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海外競馬情報
2008年05月23日  - No.10 - 2

賭事安全対策ソフトウェアの準備が整う(アメリカ)【開催・運営】


 北中米競馬委員会協会(Association of Racing Commissioners International:RCI)が2007年に採択した模範ルールには、賭事安全対策ソフトウェアの整備が規定されている。同協会は賭事安全対策ソフトウェアの整備を促進するため、“RCI公正確保サービス(RCI Integrity Services)ソフトウェア”を普及させようとしており、今年の会議でも、その一環としてこのソフトウェアを披露した。

 同サービスは2種類のソフトウェアを提供する。1つはリアルタイムでレースを監視し、もう1つは疑わしい賭事パターンがないか、終了したレースを精査する。

 顧問のデニー・エルシュラジャー (Denny Oelschlager) 氏は、ソフトウェアを試験したところ、ここ数ヵ月間大ニュースになった発走後の賭事受付け、すなわち正しい時点に賭事停止ボタンが押されなかったか、正常に作動しなかったために、発走後も競馬ファンが賭事を継続することが可能になった状況を検出する能力を示したと述べた。

 競馬場側では賭事伝送プロトコル(Wagering Transmission Protocol)と呼ばれるリアルタイムの賭事情報ソフトウェアの開発を行っており、RCIはRCI独自の同時監視および事後監査ソフトウェアの活用を提唱している。RCIは模範ルールで賭事安全対策ソフトウェアを活用するように定めたものの、いまだどの競馬場も遵守できていない。

 エルシュラジャー氏は発表のなかで、不正行為の可能性のある賭事パターンに対するシステムの検索能力を説明した。また、システムは大金が投じられた合法賭事や、一見低く見える払戻額に関する説明をする際にも使うことができると述べた。

 エルシュラジャー氏は、多数の競馬場がオンライン賭事に参加した時に監視機能が発揮されると指摘し、“各競馬場から要請があればソフトウェアを作動させる”という協定がすべての主要トート会社との間ですでに交わされていると補足した。賭事情報はRCI公正確保サービスのコンプライアンス委員によって分析され、その結果は参加する取締機関に提供される。

 RCIのポール・ボーリンガー(Paul Bowlinger)執行副社長は、全米サラブレッド競馬協会(National Thoroughbred Racing Association)から締切り間際での急激なオッズの落ち込みという事案が、競馬ファンの信頼を失わせる一番の問題として取り上げられていると指摘し、競馬統括機関は馬券に関する信頼を回復しなければならないと述べた。

 エルシュラジャー氏は「このシステムは賭事の不正行為を監視するほかに、賭事客、馬関係者および生産組織に正当な払戻額であったかどうかを開示することができます。もし取締機関からマネーロンダリングの疑いがあるとして要請があれば、特定のデータを検索することもできます」と述べた。

By Frank Angst

[Thoroughbred Times 4月5日「Wagering security software ready for use」]


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