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TOPページ > 海外競馬情報 > トップレベルのレースと下級レースの賞金格差が大幅に拡大(イギリス)【開催・運営】
海外競馬情報
2012年03月20日  - No.3 - 2

トップレベルのレースと下級レースの賞金格差が大幅に拡大(イギリス)【開催・運営】


 かつて経済が厳しくなった時に競馬界が共有した“私たちは皆一体である”という考え方に対して、現在競馬界内部から予想される反応は、“いいえそうではありません”だろう。

 ハードアップ男爵(Baron Hardup)は、競馬シーズンがすべて終わろうとしている今、賭事市場からの賦課金収入の大幅減少により賞金財源が最近どんどん淋しくなっている競馬界の現状をこのように言い表した。

 レーシングポスト紙の調査によれば、負担が業界全体で平等に分担されておらず、厳しい状況の中で一部の人々とその他の人々とで明らかに異なる扱いがされてきている。

 トップレベルのレースで馬を出走させている人々や主要レース開催日だけ競馬に行く人々は、すべての騒動が何のことなのかと不思議に思っているに違いない。彼らは現在ほどの良い状況を経験したことがないからであある。

 ハンガーフォードS(G2 ニューベリ競馬場 芝1400 m)に着目すれば、2002年に3万5,000ポンド(約455万円)であった総賞金が2011年には7万8,696ポンド(約1,023万円)に増加した。また、ジュライカップ(G1 ニューマーケット競馬場 芝1200 m)の総賞金は、2000年の16万5,000ポンド(約2,145万円)から2011年には39万3,480ポンド(約5,115万円)に倍増した。

 障害競走においても同じようなことが起こっている。

 グランドナショナルの総賞金は、10年前は50万ポンド(約6,500万円)程度であったものが、2011年4月にはあと一息で7桁に手が届く93万5,465ポンド(約1億2,161万円)に引き上げられた。チェルトナムゴールドカップの総賞金も、2002年の30万ポンド(約3,900万円)から2011年には49万3,350ポンド(約6,414万円)に引き上げられた。

 トップレベルのレースはテレビや新聞の報道の対象となり、またその賞金額は国際的に競争力がなければならないが、大半の馬主、調教師および騎手が生計を立てているレベルの競馬からは全く別世界の話である。テーブルから下に落ちるパンくずがますます少なくなっていくという侘しい物語である。

 私たちが過去十年間の平地および障害の下級レースから無作為に抽出した賞金額について調査したところ、ほとんどすべてが暗いものであった。

 平地の下級レースの賞金は2002年よりも大幅に少なくなっており、6月にレッドカー競馬場で施行される2800 mのハンデキャップ競走においては60%減少し、元旦にサウスウェル競馬場で施行された1200 mのハンデキャップ競走は54.2%減少した。

 馬主協会(Racehorse Owners’ Association)のCEOであるリチャード・ウェイマン(Richard Wayman)氏は、トップレベルのレースが支援されなければならないことは納得しているが、下級レースの賞金を更に削減することは競馬の持続的な健全性を脅かすものと懸念している。

 そして次のように語った。「競馬への関心と報道はほとんどが主要レースに向けられているので、最優良馬の関係者を惹きつけレースの知名度を維持するためには、トップレベルのレースの賞金をできるだけ高額にすることが重要であると常に感じてきました」。

「とは言うものの、すべてのレースで魅力的な賞金額を提供することは絶対に重要であり、トップレベル以外のレースにおける大幅な賞金削減が悪い影響を与えていることは明らかです。また、優良馬が高額賞金レースがあるために、出走させる価値のある国へ売却される例は増えています」。

「フランスのような近隣国よりも賞金がずっと少ないため、英国の馬主と調教師が自身の馬を海外で出走させるチャンスを模索することは理解できます。下級レベルのレースでは、所有馬がレースに勝ってもその獲得賞金で月々の預託料を賄うことができなくなるまで状況は悪化しています」。

「賞金額がこのまま減少し続けるとすれば、多くの馬主が競馬への関与を減らし、競馬に背を向けることがあっても誰も驚かないでしょう。この賞金の絶望的な状況が迅速に改善されない限り、事態が悪い方向に向かうばかりとなるのが心配です」。

 ヨークシャー州を拠点とするジェームズ・べセル(James Bethell)氏は、単に経済という見地から言えば海外の高額賞金はますます魅力的に見えると考えている調教師の1人である。

 べセル調教師は、「私はフランスのカーニュ-シュル-メールの2つの厩舎をまた確保しましたが、もし私が英国南部に住んでいたなら、毎日英仏海峡を渡ってドーヴィルに行くでしょう」と語った。

「フランスの賭事は英国ほど複雑でないので、私たちよりも巧みにレースを構成しています。私たちは2年前にフランスで2頭の勝馬を出しました。すべての共同馬主はフランスに赴き、大変な労力を使いましたが、2万4,000ユーロ(約264万円)を獲得しましたので、十分価値はありました」と同氏は付け加えた。

 そして次のように続けた。「英国競馬について今は暗澹たる気持ちになっています。私の愛する古馬フォスゲート(Fossgate 11歳)は昨年4勝を果たし、辛うじて1万ポンド(約130万円)を獲得しました。それらの勝利はそこそこの競馬場で挙げたものです。英国北部では1頭の馬を調教するのに年間2万ポンド(約260万円)が必要で、そしておそらく英国南部ではそれより3割以上多く必要です」。

「費用は高騰しました。飼い葉に関しては5年前に1梱2.5ポンド(約325円)であったのが今や6ポンド (約780円)です。私たちの会計士は、手数料を上げなければならないと言いますが、厩舎が馬の所有を人々に勧誘しているときに上げるのは困難です」。

 長年馬主であり、以前BHA(英国競馬統轄機構)の理事会メンバーを務めていたチャンネル4の実況アナウンサーのジム・マクグラス(Jim McGrath)氏は、現状が非常に厳しいと認めており、次のように語った。「大半の馬主は賞金を稼ぐために競馬に関わっている訳ではありませんが、昨年の冬に賞金が著しく減ったことによって、すべての人々は現実の厳しさに目が覚めました。というのは、同じレース数を望むのであればレース当たりの賞金は圧倒的に少なくならざるを得ないということを一連の賞金削減が意味していたからです」。

「ブックメーカーが利益をあげている一方で、十分なレベルの馬が優勝あるいは3着以内の入線であっても費用を補填することさえできない事実を皆が知っているというのは、非常に悩ましいことです。こんな現状が妥当であるはずはありません」。

 マクグラス氏は、解決策は限りある競馬界の資金を広くばらまくのをやめることであると考えている。

 同氏は次のように述懐した。「私は2010年11月初めにBHAを辞めました。私が最後に出席した会合において、BHA理事会は大幅な競馬開催日数削減を提案しましたが、それは却下され、今年も同じように却下されました」。

「しかし、下級レベルのレースについては開催日数を削減すべきであったと思います」。

 

平地競走の最上級レースの賞金額
ダービー ジュライカップ ジョンスミスカップ ハンガーフォード ブロックレスビー
2005 £1,250,000
(1億6,250万円)
£250,000
(3,250万円)
£150,000
(1,950万円)
£50,000
(650万円)
£13,190
(171万円)
2006 £1,284,671
(1億6,701万円)
£35,4528
(4,609万円)
£147,720
(1,920万円)
£88,632
(1,152万円)
£10,832
(141万円)
(レッドカー競馬場で施行)
2007 £1,231,000
(1億6,003万円)
£369,300
(4,801万円)
£147,720
(1,920万円)
£83,708
(1,088万円)
£11,817
(154万円)
(ニューキャッスル競馬場で施行)
2008 £1,391,873
(1億8,094万円)
£393,880
(5,120万円)
£147,705
(1,920万円)
£98,470
(1,280万円)
£14,772
(192万円)
2009 £1,230,875
(1億6,001万円)
£404,880
(5,263万円)
£147,705
(1,920万円)
£98,479
(1,280万円)
£17,232
(224万円)
2010 £1,338,207
(1億7,397万円)
£393,880
(5,120万円)
£147,705
(1,920万円)
£88,623
(1,152万円)
£19,694
(256万円)
2011 £1,230,875
(1億6,001万円)
£393,480
(5,115万円)
£147,555
(1,918万円)
£78,696
(1,023万円)
£9,847
(128万円) 

 

 

平地競走の最下級レースの賞金額
リポン競馬場
1200mセリング競走
レッドカー競馬場
2800mハンデ競走
ウォーリック競馬場
1600m未勝利牝馬戦
サウスウェル競馬場
2200m AW馬場未勝利戦
サウスウェル競馬場
1200m AW馬場ハンデ競走
2005 £4,240
(55万円)
£5,860
(76万円)
£5,540
(72万円)
£4,130
(54万円)
£5,228
(68万円)
2006 £3,939
(51万円)
£4,924
(64万円)
£4,924
(64万円)
£3,446
(45万円)
£4,432
(58万円)
2007 £3,939
(51万円)
£2,954
(38万円)
£4,924
(64万円)
£3,151
(41万円)
£4,432
(58万円)
2008 £3,939
(51万円)
£2,954
(38万円)
£4,431
(58万円)
£2,757
(36万円)
£3,742
(49万円)
2009 £3,939
(51万円)
£2,954
(38万円)
£4,431
(58万円)
£2,954
(38万円)
£3,936
(51万円)
2010 £3,939
(51万円)
£2,659
(35万円)
£3,938
(51万円)
£2,560
(33万円)
£3,544
(46万円)
2011 £2,959
(38万円)
£1,969
(26万円)
£3,446
(45万円)
£2,216
(29万円)
£2,757
(36万円) 

 

By David Carr
(1ポンド=約130円)

[Racing Post 2012年1月18日「Unequal opportunities」]


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