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TOPページ > 海外競馬情報 > 生産者が1歳馬セールまでに負担するコスト(アイルランド) 【生産】
海外競馬情報
2010年12月17日  - No.24 - 1

生産者が1歳馬セールまでに負担するコスト(アイルランド) 【生産】


 アイルランドの格式ある生産牧場のマネージャーが、2010年に38頭の1歳馬をセリに上場し、このうちたった2頭しか利益をもたらさなかったと発表したことで、この秋が生産者にとってどれだけ厳しかったかということが感じられるだろう。

 一流コンサイナーでこの記事の協力者であるテッド・ヴァウト(Ted Voute)氏もまた、自身が10月中旬にタタソールズ社(Tattersalls)のブック2で上場した27頭の1歳馬のうち、ほんの数頭しか生産コストを上回る利益をもたらさなかったと発表した。

 これらは不満を持つ人々の愚痴ではない。ヴァウト氏および私たちに協力してくれたアイルランドの生産者は、いずれも経験を積んだサラブレッド生産のプロ である。彼らは、セリで最も人気を集めた上場馬に対する一時的な需要によって、高額の価格で取引される上場馬の裏にある問題が隠蔽されてはならないという ことを明確にしたいと考えている。

 この事例研究に関与しているアイルランドの生産者は、上場1歳馬1頭を仕上げるために掛かる費用は1万5,802ポンド(約221万円)であるという数字を提供した。

 この数字に種付料が含まれていないことを強調することは重要である。またどの生産者にとっても、1歳馬の母馬を牧場で管理するためのコストが同時に必要 になると指摘することは重要である。私たちに協力してくれた生産牧場は、マネージャーによれば“中流から上流”の階層に属するが、この牧場では、繁殖牝馬 1頭のために毎年1万3,000ポンド(約182万円)前後を支出している。

 ブック2のような基準セールからの収入を考慮する前に、まずこの管理費の数字には圧倒される。2010年のブック2では、上場された1,031頭の馬の うち66.4%に当たる685頭(個人売却を含むと729頭)しか売却されなかった。2009年の売却率は73.9%であった(個人売却を含むと 77.4%)。

 2010年の取引価格の平均は3万2,470ギニー(約433万円)[2009年は3万3,936ギニー(約452万円)]であり、中央値は昨年と同じ2万5,000ギニー(約333万円)であった。

 深く掘り下げれば、この数字はさらに懸念を抱かせるものとなる。

 種付料を考慮しない場合、1,031頭の1歳馬のうち私たちが基準とする1万5,802ポンド(約221万円)の生産コストよりも高い応札を得たのは669頭(64.8%)に過ぎず、ブック2において178頭がいきなり損失を出したことを意味している。

 種付料を合わせた場合にはどうなるだろう。1歳馬がブック2で売却されたイギリスまたはアイルランドの86頭の種牡馬の平均種付料は、1万6,585ポ ンド(約232万円)であった[32頭の英国種牡馬の平均種付料は1万3,719ポンド(約192万円)、54頭のアイルランド種牡馬の平均種付料は1万 9,451ポンド(約272万円)]。

 この1万6,585ポンド(約232万円)を生産コストに入れて考えれば、収支を合わせるにはブック2において3万2,387ポンド(約453万円)の 応札を得なければならない。それに該当したのは、セリに上場された1歳馬のうちのたった363頭(35%)である。より悲観的に考えれば、ブック2で上場 された668頭(65%)の1歳馬は全く利益を出すことが出来なかった。

 タタソールズ社のブック2の状況は、競走馬生産界が直面している問題の1つの兆候であり、その原因ではないということを指摘しておかなければならない。他の1歳馬セールも同じように厳しい数字であったことは疑いない。

 2010年の1歳馬は、種付料が最も高い時期に生産されたが、このことは購買者にとっては何の関係もない。購買者は1歳馬の価値にだけ支払いを行い、生産コストについては考慮することはしない。

24_1.jpg

 しかし、上記に示した表の経費は、大幅に削減できるようには見えない。もしあるとすれば、生産者に残されている唯一の選択肢は、2011年に2013年の1歳馬を生産するための経費を削減すること、すなわち種付料を減少させることである。

 今後数週間のうちに種付料がどれだけ下がるかを観察することは、非常に興味深いことである。しかし種付料が急落することを望んでいる者は、失望すること になるだろう。英国とアイルランドで供用されている多くの種牡馬の取引は、経済が健全だった時期のレベルで提示されるだろうし、種牡馬の所有者も種付料を ストレートに大幅削減することはけっしてないだろう。

 これは興味をそそるジレンマである。生産者はこれまでの生産コストを維持する余裕がなく、種牡馬マネージャーは彼らの収入源を危険に晒す用意ができていない。広く予測されているように、来年度に繁殖に供する繁殖牝馬が減らされるとすれば、特にそうである。

 1つの簡潔な結末は、生産者が繁殖牝馬のために支払う用意のある支出を削減することであるかもしれない。3万ポンド(約360万円)の種牡馬を予定していた繁殖牝馬が、急にその半分の種付料での交配を検討することになるかもしれない。

 

By Richard Griffiths
(1ポンド=約140円、1ユーロ=約120円、1ギニー=約133円)

[Racing Post 2010年10月21日「Figures below the top tier show just how difficult the yearling sales have been for breeders」]


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