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TOPページ > 海外競馬情報 > 新たなサイマルキャスト・モデル構築の必要性(アメリカ)【開催・運営】
海外競馬情報
2007年05月11日  - No.9 - 2

新たなサイマルキャスト・モデル構築の必要性(アメリカ)【開催・運営】


 20年前、1レースから最終レースまで全競走のサイマルキャスト放映の揺籃期には、いわゆる「スーパー競馬場(super tracks)」すなわち最高品質の競馬の映像を国内のサイマルキャスト受信サイトに放映する競馬場しか生き残れないのではないかと懸念された。

 しかし、この懸念は現実のものとならなかった。その理由の1つはサイマルキャスト放映契約によって、映像受信者の収入が、配信者である開催競馬場が受け取る収入の5倍以上となっている配分構造にある。

 開催競馬場は通常、サイマルキャスト放映料として賭金の3%を受け取り、映像受信競馬場ならびに場外馬券発売所はおよそ15%以上を受け取る。ただし、開催競馬場と映像受信競馬場の収益の2分の1は、賞金に充当される。

 たとえば、あるオハイオ州の競馬場がニューヨーク州から放映されるレースで賭金2ドルを売り上げた場合、6セントがニューヨーク競馬協会(New York Racing Association: NYRA)に支払われ、NYRAはこの6セントを競馬関係者と分け合う。一方、オハイオ州の競馬場は、賭金2ドルにつき約30セントを競馬関係者と分け合う。

 同じ2ドルの賭けがニューヨーク州の競馬場で行われた場合、約36セントがNYRAと競馬関係者で分けられる。

 サイマルキャスト放映における収入配分は、ニューヨーク州で競馬を開催している競馬場と競馬関係者にとって公平でないと言う人がいるかもしれないが、オハイオ州のサイマルキャスト発売所から支払われる収入もニューヨーク州の競馬開催に貢献している。サイマルキャスト収入がなければ、小規模競馬場(少なくともスロットマシンを設置していない競馬場)は、苦境に陥ることになる。

 大レースのわずかな例外を除き、ほとんどのサイマルキャストの放映料は、20年たった今でも値上げされていない。開催競馬場からますます多くの賭金が逃げていくことから、多くの競馬場は収入を増やすことは困難になっている。したがって、賞金額も低迷している。

 数年前に海外の賭事業者が映像の利用を認められたことで、問題がさらに深刻になった。アンティグアの場外馬券発売所がサイマルキャスト受信料として同じく賭金の3%を開催競馬場に支払うと、前述のオハイオ州の受信競馬場と同じく賭金2ドルにつき30セントを得ることになる。しかし、海外の受信サイトは、収入を分け合う競馬関係者がおらず、また資金提供の対象となる競馬場インフラも存在しない。これらの賭事業者は、高額購入顧客と利益を配分し、最高10%のリベート(キャッシュバック)を支払うようになった。

 リベート支払者がしばしば米国の競馬場を訪れ、大金を賭ける馬券購入者に対しリベートの利点を説明して、自社に賭けるように勧誘している。そのため、リベートは場内賭けの流出に拍車をかけることになる。率直に言って、私は海外賭事業者の運営方法を責めることはできないし、またリベートを求める馬券購入者を非難することもできない。むしろ、リベートを許してきた競馬場と競馬関係者を非難したい。

 賭事業者に利益を与え、競馬場と競馬関係者に不利益を与える海外の賭事モデルが機能している1つの理由は、競馬場がサイマルキャスト放映をリベート支払者に利用させ、事実上自分の首を絞めていることである。

 チャーチルダウンズ社(Churchill Downs Inc.: CDI)とマグナ・エンターテインメント社(Magna Entertainment Corp.: MEC)がメディア管理会社のトラックネット・メディア・グループ(TrackNet Media Group: TNMG)を設立したと3月5日に発表した。これは、CDIとMECが海外賭事業者向けのサイマルキャスト放映料を引き上げることにより、パリミューチュエル発売金の流出を防止するために努力することを意味している。CDIとMECは、両社合わせて15個所のサラブレッド競馬場を所有している。これら競馬場には、最高級のサイマルキャスト放映を行っている競馬場、すなわちサンタアニタパーク競馬場、ガルフストリームパーク競馬場、チャーチルダウンズ競馬場、アーリントンパーク競馬場、ローレルパーク競馬場、ピムリコ競馬場およびフェアグラウンズ競馬場が含まれている。

 過去には、競馬場がサイマルキャスト契約で共同歩調を取ると、独占禁止法違反の価格協定となるおそれがあるという懸念があった。しかし、TNMGに関する報道陣との対応で、CDIの最高経営責任者ボブ・エヴァンズ(Bob Evans)氏とMECの最高経営責任者マイケル・ニューマン(Michael Neuman)氏は、この問題を簡単に片付けてしまった。

 馬券発売業者のリベート支払いによる攻勢への対策は、新たなサイマルキャスト・モデルにとって極めて重要な課題である。このサイマルキャスト・モデルは、自場開催にばく大な資金をつぎこんでいる競馬場と競馬関係者に十分に資金還元ができるものでなければならない。

By Ray Paulick

〔The Blood-Horse 2007年3月10日「Turn Signal」〕


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