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海外競馬情報
2007年10月05日  - No.19 - 3

ウォリック競馬場、散水が原因で競走取り止め(イギリス)【その他】


 ウォリック競馬場は9月6日、競走取り止めにより関係者に迷惑をかけたが、その原因がレース直前の散水によって馬場の一角が危険な状態になったことによるものであると認めた。

 裁決委員と古参騎手による2回の馬場下見の結果、2ハロン棒と3ハロン棒の間の馬場の一角に不安があったため、当日は7レース施行予定のところ最初の2レースのみに縮小された。

 今回の議論を受け、ウォリック競馬場を所有しているジョッキークラブ競馬場社(Jockey Club Racecourses: JCR)は9月6日の夜に声明を出した。この声明において、JCRは競走取り止めについて“ショックを受けたと同時に驚いた”と述べた同競馬場の場長ヒュー・ウィリアムズ(Huw Williams)氏の言葉を引用した。

 調教師と騎手たちは、怒りをあらわにし、また失望した。しかし、今回の競走の大部分を安全上の理由で取り止める決定に至ったことはその後受け入れられた。

 馬場取締委員のフィオーナ・ニーダム(Fiona Needham)氏は批判の矢面に立たされ、9月6日の夜、不手際に対する責任を認めた。

 同氏は、次のように述べている。「正直に言って、予想外の出来事でしたが、批判は甘受します。7月に馬場が冠水するなど、夏の天候が不順であったという事情はありますが、馬場取締委員として、責任を負うつもりです。私たちは、馬場の構造を熟知していますので、問題箇所には直接散水するようなことはありません。そこは砂の層が大変厚く、散水の効果がほかの箇所と異なるので、慎重を要します。あまり滑らずかつ固くならないようにするために、今朝問題箇所をのぞいたコーナーにも散水しました。

 散水の問題は、馬場取締委員のみならず、調教師と騎手および馬券購入者にとっても悩みの種となっている。9月6日の競走取り止めを踏まえて、ウィリアムズ氏は馬場取締委員とそのチームが用いている手順を直ちに見直すことにしている。他方、裁決委員の極秘報告書が英国競馬統括機構(British Horseracing Authority)に送られた。

 そこには、馬場の問題箇所があることは、午前11時30分に、マーク・トンプキンズ(Mark Tompkins)調教師の出張厩舎主任であるイアン・ウィリアムズ(Ian Williams)氏からウォーリック競馬場の開催執務委員に、通報されていたと指摘しているもようである。それからほぼ2時間のあいだ是正措置が全く講じられなかったと考えられる。

 イアン・ウィリアムズ氏は、次のように述べている。「午前11時ころ競馬場に着いたとき、いつものように馬場を歩きました。馬場状態は良と発表されていました。私たちは最終コーナーが直線走路と交わる箇所で、不良箇所を見つけました。私は、馬場取締委員にそのことを伝えましたが、馬場取締委員は馬場に問題はなく、レースを行うのに差し支えないであろうと断言しました」。

 第1レースが近づいてきたとき、下見をしたリチャーズ・ヒルズ(Richards Hills)、ケヴィン・ダーレー(Kevin Darley)およびマーティン・ドワイアー(Martin Dwyer)の各騎手ならびに裁決委員は、最終コーナーの馬場状態が非常に悪く、円形馬場は危険であるとの結論に達した。

 ドワイアー騎手は、「円形馬場でのレースを中止にしたのは正しい決定であったと考えます。2年前にエアー競馬場で同じような問題が起き、私たちは競馬ファンに不満を与えないよう当日レースを行いました。その結果、1頭の馬が転倒して死亡し、ロバート・ウィンストン(Robert Winston)騎手があごを骨折しました」と述べている。

 裁決委員書記のサイモン・カウリー(Simon Cowley)氏は、1回目の下見が行われたあと、問題箇所に応急作業が行われたと述べている。

 同氏は、「2回目の下見が行われたあと、円形馬場の最終コーナーの一部がレースをするには危険であると決定されましたが、2レースが直線コースで行うことが許可されました」と付け加えている。

 デボン州で活躍しているロッド・ミルマン(Rod Millman)調教師は、同僚調教師の多数の考えに同調し、「この種の問題は、第1レースの1時間前ではなく、もっと早く決定されるべきのものであり、失態だと思います。過度に散水したのでしょう」と述べている。

 馬場取締委員のニーダム氏は、過度に散水したことを否定し、「夏の天候不順という要因があります。競馬場の一角に7月に冠水した低い箇所があります。今回の開催のために散水が必要となり、散水を繰り返したことが影響して低い箇所に水がたまったと思われます」と述べた。

 馬場に不良箇所があった理由に関してさまざまな憶測を呼んでいる。

 かつてアマチュア騎手をし、ラストオプション(Last Option)に騎乗してチェルトナム競馬場で2002年のフォックスハンター障害競走に優勝したニーダム氏は、次のように述べている。「スプリンクラーが外れていたか、パイプが破裂していたとか、さまざまな噂が飛び交っています。しかし事実は、水が約6平方フィート(約0.54 平方メートル)の非常に狭い箇所に流れ込み、その箇所が水浸しになったのです。これは、馬場の勾配が原因で起きたものです。その箇所は過去にも危険な状態になったことがあるので、私たちはそこにいつも砂と刈草を入れています。私たちは、その箇所は下り坂の底辺で馬場のほかの箇所よりも若干時計が速くなると認識していましたが、以前からそのような状態であり、大きな問題となったことはありません」。

 ウォリック競馬場は、入場料の50%を払い戻すと発表したが、多くの入場者は納得しなかった。

 アシュビー・ドゥ・ラ・ズーシュ在住のマイケル・スケレッテ(Michael Skellett)氏は、「今回の件は、不名誉以外のなにものでもありません。この問題は、もっと早い段階で決定されるべきであったのです。わずか2レースが終わっただけなのに入場料の半額を払い戻すというのでは不満があります」と述べた。

By Andrew King

〔Racing Post 2007年9月7日「Warwick watering shocker as track forced to abandon」〕


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