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TOPページ > 海外競馬情報 > 経済危機の逆風を受ける競馬界(アイルランド)【開催・運営】
海外競馬情報
2009年06月05日  - No.11 - 1

経済危機の逆風を受ける競馬界(アイルランド)【開催・運営】


 経済危機の影響に対する不安や恐れはあるものの、5月1日にさらなる賞金削減が発表された結果、アイルランド競馬産業に従事している多くの人々の間に“辛抱して頑張ろう”という雰囲気が現れてきた。

 暗いニュースは、それだけにとどまらなかった。アイルランドの財政赤字は2009年の最初の4ヵ月間で73億ユーロ(約9490億円)に達した。これは 前年同期の37億ユーロ(約4810億円)に比較して大幅な増加である。政府の税収は20%減少する恐れがあり、社会のすべての領域において支出抑制圧力 が強くなっている。

 アイルランドのサラブレッド産業が、深刻な景気後退と政府の財政支援の削減によって打撃を受けるのは避けがたいことであり、競馬統括機関ホースレーシン グ・アイルランド(Horse Racing Ireland: HRI)が5月1日に発表した2回目の予算削減は、想定の範囲内であった。賞金削減は、前回発表分を加えて、合計で660万ユーロ(約8億5800万円) となり、これは2008年の賞金総額の11%に相当する。

 アイルランド調教師協会(Irish Racehorse Trainers’ Association: IRTA)は、賞金の削減についてコメントを出していない。

 IRTAの上層部は、賞金の削減は残念であるが、国内に広がっている経済危機を考えれば、やむを得ないという姿勢である。

 しかし、ティペラリ県ニーナで平地・障害馬45頭を調教しているトム・ホーガン(Tom Hogan)調教師は、最低レベルの競走ではなく、他のカテゴリーのレースが賞金削減の対象になるべきであるとして、次のように述べている。

 「賞金が多少削減されるのはやむを得ませんが、大幅削減はすべきではありません。最低レベルの競走の賞金が削減されないことが重要です」。

 「現在、ほとんどの調教師は、賞金を稼げそうにない馬を管理したくないと考えています。アマチュア騎手競走、未勝利馬障害競走あるいは通常のハンデ キャップ競走の優勝賞金は、少なくとも数ヵ月分の預託料を支払うのに十分な額です。しかし、最低レベルの競走の賞金は十分とはいえません」。

 「最低レベルの競走の賞金水準は、現状維持すべきです。リステッド競走および重賞ハンデキャップ競走などの競走は、たとえ賞金が削減されても、出走馬の質が下がることはないでしょう」。

 ホーガン調教師はまた、低質馬を競馬というシステムから排除する方針は、見直されるべきであるとして、次のように述べている。「私は、障害競走よりもむしろ平地競走について述べているのです」。

 「平地競走は、出走馬の確保が重要になりつつあります。国内の経済状況のため、預託頭数が減っています」。

 同調教師は、「私は、10名のまじめな厩務員を抱えています。彼らと私自身の現在の仕事を守りたいのです。他の多くの調教師も同様です」と付け加えている。

 HRIの予算削減によって影響を受けるのは賞金だけではない。

 HRI自身は2009年に経費をさらに50万ユーロ(約6500万円)削減しなければならない。他方、先週発表された予算削減の結果、競馬の公正関連業 務を担当するアイリッシュ・ターフクラブ(Irish Turf Club: ITC)は、2009年の予算を合計100万ユーロ(約1億3000万円)減額する必要がある。

 公正関連業務に対する45万ユーロ(約5850万円)の予算削減が最近発表されたが、これは、HRIが2008年末に、2009年の公正関連業務への資金拠出を55万ユーロ(約7150万円)削減すると決定したことを受けて行われたものである。

 これらの予算削減は、いうまでもなく人件費と業務の質に影響を与える。ITCの最高経営責任者デニス・イーガン(Denis Egan)氏は、次のように述べている。「予算削減により、公正関連業務の資金確保に問題が生じています。この問題の80%は人件費です」

 「私たちは、業務の質を維持するよう努力していますが、予算削減への対応策を提出しなければなりません。あまり費用をかけないで、かつより効率的に仕事をする必要があります」。

 「1回目の予算削減には対応済みですが、さらなる予算削減がありました。困難な事態です。この厳しい時代でも自らの役割を忘れてはならず、そのような姿勢で予算削減に対処すべきです」。

 「公正関連業務」の予算内訳を見ると、とりわけITCの職員人件費と保安関連業務費が大きな割合を占めている。なお、イーガン氏によると、公正関連業務 のうち唯一ITCが関与しない業務は、馬と騎手の薬物検査である。馬の薬物検査は、リムリックにある薬物検査所が行い、騎手に関する薬物検査はスペインに ある独立薬物検査所が行っている。

 

By Tony O’Hehir


[Racing Post 2009年5月8日「Irish Racing in Recession: Industry prepares to dig in and soldier on」]

海外に流出する賭金を課税対象とする動き

 政府は“深刻な問題”に悩まされているが、その政府から十分な資金を獲得することは、HRIの方針であり、HRIの最高経営責任者ブライアン・カヴァ ナー(Brian Kavanagh)氏は、政府による将来の財政支援がアイルランド競馬界にとっていかに重要であるかを改めて強調した。

 財政支援の獲得は、実際上非常に重要であるので、HRIは政府につぎのような陳情書を提出し、驚くべき大きな数字をあげ、競馬界が重大な影響を受けていると訴えた。

 (1) 17億ユーロ(約2210億円)という巨額の賭金が、賭事税の支払を回避し海外に流出したと述べている。この数字は、賭事売上高の30%に相当する。

 (2) “国内で行われている賭事活動”に対する課税が大幅に引き上げられる可能性がある。それは、競馬・グレイハウンド基金(Horse and Greyhound Racing Fund: HGRF)が政府から“それぞれの業界を発展させるのに必要かつ十分な財政支援”を受ける可能性があることを意味している。

 2009年の財政支援はすでに実施されているが、マーティン・カレン(Martin Cullen)芸術・スポーツ・観光大臣は、競馬業界とグレイハウンド業界の長期的な資金確保の見地から、政府の財政支援のあり方について見直しを始めた。

 HRIのカヴァナー氏は、次のように述べている。「政府は、対処すべき多くの課題を抱えています。しかし、2009年の財政援助に関する下院での最近の 議論や可決した法案が示しているように、政府とすべての関係当事者は競馬界を積極的に支援しています。政府と関係当事者は、競馬産業の重要性を認識してお り、競馬産業が発展しかつ繁栄することを望んでいます」。

 「HGRFは、競馬産業が発展するための健全な基礎を提供してくれました。私たちは、賞金についてだけ話をしているのではありません。過去数年間に競馬 ファンのための施設に大きな改善が見られましたが、実施すべきことがまだ沢山あります。安定した資金拠出がなければ、実施に移せません」。

 賭事税だけを原資として競馬に財政支援することが難しくなっており、賭事税の課税範囲を拡大することが、HRIの宿願となっている。

 カヴァナー氏は、「HGRFがスタートした2001年当時、すべての資金は賭事税によってまかなわれていました。当時、HGRFへの賭事税収入による補 助額は、6800万ユーロ(約88億4000万円)でしたが、賭事売上高が55億ユーロ(約7150億円)ないし60億ユーロ(約7800億円)まで大幅 に増大した時期に、反対に賭事税収は3800万ユーロ(約49億4000万円)まで減少しました」と述べている。

 

アイルランド競馬界の状況(2008年)
馬主による各年の投資: 2億4000万ユーロ(312億円)
輸出額: 2億ユーロ(260億円)
地方経済に与えるゴールウェイ競馬フェスティバルと
パンチェスタウン競馬フェスティバルの経済効果:
1億500万ユーロ(136億5000万円)
アイルランド政府の賭事税収入(2008年):
                     (2001年):
3800万ユーロ(49億4000万円)
6800万ユーロ(88億4000万円)
年間来場観光客数: 8万人
競馬産業従事者数: 1万6500人
現役馬頭数: 1万2000頭
サラブレッド生産者数: 9530人
調教師数: 778人
輸出頭数(40ヵ国以上に輸出): 6200頭
生産牧場数: 456牧場
競馬場数: 27場

 上述のように17億ユーロ(約2210億円)の賭金を吸い上げているさまざまな海外賭事会社に分担金の支払いを求めることは、1つの目標になっている。 これは、ブライアン・レニハン(Brian Lenihan)財務大臣が10月の予算演説で、「政府はもはやHGRFの必要資金の不足額を財政援助する余裕がありません」と述べたことによる。

 カヴァナー氏は、「我々は、芸術・スポーツ・観光省のカレン大臣に情報を提供し、同省と協力しています。これはHRIが独力でできることではありません。財政支援の新たな仕組みが立法化されないことには、我々は前進できません」と述べている。

 財政状況にもかかわらず、同氏は“あまり悲観的になっていない”ことを認めている。同氏は、次のように述べている。「フェアリーハウス・イースター開催 とパンチェスタウン競馬フェスティバルの入場者数は、現在の経済不況下では満足できるものでした。チェルトナム開催、パンチェスタウン開催およびニュー マーケットのギニー開催が示しているように、アイルランドの馬の質はきわめて優れています」。

 「ただし、勝馬投票、馬の購買と所有が、人々の可処分所得の低下で打撃を受けているのは事実です。今年の最初の4ヵ月間における出馬登録は、約18%減少していますが、障害競走よりも平地競走で減少が顕著です」。

 

By Tony O’Hehir
(1ユーロ=約130円)


[Racing Post 2009年5月8日「Government urged to widen tax net with 1.7bn euros of bets going offshore」]


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