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TOPページ > 海外競馬情報 > 競走馬の頭数減少は、懸念すべきことだろうか(イギリス)【開催・運営】
海外競馬情報
2011年06月24日  - No.12 - 2

競走馬の頭数減少は、懸念すべきことだろうか(イギリス)【開催・運営】


 3年前に比較して小頭数で行われる競走が激増したことと、現役馬が1,000頭減少した事実は、2012年度の開催日程に早々の変更をもたらしたが、BHA(英国競馬統括機構)は、さらなる抜本的対策の必要性について確信を持てないでいる。

 競走馬の頭数の減少は、競馬界と賭事業界に対して広範囲な影響を与える可能性があり、とりわけ小頭数の競走は、馬券売上に悪影響を与え、ひいては賦課金収入と賞金にも影響をもたらすことになるが、馬の減少スパイラルの速さを示す最近の数字は、今までのところ荒療治が必要と考えられる程度までには警鐘を鳴らすにいたっていない。

 3月にBHAから発表されたデータは、現役馬の頭数が2008年の同月比で1,090頭減少し、3月の合計頭数としては2005年以降で最も少ない数字であることを示している。1万5,626頭という2011年の合計現役馬頭数は、6.5%の減少に相当する。

 現役馬の頭数減少は、主に景気後退、賞金への賦課金拠出額の減少および産駒生産頭数の減少が原因であると言われているが、BHAはイギリス競馬の全体的競争力が低下していることを示すものではないと今までどおり主張している。

 ただし、明らかな例外が1つある。2007年以降、1月および2月の全天候型馬場の競走における平均出走頭数は、10頭から8頭に減少しており、単複馬券(応援馬券)の購入者にとっては興ざめな7頭以下のレースは、16%から47%へと激増している。

 この結果、BHA理事会は来年1月から3月までの全天候型馬場の開催日数を1週間当たり延べ8日とすることを承認した。なお、本年は全天候型馬場の開催の1週間当たり開催日数は、延べ10日および11日と決められている。

 最終的に1月と2月における全天候型馬場の競馬開催日数は16日少なくなる。しかし芝競走が悪天候のために中止となることが増えた場合には、この日数制限は解除される可能性がある。

 BHAの競走担当理事補佐役リチャード・ウェイマン(Richard Wayman)氏は、次のように述べている。「競走馬の頭数および競馬の競争力に与えるその影響は、当然のことながら我々が絶えず監視していることです。しかし2005‒07年当時を振り返ってみると、そのころは競走馬の頭数はかなり多く、当時の開催日数では対処できなかったため、1年間に1万7,000頭にまで出走可能頭数を減らしています」。

「それ以降、開催日程も拡大し、馬にとっていっそう多くの出走機会が生まれ、同時に過去3年間で競走馬の頭数は着実に減少してきました」。

「しかし、年間を通して出走頭数を調べてみると、減少はわずかであり、極めて著しいというわけではありません。出走頭数は、平均して0.5頭か1頭程度減少しているようですので、イギリス競馬の形態という点で若干の衰微が見られますが、平均的な馬券購入者が大きな違いを感じることはほとんどありません」。

 同氏は、ブックメーカーおよび競馬賭事賦課公社(Levy Board)との協議の結果、2012年の開催日程は2011年と同じになる可能性があると示唆している。

 同氏は、次の通り付け加えている。「これほどまでに減少しているのかというのが、現段階での気持ちですが、イギリス競馬の競走水準は、冬季の全天候型馬場競馬開催を除き、開催日程の削減を必要とする程度までには低下していません」。

「将来も現在の傾向が続くようであれば、開催日程の一定比率の削減といったようなことが必要になるかもしれませんが、現時点ではそのような段階に至っていません」。

 競馬場協会(Racecourse Association)の最高経営責任者スティーブン・アトキン(Stephen Atkin)氏は、前年同月比での馬の頭数減少は、“それほど大幅ではない”と述べているが、同氏は生産頭数の減少が2012年よりも2013年に影響を及ぼす可能性があると警告している。

 同氏は、「私は、馬の頭数の減少に特に驚いていません。頭数の減少に対しいかに対処すべきかがホースメングループ(Horsemen’s Group)との協議の主題ですが、イギリス競馬の根本的な再編成といった差し迫った問題が優先されるかもしれません」と述べている。

 ジョッキークラブ競馬場社(Jockey Club Racecourses:JCR)のグループ統括競馬担当取締役リチャード・ノリス(Richard Norris)氏は、次のように述べている。「競走馬の頭数規模が出走頭数から賦課金収入にいたるまでさまざまなかたちで競馬に影響を与えうるのは明らかであり、我々が最近の傾向が反転するのを見たいと思うのは当然のことです」。

「競走馬の頭数は、厳しい経済状況のもとで減少しています。経済不況のため競馬関係者が馬所有のメリットを考慮することが今まで以上に一層重要になっています。多くの馬主にとって、十分な水準の賞金額は、考慮の重要な要素です」。

「賦課金収入が逼迫しているときに、我々が14競馬場に対して2011年に賞金として追加の220万ポンド(約3億800万円)を投入するのはこのためです[2011年におけるJCRの当初拠出額は、1,540万ポンド(約21億5,600万円)]。平均して、我々は今年、1開催日当たり9万ポンド(約1,260万円)超を提供しています」

「我々の利益のすべてを競馬に再投資する一環として、このような賞金の重視が役立つことが期待されますが、経済情勢の安定が馬の頭数を増やすための重要な推進力であることは明らかです」。

 出走馬が8頭に満たなければ、競馬場の放映権収入は減少する。また、単複馬券(応援馬券)は出走頭数が7頭以下の場合には2着までしか対象とならず魅力がなくなるため馬券売上げは減少する。

 リングフィールド競馬場、サウスウェル競馬場およびウォルバーハンプトン競馬場で全天候型馬場の競馬を主催するアリーナレジャー社(Arena Leisure)によると、来場者は減少しているという。

 同社の社長イアン・レントン(Ian Renton)氏は、次のように述べている。「私の重大な懸念は、馬の頭数の減少が低水準の賞金と相まってさらに出走馬の数に影響を与える可能性があることです」。

「出走馬が非常に少ない場合、来場者数に影響を及ぼしています。我々は賞金の原資への大打撃と相まって依然として厳しい経済状況に置かれています。しかし、経済情勢と賞金の資金源が回復するにつれて、競走馬の頭数も増えると思われます」。

 ブックメーカーは、開催日程の大規模な削減に反対するであろうが、出走馬が3頭、4頭または5頭のレースは、馬券購入者にとってほとんど魅力がないことを認識している。

 ブックメーカーであるコーラル社(Coral)の取引担当取締役サイモン・クレア(Simon Clare)氏は、「競走馬の頭数が減少するときはいつも懸念が生じます。なぜかと言いますと、競走馬の頭数の減少は、出走頭数に影響を与え、それが今度は馬券売上高と総利益に影響を与える可能性があるからです。しかし、競走馬の頭数の減少は、私がメンバーになっているベッティング・パターンズ・ワーキング・パーティー(Betting Patterns Working Party)も注視していることであり、経済的要因が主であり、過去数年の状況においては大きな驚きではありません」と述べている。

 たとえそうであっても、不況が継続するならば、危機感が広がる可能性がある。

 クレア氏は、次のように付言している。「我々が不況を乗り越えた場合、最も重要なことは、競走馬の減少傾向が反転したことを確認することです」。

「競走馬の減少傾向が好況時を通じて存在するならば、それは深刻な懸念となりますが、我々は非常に大変な時代を全国レベルで経験していることを受け入れなければなりません。次の数年間で馬の減少傾向が反転し始めれば、最終的に状況はよくなるでしょう」。


厩務員に対する影響

 競走馬の頭数の減少は、競馬の第一線の人々に多くの犠牲を払わせており、過去3年間で200人から250人の人々が職を失っている。

 英国厩務員協会(National Association of Stable Staff:NASS)の会長ジョージ・マクグラス(George McGrath)氏は、馬の減少により働いていた厩舎を解雇された厩務員に助言することにNASSがいっそう多くの時間を充てているとしている。また、次のように述べている。「我々は、失職した厩務員または解雇された厩務員の分の負担で多忙を極めていますが、調教師は管理馬が減少すれば、収入が減り、同じ人数の厩務員を雇う余裕はなくなると主張しています」。

「これはすべて賞金減の方向へ向かいます。2008年には現在より多くの賞金がありましたが、現在ではすべての経緯がはるかに高くなっています。したがって、馬主には馬を持つ魅力がなくなりました」。

 マクグラス氏は、厩務員の解雇は多くの厩舎で後に残った厩務員に一層多くの負担がかかる結果となっていると述べている。

 同氏は、次のように話を続けた。「調教師の管理馬が少なくなっているため、我々は失職と解雇に係る厩務員の労働権に関して、厩舎スタッフに助言することに多くの時間を費やしているのは確かです。現在のような情勢では、彼らは新しい管理馬がどこから来るのか全く分かりません」。

「かつてはよい厩務員を見つけることが難しかったため、求職者がよい紹介状をもって訪れ、馬に乗ることができれば、たとえ調教師が余分の厩務員を必要としなくても、求職者は採用されたものでした。現在、調教師は厩務員を雇うことを以前よりまして嫌がっており、ほとんど人手不足の状態にまで陥っています」。

 同氏は、「私は2008年以降、競馬産業で200人から250人が職を失ったと推定していますが、状況はいっそう悪化すると思われます。我々は事態を安定した状態に戻さなければなりませんが、競走馬の頭数が減少し続けなければ、そのような状態にはならないでしょう」と言い添えた。


馬主に対する影響

 現役馬の頭数の減少は、登録馬主の数字に必然的に反映されており、2007年2月における登録馬主は過去最高の9,550人であったが、2011年4月20日現在で8,046人となっている。

 馬主の約70%を代表している馬主協会(Racehorse Owners’ Association:ROA)の会員数は、2007年初めの7,650人から7,152人に減少している。

 ROAの最高経営責任者マイケル・ハリス(Michael Harris)氏は、次のように述べている。「可能な限り多くの馬主を引き寄せ、かつ維持することが馬主協会として我々の存在理由であるのは明らかですが、我々は、馬主数の減少と現役馬の減少を望んではいません」。

「このような傾向が続くならば、必然的に競馬産業にいっそうの景気悪化をもたらすことになります。馬の頭数の減少は、調教師の減少と仕事の減少を意味します」。

「現在の開催日程がほぼ同じレベルで維持されるならば、出走頭数は減少します。これは、競馬界全体にとって、そしてとりわけ競馬場にとって悪いニュースです」。

「しかし、この暗雲に明るい兆候が出れば、競馬場は出走馬を確保するために競い合わなければならず、これは賞金額と競馬の一般的水準を引き上げるはずです」。

 同氏は、「馬主と調教師の支援を求めるために競馬場間で生じる競争の増大は、出走頭数が減少したことの副産物です。市場力を信じれば、これは結構なことですが、それには高い代償が伴います」と言い添えた。

 ROA会員であることの特典は、持ち馬が第三者にけがをさせた場合に1,000万ポンド(約14億円)までの自動的な保険担保、1年に1,300日を超える競馬開催への無料入場、チェルトナムフェスティバルとロイヤルアスコットでの接待用施設の利用がある。


長期的な影響はあるか

 BHAは、開催日程のために必要な現役馬の頭数が提供できることに関して懸念を抱いていないようであるが、競走馬の生産が大幅かつ着実に減少していることは、BHAに再考を促すかもしれない。

 イギリスにおいて、現役繁殖牝馬の頭数は、2007年の1万1,091頭から2010年の9,826頭へと減少した。現役繁殖牝馬の減少は、アイルランドではいっそう激しく、2007年の2万700頭から昨年の1万5,345頭へと大きく減少している。

 生産頭数も大幅に減少しており、イギリスでは2007年の6,078頭から2010年は4,665頭となり、またアイルランドでは2007年の1万2,983頭から昨年の7,588頭へと落ち込んでいる。

 このような生産頭数の大幅な減少の影響は、当然のことながら現役馬の頭数に影響を及ぼすまで時間を要するが、産駒頭数の減少が平地競走より大きかった障害競走においてとりわけそうである。しかし、2010年イギリスとアイルランドで種付けされた繁殖牝馬が少なかった事実から判断して、2011年の生産頭数が減少する可能性があるというさらなる懸念が生じている。

ウェザビーズ社(Weatherbys)の執行取締役で、将来の生産頭数が競馬場の需要を満たすことはできないかもしれないという懸念をかつて述べたことのあるポール・グリーヴス(Paul Greeves)氏は4月20日、次のように述べた。「数字は明確です。過去3年間においてイギリスとアイルランドで登録産駒が著しく減少しています。

「登録産駒の減少が現在の現役馬頭数に影響を与えることを予測したくはないでしょうが、将来影響が出るかどうか我々には分かりません」。

 同氏によると、大事な事柄は生産された少ない産駒が競馬場に届いて開催日程の基準を満たすのに必要な“強健さと質”を一般的に持っているかどうかである。

 

英国の馬主の推移
  ROAメンバー 増減 登録馬主* 増減
2004 6,900人   9,266人  
2005 7,100人 2.90% 9,403人 1.50%
2006 7,250人 2.10% 9,329人 -0.80%
2007 7,250人 0% 9,550人 2.40%
2008 7,650人 5.50% 9,537人 -0.10%
2009 7,400人 -3.30% 9,011人 -5.50%
2010 7,192人 -2.80% 8,290人 -8.00%
2011** 7,152人   8,046人   

 *現役馬を所有する馬主 **4月20日現在

  

年間合計産駒数の推移
  2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2010年の
2009年からの減少
英国 5,514頭 5,727頭 5,489頭 5,839頭 5,920頭 5,397頭 4,552頭 -15.60%
愛国 10,992頭 11,748頭 12,004頭 12,633頭 12,419頭 9,581頭 7,128頭 -25.60%
合計 16,506頭 17,475頭 17,493頭 18,472頭 18,339頭 14,978頭 11,680頭 -22.06% 

 

 2011-info12-graph.jpg

※現役馬数は障害・平地を合算したもの


By Graham Green
(1ポンド=約140円)

[Racing Post 2011年4月21日「The racehorse population is dwindling‒should we be concerned?」]
 


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