しているすべての人々に、商業的な運営者が最高の利益をもたらすことのできる構造にするでしょう。

Q:あなた方が競馬場を所有することにより、利益の上がらない競馬場には暗い未来が待っているかもしれないと懸念している人々にはどのように回答しますか?

A:彼らには、私たちがノーザンレーシング社を引き受けてから5年間において同社が競馬に行った投資の実績を示すでしょう。たとえば、ノーザンレーシング社がフォントウェルパーク競馬場の新グランドスタンド建設と施設全体の改善のために行った投資によって、同競馬場は2011年ベットヴュー賞(Betview Awards 2011)で年度代表競馬場に選ばれる結果となり、このことは私たちの誇りです。現在までの私たちの競馬場への関わりは、商業財産の利益のための再開発には終わっていません。

Q:英国競馬の将来を楽観していますか?

A:もちろんです。私たちの最近の投資は、英国競馬のすべての参加者に長期的な価値があるという確信をベースになされています。英国競馬の魅力は国際的なものであり、英国競馬界は数世紀にわたり市場のリーダーであり続けています。

Q:英国競馬界内で影響力のある地位に就くとすれば、どのような発言をされますか?

A:私たちが競馬界の職に就くことは考えられません。しかしながら、競馬産業の将来の戦略的方向が話し合われる場合は、私たちが指名した代表が話合いの席につくよう働きかけますし、喜んで受け入れます。

By Lee Mottershead
(1ポンド=約130円)

[Racing Post 2012年5月8日「Reuben brothers: we believe in British racing」]


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