> 2010年10月、ジェレミー・ハント大臣の文化・メディア・スポーツ省特別委員会での発言 「賦課金制度には長期的な公約があるわけではないので、私たちは、非常に時代遅れであると考えられる現行の制度から離れて、競馬と賭事を移行させることのできる方法を見つけることを望んでいます」。 >> 2011年1月、賭事を担当するジョン・ペンローズ大臣の下院での討議における発言 「賦課金制度は時代遅れであり、破綻はしていなくても、破綻の過程にあります。この制度は正常な商業的関係に取って代わられるべきであるように感じます。やらなければならないことは、私たちがその前提を受け入れるかどうかではなく、正常な商業的関係がどのようなものであるか、そして私たちが現在の状況からその正常な地点まで持続可能な形でどのようにすれば到達できるのかということに取り組むことです」。 >> 2011年1月、トーリー党のマシュー・ハンコック(Matthew Hancock)下院議員の下院での討議における発言 「私たちは、競馬と賭事を商業的な将来に向かわせ、競馬商品が適切に助成され保護されることを確実にするシステムを必要としています。私たちは、英国競馬を世界一に保ち、競馬から利益を得る者が競馬への資金提供を行うようになる新しく公正な体制を必要としています。したがって私は競馬権を支持します」。 >> 2011年1月、前スポーツ大臣である労働党のジェリー・サトクリフ(Gerry Sutcliffe)下院議員の下院での討議における発言 「政府の役割はどのようなものであるべきでしょうか?政府は賦課金制度から脱却するよう努め、その代替手段が確かなものになるよう取り組むべきです。解決策は商業の原則に基づくものでなければなりません。私は競馬権の考え方に傾きつつあります」。 By Howard Wright [Racing Post 2011年3月8日「Governing body comes out fighting for its betting rights」]"/>
TOPページ > 海外競馬情報 > 英国競馬統轄機構(BHA)、競馬権の制定を目指す(イギリス)【開催・運営】
海外競馬情報
2011年04月22日  - No.8 - 1

英国競馬統轄機構(BHA)、競馬権の制定を目指す(イギリス)【開催・運営】


 BHAの前身であるBHB(英国競馬公社)はかつて賦課金に代わるものを考え出したが、その考えは欧州裁判所(European Court of Justice: ECJ)によって阻止された。そして当時、それに代わる第2プランは存在しなかった。

 そして今、BHAが競馬産業を統率して賦課金制度の近代化という難しい取組みを行っている中で、新しい代替プランとして"競馬権"が浮かび上がってきた。

 詳細はまだ形を成していない。どのようにそして誰によって管理され、規制され、分配されるのか、何を基準にして支払いが行われるのか、これらの基本的事項はまだ決定されていない。

 しかしBHAの競馬権の原則についての考え方は明確である。すなわち、英国競馬を対象に賭事を提供しているいかなる業者も事業を営むためには競馬権を購入しなければならない。

 BHAのCEOニック・カワード(Nic Coward)氏によれば、今回のコンセプトは以前の提案とは異なる。以前の提案は、BHBエンタープライズ社(BHB Enterprises Inc.)のもとで包括されたデータベース権の利用であり、これを巡りECJと衝突した。

 カワード氏は、「競馬権というのは、英国の競馬に対して賭事を行う者は誰でも賭事を提供するためには競馬界と契約を結ばなければならないという法的仕組みのことです」と語った。

 そして次のように続けた。「競馬権は当然現在のところ存在していません。それは新しい法的枠組みを必要とするでしょう」。

「現在の賦課金をやめて既存の権利だけに対して支払いたいと表明しているブックメーカーもいますが、それでは答えになりません。それは単に競馬を今日のグレイハウンドレースと同じ立場に置くことになるだけでしょう。私たちの提案は新しい法律を作ることを目指しています」。

 競馬権の原則は決定されているものの、BHAは、ジェレミー・ハント(Jeremy Hunt)文化・メディア・スポーツ大臣が第50回賦課金計画の決定を下して競馬界が部分的に勝利したことを受け、競馬権の提案を実際に提起することは数週間遅らせるだろう。

 そしてベッティング・エクスチェンジや海外賭事業者などの問題についての政府の考えが競馬界のより広い願望を満たすことにならない場合には、レーシングユナイテッド(Racing United)として知られている団体を通じたキャンペーンが本格的に開始されるだろう。

 またBHAのポール・ロイ(Paul Roy)会長は、「私たちは今後数週間にわたって、これらの法の抜け穴が閉じられることになるかどうか解明することになります」と述べた。

 そして次のように語った。「私たちが認識しているように、今こそが賦課金制度が機能するよう徹底的に見直すことができるかどうかを見極める最後のチャンスなのです」。

「賭事を担当するジョン・ペンローズ(John Penrose)大臣は、海外賭事業の賦課金徴収についても検討中であり、国会は賦課金徴収からの回避は阻止されなければならないという点で一致しています。賦課金制度のもとでこのことが実施されれば素晴らしいことです。実施されなければ、それは賦課金制度の終焉を示しています」。

「賦課金の定義上の理由で賦課金支払いを回避し続けようとしてきた海外賭事業は、自らが責任を取ることになるでしょう」。

 競馬賭事賦課公社(Levy Board: 賦課公社)は間もなくベッティング・エクスチェンジおよび賦課金制度の点検について報告を行うことになっているが、BHAのロイ会長は、海外賭事業者にまつわる法の抜け穴への対応策がなければどのような改革も空虚なものになるだろうと述べた。

 またロイ会長は、ベッティング・エクスチェンジの最大手企業の海外移転についてほのめかしつつ、「私たちは皆、ベットフェア社(Betfair)がビジネスモデルと利益を守るためにどのような対応をしようとしているか知っています」と付け足した。

 同会長は、我々は賦課金の法的枠組みが能力を発揮できる機会を与えるつもりであり、同時に競馬権を確立する準備もできていると強調した。

 そして次のように続けた。「最終的に賦課金制度を現代社会に対応できるよう変えられないことが確認されたら、政府内ですべてのエネルギーは問題を解決できる新しい法律に取り組むことに向けられるでしょう」。

「どこを拠点としてようと、提供している賭事がいかなる形式であろうと、英国競馬を対象に賭事を提供している賭事業者は、契約および新しい競馬権の下、また競馬に対する公正な条件および異なる賭事業との間の公正な条件に基づいて、賦課金を負担しなければならないという法律になるでしょう」。

 ロイ会長は次のように付言した。「競馬界は、私たちが競馬界と賭事業界の間に築きたいと考えている法的関係に関しては、明快で一貫していました。私たちは、英国競馬を対象として賭事を提供したいと考えるどの賭事業者も、私たちBHAと関係を持つよう義務付ける法律を望んでいます」。

「競馬界は、場内ブックメーカー、家族経営の小規模なベッティングショップ、大規模な免許を付与されたブックメーカーのチェーン、電話投票賭事業者、インターネット賭事業者、固定オッズやベッティング・エクスチェンジを提供する賭事業者などあらゆるタイプの賭事業者を通じて、できる限り多くの賭事が英国競馬に対して行われることを望んでいます」。

「しかし、それは競馬界にとってもあらゆるタイプの賭事業者の間においても公正に運営されなければなりません。私たちは均等な機会を望んでいますが、同時に技術革新および商業的な協調アプローチを促進する法的枠組みも必要としています」。

「適切に機能する商業市場は、これらすべてを達成するための最善策です。賭事業界は、私たちBHAとの間で商取引関係を築くべきであるということで一致していますが、彼らは、それが具体的に何を意味しているかまでは言及していません。今や彼らが素直になるときです」。

「私たちに関しては、賭事業界との間で必要なことは、スポンサーシップやレース映像のような全く異なる商権に関して賭事業界と競馬界との間で行われる商業的交渉ではなく、賭事を提供する事業そのものについてでなければなりません」。

 そして ロイ会長は競馬界のアプローチについて以下のように要約した。「1960年代に賦課金制度が発足したときには、まったく単純であった賭事市場においてそれは非常にうまく機能しました。しかし状況は変化し、特に技術の進歩によって絶え間なく市場が変革されたために、この10年間賭事産業においてもはやうまく機能しなくなりました」。

「英国で事業を行いながらも社屋を海外に構えている海外賭事業者には賦課金が適用されていないという事実があるために、賦課金制度が変革のペースについて行っていないことを誰もが認識しています。同時に、規制と市場との全体のバランスは賭事業者に非常に有利になるように変化しました」。

「現在明らかなことは、賦課金制度は変わらなければならないということです。競馬と賭事が発展しているすべての国の賦課金制度は、科学技術が新しい市場を後押ししたことで変化を遂げました。したがって英国の制度も変化しなければなりません」。

賦課金制度改革についての国会での発言

>> 2010年10月、ジェレミー・ハント大臣の文化・メディア・スポーツ省特別委員会での発言

「賦課金制度には長期的な公約があるわけではないので、私たちは、非常に時代遅れであると考えられる現行の制度から離れて、競馬と賭事を移行させることのできる方法を見つけることを望んでいます」。

>> 2011年1月、賭事を担当するジョン・ペンローズ大臣の下院での討議における発言

「賦課金制度は時代遅れであり、破綻はしていなくても、破綻の過程にあります。この制度は正常な商業的関係に取って代わられるべきであるように感じます。やらなければならないことは、私たちがその前提を受け入れるかどうかではなく、正常な商業的関係がどのようなものであるか、そして私たちが現在の状況からその正常な地点まで持続可能な形でどのようにすれば到達できるのかということに取り組むことです」。

>> 2011年1月、トーリー党のマシュー・ハンコック(Matthew Hancock)下院議員の下院での討議における発言

「私たちは、競馬と賭事を商業的な将来に向かわせ、競馬商品が適切に助成され保護されることを確実にするシステムを必要としています。私たちは、英国競馬を世界一に保ち、競馬から利益を得る者が競馬への資金提供を行うようになる新しく公正な体制を必要としています。したがって私は競馬権を支持します」。

>> 2011年1月、前スポーツ大臣である労働党のジェリー・サトクリフ(Gerry Sutcliffe)下院議員の下院での討議における発言

「政府の役割はどのようなものであるべきでしょうか?政府は賦課金制度から脱却するよう努め、その代替手段が確かなものになるよう取り組むべきです。解決策は商業の原則に基づくものでなければなりません。私は競馬権の考え方に傾きつつあります」。


By Howard Wright

[Racing Post 2011年3月8日「Governing body comes out fighting for its betting rights」]


上に戻る