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TOPページ > 海外競馬情報 > ギリシャ産馬、ロイヤルアスコット開催に挑戦(イギリス)【その他】
海外競馬情報
2009年07月17日  - No.14 - 5

ギリシャ産馬、ロイヤルアスコット開催に挑戦(イギリス)【その他】


 古代ギリシャ人はかつてイタリアの各地域からインドにおよぶ帝国を支配したが、その支配がイギリスに及んだことは一度もない。しかし、ギリシャ神話に登場するペガサスのようなギリシャ産馬が6月20日、新境地を切り開こうとしている。

 ギリシャ神話においてトロイ戦争を勝利に導いたアガメムノン王の息子にちなんで名づけられた競走馬イアリソス(Ialysos)が、ロイヤルアスコット 開催のゴールデンジュビリーS(G1 1200 m)において敵軍と刃を交えることになった。(訳注:結果は3番人気も12着)

 イアリソスは英国でただ一度出走しただけで、その実力から“ギリシャの異才(Greek freak)”という異名を得た。もし同馬が世界のスプリンターの精鋭を撃破できれば、その異名は“ギリシャの稲妻(Greek streak)”にかわるだろう。

 5歳黒鹿毛のイアリソスは、1995年のゴールデンジュビリーSを制したソーファクチュアル(So Factual)の産駒であり、同馬の母馬は一流スプリンターで多くの重賞勝馬を輩出したスティルヴィ(Stilvi)の孫である。スティルヴィの馬主は ジョージ・カンバニス(George Cambanis)氏であり調教師は1970年代と1980年代に活躍したブルース・ホッブス(Bruce Hobbes)氏であった。

 カンバニス氏の競走馬生産事業は娘のマリーナ・マリノプロス(Marina Marinopoulos)氏とその夫レオニダス(Leonidas)氏により引き継がれた。その後続いた生産事業の衰退は、イアリソスの台頭によってよ うやく歯止めがかかった。マリノプロス夫妻のフィガイア牧場(Figaia Stud)には50頭の中程度の繁殖牝馬が繋養されている。イアリソスはこの牧場で生産されたさほど印象的ではない仔馬だった。

 ギリシャの競馬場は、アテネから車で30分ほどの場所にあるダート馬場のマルコポーロ競馬場だけである。イアリソスの同競馬場での戦績は、7戦全勝であり、1000 mの走破タイム54秒台のレコードは、アスコットでこれを実現すれば、コースレコードを破ることになる。

 同馬の評判はたちどころに広まり、無敵と言われている。同馬を管理するイヨルゴス・カシス(Giorgos Kassis)調教師は同馬を「ギリシャの水準からすると例外的に優秀です」と表現した。

 同調教師は、「イアリソスは1000 mのレコードを破りました。ギリシャにおける最終戦は、重馬場の7ハロン(約1400 m)で大変良い走りを見せましたが、先頭に立って後続と差が開いたので、騎手は同馬に気合を入れませんでした。恐れをなした競走相手が出馬投票せず、競走 不成立になったことが25回もありました」と語った。

 同馬をニューマーケットに移籍するという決定は3月になされた。同地にはマリノプロス夫妻の所有馬プレスヴィス(Presvis)を世界的なスターに変 えたルカ・クマーニ(Luca Cumani)調教師がいる。彼はスタークラフト(Starcraft)やファルブラヴ (Falbrav)などをチャンピオン馬に育てた独特の魔法を発揮するだろう。

 クマーニ調教師とその妻サラは、イアリソスに一目ぼれした。同馬はデビュー戦となったヘイドック競馬場の芝競走アキレスS(1000 m)において、首差で勝利を制した。レース名は同馬にぴったりで、新たなギリシャの英雄の登場を印象付けた。

 マリノプロス一族は所有馬を英国では10回〜15回出走させており、最高の繁殖牝馬を預託しているフランスでは40回出走させている。また、ギリシャで は約70頭の所有馬を出走させ、マイナーな競馬を盛り立ててきた。しかし、ギリシャ競馬の状況は、5年前にマルコポーロ競馬場がオープンしたもののアテネ 人の関心を集めることもなく、ごく最近やっとギリシャ以外の生産馬に競走を開放したにすぎず、彼らはギリシャ競馬の停滞にいら立っている。

 マリノプロス氏は、「ギリシャ競馬は長年にわたって非常に多くの過ちを重ねてきました。競馬場の立地を変え、施設を立派にしても、国有であり、経営は効 率的とは言えません。妻が会長を務めるジョッキークラブを通して、更なる競走の開放が今後大きなチャンスをもたらすと、関係者に説いています」と述べた。

 また同氏は次のように述べた。「イアリソスはゴールデンジュビリーの結果にかかわらずすでにギリシャの英雄です。前走のアキレスSはただの準重賞競走でしたが、ギリシャから移籍後の初出走で優勝したことはギリシャ競馬にとって大快挙です」。

 「アスコット開催で勝つことはいささか高望みです。でもおとぎ話は起き得ます。クマーニ調教師はプレスヴィスを成功に導いてくれました。イアリソスには それ以上の成功を期待しています。たとえここでおしまいになったとしても、イアリソスのような素晴らしい馬と一緒に過ごせるなら満足です。私たちの方針の 正しさをイアリソスがかなり証明してくれました。すべては偶然の幸運とも言えますが、まぐれだとは思っていません。希望を持って生きて行くべきです」。

 [訳注:同馬はゴールデンジュビリーS後の7月4日コーラルチャージS(G3 1000 m)で優勝]


ギリシャ競馬の概要

 

►► 現役馬約1400頭。
►► マルコポーロ競馬場はアテネオリンピックの馬術複合施設と同時に建設され2004年にオープンした。同競馬場はギリシャで唯一の競馬場であり、既存のファリロン競馬場は閉場となった。
►► 競走はダート馬場で施行される。競馬場は調教施設を有する。
►► 競走は1年中施行されている。ただし8月に3週間のオフがある。開催日は通常週3日(月水金)。1日に9競走が施行される。
►► 2007年の平均賞金総額は1レースにつき1万2530ユーロ(約162万8900円)であった(IFHA調べ)。
►► 最大レースのギリシャ・ダービーは6月28日(日)に施行され、賞金総額は9万3000ユーロ(約1209万円)となる予定である。
►► ギリシャ産馬は英国において、エンダービースピリット(Enderby Spirit)、インヴィンシブルハート(Invincible Heart)およびバーネゼット(Barnezet)のような馬を通して評価が高まっている。
►► 複数のチャンピオン馬を管理しているギリシャのク リス・テオドラキス(Chris Theodorakis)調教師は、管理馬コンテスト(Contest)で4月にフランスの準重賞競走で優勝した。同調教師はフランスを第2の拠点として おり、ドバイカーニバルにも同馬を出走させた。

By Jon Lees
(1ユーロ=約130円)


[Racing Post 2009年6月20日「Beware the gifts of a modern Greek hero」]


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