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TOPページ > 海外競馬情報 > 競馬賭事産業を脅かす不正行為(アメリカ)【開催・運営】
海外競馬情報
2008年07月04日  - No.13 - 2

競馬賭事産業を脅かす不正行為(アメリカ)【開催・運営】


 1999年のジョッキークラブ円卓会議(Jockey Club Round Table)で、IBMグローバルサービス社(IBM Global Services)の経営者マーク・エリオット(Mark Eliot)氏は、同社と1998年に創設された全米サラブレッド協会(National Thoroughbred Racing Association: NTRA)との提携が可能な分野について講演した。その講演のなかで最も注目すべきことは、“ブロードバンド(広域帯通信)による全米ネットワークの構築”に関連して、「競馬産業の賭事システムは技術的におくれているのに、多くの人はそれを直視していない」と述べていたことである。

 当時エリオット氏は、競馬賭事産業のパリミューチュエルシステムを調査している技術者、分析者、コンサルタントからなる専門家の大編成チームを率いていた。その調査結果にチームは衝撃を受けた。エリオット氏は、競馬産業の賭事システムは自身が見てきたあらゆる産業のものよりもかなり遅れていたと述べた。

 残念ながら、競馬産業の多くの事柄と同様に、政治的駆け引きに妨げられて、IBMグローバルサービス社とNTRAは提携できなかった。全米集中賭事受付システムを確立する提案には、いくつかの競馬機関が懸念を深め、その後それらの競馬組織はNTRAと争い、IBMとNTRAのあらゆる関係を狂わせてし まった。

 エリオット氏の賭事分野におけるソフトウェアの更新、研究・開発などの講演によって、一般の賭事客でさえ、レース直前にオッズが著しく変化することに気づかされることになったのだが、エリオット氏のスピーチの後まもなく、“起こるべくして起こった事故”が実際に発生した。

 2002年秋に、総額464万6289ドル(約5億1109万1790円)の投票があったブリーダーズカップ・ウルトラピック6(6重勝馬券)において、6枚の的中馬券があった。しかし程なく、この6枚の馬券全てが極めて疑わしいことが判明した。馬券購入者は初めの4レースでは勝馬1頭のみを選んでおり、最後の2レースでは全出走馬を選んでいた。

 容疑者の追跡に大した時間はかからなかった。首謀者はオートトート社(Autotote)の上級ソフトウェア技術者のクリス・ハーン(Chris Harn)であった。ハーンは、共犯者のデリック・デイヴィスが購入した馬券をピック6の4つ目のレース終了後に改ざんした。ほとんどの人に知らなかったが、賭けの対象の1つ目のレースが始まる前に賭金の受け付けは締め切られるにもかかわらず、馬番選択の情報の締め切りはなされていなかったのだ。

 ハーン、デイヴィスおよびクリス・ダシルヴァ(Chris DaSilva)が米国北東部の多くの競馬場で、払い戻されていない的中馬券を偽造して払い戻しを受けていたことも露見した。

 NTRAは、勧告を行うため前ニューヨーク市長のルディ・ジュリアーニ(Rudy Giuliani)氏が率いるジュリアーニ・パートナー社(Guiliani Partner)と契約し、トートの安全問題に取り組むために直ちに動いた。同社の報告は、2003年の円卓会議で発表された。同会議の議論の主要ポイン トは、全国勝馬投票公正監視機関(National Office of Wagering Security)の創設、技術向上およびトートシステムのための模範ルール設定等であった。

 そのわずか2ヵ月後、NTRA理事会は上席安全担当理事の役職を設けた。シャロン・オブライアン(Sharon O’Bryan)氏が任命されたものの、1日も働かず退任した。その後誰も任命されておらず、上席安全担当理事は不在のままである。

 2007年11月、レキシントンを本拠とする大口馬券購入者マイク・マロニー(Mike Maloney)氏は、フェアグラウンズ競馬場でレース発走後に賭けを行ったときの状況を暴露し、競馬賭事産業の関心を集めた。驚くべきことに、誰も発走後の賭けが行われていることに気づかなかったし、また気づいていたとしても沈黙を守っていたのだ。

 さらに、今年のケンタッキーダービー(G1)で1300ドル(約14万3,000円)分のクイックピック・スーパーフェクタ(コンピューターがランダムに選定する馬券・4連勝単式)のどの馬券にも馬番20が入っていなかったとの報告がされた。もちろん、馬番20は優勝馬ビッグブラウン(Big Brown)である。

 カリフォルニアのすべてのベッティングショップと契約を結んでいるサイエンティフィックゲームズ社(Scientific Games: SG)の職員たちが、事前にシステムの欠陥を知っていた可能性があることは、“誤作動”よりもさらに驚くべきことである。

 カリフォルニア州競馬委員会(California Horse Racing Board)の専務理事カーク・ブリード(Kirk Breed)氏は、「私たちは他州の十分信用できる消息筋から、SGは私たちがカリフォルニアでこれを発見する前にこの欠陥について知っていたと聞きました」と述べた。

 10年前、競馬賭事産業はIBMと組むチャンスがあり、僅か5年前には全国勝馬投票公正監視機関について話し合っていた。

 この問題を放置しておける時間的な余裕は果たしてあとどれぐらいあるのだろうか?

By Dan Liebman
(1ドル=約110円)

[The Blood-Horse 2008年5月31日「What’s Going On Here―Breach City」]


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