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TOPページ > 海外競馬情報 > グランドナショナルの障害修正にさまざまな反応(イギリス)【開催・運営】
海外競馬情報
2011年10月07日  - No.19 - 1

グランドナショナルの障害修正にさまざまな反応(イギリス)【開催・運営】


 ナイジェル・トウィストン-デイヴィーズ(Nigel Twiston-Davies)調教師は、グランドナショナルのコース(障害)を大幅に修正するという8月15日のBHA(英国競馬統轄機構)の発表を、“無条件反射的な対応”であると非難し、世界で最も有名なレースが間もなく“見せ掛けのハンデキャップハードル”になり下がってしまうおそれがあるとの懸念を表明した。

 グロスターシャー州を拠点とし、1998年にアースサミット(Earth Summit)、2002年にビンダリー(Bindaree)を7200 mの豪華な競走であるグランドナショナルに出走させ、常に同競走を大きく盛り上げてきた1人である同調教師は、発表の詳細を聞きひどく落胆した。

 同調教師は、「私たちは見せ掛けのハンデキャップハードルを望んでいるだろうか?このニュースを聞いて、最初に私はそう思いました。何よりも、この発表は今年のグランドナショナルで生じたことに対する無条件反射的な対応であり、誠に残念なことです」と語った。

 そして次のように警告した。「オーストラリアにおける障害競走はまさにこの道をたどりました。彼らは私たちがちょうどグランドナショナルでやろうとしているようにすべての障害を小ぶりにし、結果的に障害競走そのものを廃止することになってしまいました」。[訳注:オーストラリアで障害競走が行われているのは南オーストラリア州のみである]

「エイントリー競馬場のフェンスを小ぶりにすることで、馬はより速いスピードで走るでしょう。そしてそのことがまさに困難を引き起こします。問題を発生させるのはスピードだからです」。

「騎手はビーチャーズ・ブルックの手前に来ると、その障害の大きさのために馬を抑える傾向にあり、このことでレース全体のスピードが遅くなります。しかし障害の修正がなされればそうはならなくなります。それは悪いニュースです」。

 1988年にライムンリーズン(Rhyme ‘N’ Reason)に騎乗して優勝し、騎手としてグランドナショナルのフェンスの高さを心得ているブレンダン・パウェル(Brendan Powell)調教師は、ビーチャーズ・ブルックなどの障害の修正計画をいかがなものかと思っているもう1人の調教師で、障害のこれ以上の修正は行われるべきではないと確信している。

 同調教師は、「グランドナショナルのコースは引き続き非常に手ごわく独特なレースであり続けるでしょう。修正は現在のものだけにしてレースを存続させていくべきです。グランドナショナルは来年も同じ視聴率を獲得し、人々は引き続きエイントリー競馬場へ観戦に行くと確信しています」と語った。

 そして次のように付け足した。「しかし、修正に修正を重ねれば、15年のうちにはどこにでもある普通の竹柵障害になってしまうでしょう」。

「障害の修正に関する提案書を見れば、あちこちで2〜3インチ(約5 cm〜7.6 cm)ずつ修正することによって全体で非常に大きな違いがもたらされるものだと感じるでしょう。グランドナショナルに関して大衆の認識は重要です。多くの大衆がフェンスは馬を窮地に陥れるためにあると思っているのですが、そうではありません。調教師たちは、エイントリー競馬場のフェンスに耐え得ると考える馬しか出走させません」。

 コンプライオアダイ(Comply Or Die)で2008年にグランドナショナルを優勝したデヴィッド・パイプ(David Pipe)調教師は、「グランドナショナルを改善するのであれば、それは競馬産業全体にとって良いことでなければなりません。同競走が依然として世界一の競走であり続けることを願うばかりです」と語った。

 テレビの評論家であり賭事客でもあるスティーブ・メリッシュ(Steve Mellish)氏は、やむを得ない現実と感じつつも失望の反応を示した。「私は修正が本当に必要であるか確信が持てません。以前と全く同様に今後もこのレースを楽しめるかどうかわかりません。しかし、私たちは現代を生きているということを念頭に置かなければなりません。競馬界がそうしなければならなかったこともよく理解できます」。

 グランドナショナルの見直しは、今年の同競走において2頭の馬が予後不良となったことを受けてなされた。倒れて横たわった馬がテレビに映し出されたことで大衆から激しい抗議が寄せられ、また当日が季節外れの暑い気候であったためにゴール地点で馬に水を浴びせてずぶぬれにさせたシーンによってレース自体のイメージも損なわれた。

 動物愛護団体もこれまで議論に加わってきており、王立動物虐待防止協会(Royal Society for the Prevention of Cruelty to Animals:RSPCA)の馬コンサルタントであるデヴィッド・マー(David Muir)氏は、動物愛護団体のためにずっとキャンペーンを行ってきた。エイントリー競馬場のすべての障害の飛越面と着地面との高低差をなくすことを主張してきたマー氏は、今回の修正に対して慎重ながらも歓迎の意を表した。同氏は、2頭が予後不良となった今年の競走後に従来からの主張を強めていた。

 マー氏は、「RSPCAは障害前後の高低差についてなお懸念を持っています。ビーチャーズ・ブルックの着地面を上げることは間違いなく前向きな一歩であり、私たちは状況を見守り、馬たちがどのようにフェンスを越えて着地するか監視し続けるでしょう」と語った。

 安全性見直しについてエイントリー競馬場およびBHAと一緒に取り組んでいる世界馬福祉協会(World Horse Welfare: WHW)は、8月15日の発表を歓迎した。WHWの副専務理事であるトニー・タイラー(Tony Tyler)氏は次のように語った。「競馬が馬と騎手にとって全く危険がないということはあり得ませんが、今回発表された変更を行うことにより、エイントリー競馬場は馬の福祉に注意を払っていることを示しており、私たちは2012年のグランドナショナルがこれまでで最も安全なものになることを望んでいます」。

 BBCの競馬担当の1人であるクレア・ボルディング(Clare Balding)氏は、エイントリー競馬場を大いに称賛し、「より多くの馬が怪我なしにグランドナショナルを完走する可能性を高める障害の修正に満足しています」語った。

 そして次のように付言した。「エイントリー競馬場のチームは、まだいかなる決定も慌てて出してはいません。思慮深く詳細に調査したことは、賞賛に値します」。

By Richard Birch

[Racing Post 2011年8月16日「National becoming ‘glorified hurdle’」]

 

ビーチャーズ・ブルックの着地面の嵩上げなどが行われる予定

 エイントリー競馬場の理事とBHAは、今年のグランドナショナルで2頭が予後不良となったことを受けてその特有の障害とコースの形状に多くの変更を行うことを発表し、2012年グランドナショナルはフェンス前後の高低差が減ってより安全なものになるだろうと述べた。

 今年のレースだけではなく、ビーチャーズ・ブルックとヴァレンタイン・ブルックに修正が施されて以来の20年間の統計および2000年以降に生じたすべての事故のビデオ分析も参考として、関係者合同で見直しが行われた結果、今年のグランドナショナルで2頭の馬が命を落とした2つのフェンス(世界的に有名なビーチャーズ・ブルックを含む)は来年には形状に修正が施され、また1号障害の着地面も修正されることになるだろう。

 エイントリー競馬場のジュリアン・シック(Julian Thick)場長は、「私たちは現状にとどまらず、常に私たちが優先事項としている馬と騎手の安全と福祉に利するよう前進しています。しかし英国の一部をなすと言ってもいいほどの同レースの特徴的な性格は損なわないようにしなければなりません」と語った。

 統計によれば、見直しの参考とした期間において4号障害とビーチャーズ・ブルックはそれぞれ21%の確率で最も多くの落馬事故を招いていることが明らかとなった。

 見直しはまた、レースの速度と40頭という多頭数の出走が事故を招いているという理論に冷水を浴びせた。一方、馬の転倒の半分以上と騎乗者の騎坐変の1/3は1周目のビーチャーズ・ブルックで発生していることが判明した。

 独特な特徴を持つことで知られているビーチャーズ・ブルックは、飛越面と着地面の差が4〜5インチ(約10.2 cm〜12.7 cm)縮小され、その差がコースの外側では6インチ(約15 cm)程度、コースの最も内側で10インチ(約25 cm)となる。

 コーナーに向かう直前のフェンスであるため、着地面が低くなっていない場合には、内側の近道を通ろうとして馬群が殺到するかもしれないと騎手が懸念していることから、フェンスの飛越面と着地面との高低差は維持されるものの、外側の高低差をより小さくすることで馬がコースの外側に広がるようにしている。

 また1周目の4号障害(2周目の20号障害でもあり他の平凡なフェンスと何の違いもない障害)は、今年のグランドナショナルでオーネイス(Ornais)が予後不良になった出来事だけではなくこのコースで行われたすべてのレースで問題を生じさせていることが、統計的な見直しによって明らかになった。

 シック氏は、「見直しの参考とした期間のグランドナショナルにおいて、この4号障害は落馬の12.6%を占めており、平凡なフェンスから予想される以上の数字であり、この同じコースで施行されたグランドナショナル以外のレースでも落馬の11.7%を占めました」と明らかにした。

 この高さ5フィート(約1.5 m)の4号障害は2インチ(約5 cm)低く造り直されるだろう。

 1号障害において、経験の少ない馬が過度に引っ掛かることもまた、問題を生じさせていると確認された。1号障害は4フィート6インチ(約137 cm)の高さが維持されるが、着地面は、馬場取締委員のアンドリュー・タラク(Andrew Tulloch)氏がコースの内側と外側に2、3のくぼみがあると述べたことから、整地し直されるだろう。

 タラク氏は1号障害には飛越面と着地面に約1フィート(約30 cm)の差異があることを確認した。この段差は、着地面を嵩上げすることで半分になるだろう。「段差は微妙な形で減らされ平坦に近づくことになるが、これは重要な変更をもたらすでしょう」。

 そして次のように付け足した。「騎手たちは馬が1号障害を高く飛越しすぎていると述べており、私たちは、彼らが飛越後に体勢をうまく立て直すための水平な着地が出来るよう目指していますが、肉眼で見分けるのはかなり難しいでしょう」。

 4号障害とは違ってグランドナショナルの1号障害は、トップハムチェイスやフォックスハンターズチェイス、そしてビーチャーチェイスで飛越する2周目の17号障害としては問題がないことが判明したため、この調査結果の中で特異なものであることがわかった。

 見直しチームはレース速度の影響を検討してみたが、グランドナショナルの区間ごとのタイムを参考にしたところ、レースの速さと早い時点での落馬との間に相関関係は見つからなかった。

 調査結果は、今年のグランドナショナルにおいて1号障害に殺到があったという印象を打ち砕いた。なぜなら、過去20回のグランドナショナルのうち1号障害への到達速度は11番目で、またビーチャーズ・ブルックへの到達速度は9番目でしかなかったからである。

 またレースの前半に酷い事故が起こりやすいという調査結果が出たことで見直しチームは出走頭数を検討したが、原因となる要素を突き止めることはできなかった。詳細を質問された騎手たちはコースと障害は出走頭数に対して十分であることを認め、また序盤のフェンスで視界を妨げられたことはないと報告している。

 さらに馬が障害の位置を見分けられるよう、フェンスすべてに幅14インチ(約36 cm)に統一されたオレンジ色の踏切板が設置されることとなる。2011年には幅5インチ〜14インチ(約12.7 cm〜36 cm)とさまざまだったが、このことはエイントリー競馬場のマイルドメイコースを含む固定障害において一般的である。

 エイントリー競馬場はこれらの修正が、例年より遅い今年12月3日に行われるビーチャーチェイス開催には間に合うことを確信している。

By Bruce Jackson

[Racing Post 2011年8月16日「Becher’s among National obstacles to be modified]


グランドナショナルの障害修正の詳細

1.  ビーチャーズ・ブルック(1周目の6号障害、2周目の22号障害)の飛越面と着地面との高低差が幅全体にわたり4インチ〜5インチ(約10.2 cm〜12.7 cm)縮小されるよう着地面を嵩上げする。

このことはより平坦な着地面を馬に提供する。この作業が完了すれば飛越面と着地面との高低差は、コースの内側で約10インチ(約25 cm)、コースの外側で6インチ(約15 cm)となる。このコースの内側と外側での高低差の違いは、乗り手がフェンスで外側に広がって飛越するよう促すために、またビーチャーズ・ブルックの独特な性格を維持するためにそのまま保たれる。また、フェンスの高さは4フィート10インチ(約147 cm)に保たれる。

2.  1番号障害(2周目の17号障害)の着地面においても、フェンス前後の高低差を小さくしてより平坦な着地面を提供するために、飛越面と着地面との高低差を小さくする作業が施される。この修正のねらいは、1号障害を高く飛越し過ぎる馬がレース序盤で脱落してしまうことのないようにするためである。このフェンスの高さの4フィート6インチ(約137 cm)は保たれる。

3.  4号障害は2インチ(約5 cm)低くされ、4フィート10インチ(約147 cm)となる。見直しの際に、4号障害と6号障害(ビーチャーズ・ブルック)の飛越がグランドナショナルの他のすべてのフェンスよりも難しいということが統計的に確認された。

4.  グランドナショナルのフェンスの踏切板はすべて幅14インチ(約36 cm)となる。踏切板は、馬がフェンスの位置を判断するためのラインを提供するフェンス手前の地面にあるオレンジ色の板である。

By Bruce Jackson

(関連記事)海外競馬情報2011年No.10「グランドナショナルの将来を決めるのはだれか(イギリス)」

[Racing Post 2011年8月16日「And here’s how the fences will be altered for next year’s race・・・」]


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