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TOPページ > 海外競馬情報 > PMUと欧州委員会、もはや何もうまく行かず(フランス)【開催・運営】
海外競馬情報
2007年09月21日  - No.18 - 1

PMUと欧州委員会、もはや何もうまく行かず(フランス)【開催・運営】


 フランス場外馬券公社(Pari Mutuel Urbain: PMU)と欧州委員会(Commission européenne)の間に問題が起きている。8月初旬のフィガロ紙(Le Figaro)の“討論と意見”欄において、与党の代議士3氏が、このことについて議論を展開した。3氏は、ルイ・ジスカールデスタン(Louis Giscard d’Estaing)氏、ジャック・ミヤール(Jacques Myard)氏およびフランソワ・ソヴァデ(Francois Sauvadet)氏で、とりわけはじめの2名は、問題に精通している。彼らの議論はまさに、ここ数ヵ月フランスギャロ(France Galop)、シュヴァル・フランセ(Cheval Français)、PMUのリーダーにより展開されていたものである。

 欧州委員会はフランスに“理由を付した意見書”を送付し、PMUとフランス宝くじ公社(Française des Jeux)に関する賭事法を改正するように厳しく要求した。

 欧州委員会の域内市場・サービス担当委員チャーリー・マクリービィ(Charlie McCreevy)氏は、フランスの法律は賭事サービス提供の自由を侵害していると考えている。欧州委員会の見解は、もし賭事が有害であるなら、すべての人に有害なので、禁止するべきであり、さもなければ、フランスは賭事運営を独占企業に委せることはできず、競争相手の参入を認めなければならないということだ。

 これは、フランスにおける賭事と公共の利益のかかわりを無視したこじつけの議論である。フランスでは、1836年5月21日法により宝くじが禁止された。また、1891年6月2日法により、公権力が予め与えた権限に基づき競馬が行われることになった。この法律は競馬サークルに資金面で貢献するために競馬賭事を運営することを認めたものである。競馬活動に対する国の統制は、PMUのもとで実現された。PMUは、競馬サークルによって設立された非営利団体で、賭事による収入から、税金、運営費、馬産業への助成金を差し引いた後、馬券的中者に払戻す方式で競馬賭事を運営する。利益配当は行わない。

 このシステムは競馬界の利益になるように機能し、12万以上の雇用を生んでいる産業分野となった。そのうち6万2,000人が生産者から調教師、騎手にいたる直接的な雇用者で、そのほかにほぼ同数の間接的な雇用者がいる。これらの法律によって、透明性がありかつ確実な運営が保証され、不正な資金の循環を防止できる。

 サービス産業自由化というEUの教義に従って、欧州裁判所においてこのシステムの是非を明らかにすることが望ましいのだろうか?

 欧州委員会はいくつかの要素を忘れている。

 欧州連合条約は各加盟国に、公共の安全を維持するために、EUの定める市場のルールに関して例外を定める権利を認めている(30条)。賭事活動は経常的活動ではないが、公共の安全の名の下に規制されるべきであり、公共の安全という観念はこの30条でも認められており、またフランスの1891年法の基本理念でもある。さらに、エヴァン法(loi Evin)はタバコ会社やアルコール会社にスポーツイベント(競馬も含まれる)のスポンサーになることを禁じており、その立法目的は、公共の安全にある。

 フランスでは賭事運営とその規制は、公共の安全の維持を十分念頭において実施されている。2006年12月12日のEU指令(注)は、金銭が関係する賭事活動(宝くじや賭博を含む)を、その活動の特殊性に鑑み、適用除外している。その活動の特殊性のゆえに、EU加盟国は、公共の安全を維持し、消費者を保護する政策を実施しているのだ。

 しかし、フランス最高裁判所は、2007年7月10日の判決で、欧州連合条約49条(サービス提供の自由に関する規定)がフランス法に優先して適用されるべきと判断して、パリ控訴院判決を破棄した。フランス最高裁判所は、その前にこのEU指令の前文を再読するべきだった。パリ控訴院は、フランスの法律を適用し、PMUの競馬賭事の独占を是認し、マルタ島を拠点とするインターネット賭事業者の活動を認めなかった。ところが、フランス最高裁判所は、マルタ島において公共利益はサービス提供者を規制する法令により保護されているかどうかを確認する予備審理を行ったものの、最終的には、EU法の補足的機能の原則と公共の安全の観念を両方とも否定してしまった。

 国が税を徴収して税金で司法官への給与支払いを保証しているのに、国は公共利益の実現という使命をまっとうしないというような主張は、フランス革命以前の旧体制の高等法院の傲慢さを思い起こさせる!フランス最高裁判所の論理は現実離れしている!!

 経済的にみて、賭事システムは、賭事客と競馬界に独占的な利益をもたらすことを目的としており、株主への配当のために売上げが控除されることはない。競馬機関は賭金の配分の面において完全に中立であり、その点ブックメーカーとは違う。競馬界には賭事によってPMUを通じ多額の資金が流入している。

 オンライン賭事を認めて、競馬賭事を自由競争にさらすことになれば、フランスを世界有数の競馬・馬産業の大国に押し上げ、国土保全という重要な役割を担うフランス競馬界を破滅させること請け合いである。ドイツとベルギーの例は説得力がある。自由競争体制に移行してから、賭金は、大半が税務上有利な国を拠点とするブックメーカーに流れてしまい、全体のレース数は36%減少し、出走頭数は40%減少した。

 欧州委員会のフランスの競馬賭事システムへの攻撃は、多くの場合違法な民間賭事業者を利するだけの、愚行である。イギリスの主要ブックメーカーの1つであるラドブロークス社(Ladbrokes)のクリス・ベル(Chriss Bell)社長は2004年5月、イギリスではベッティング・エクスチェンジのせいで1日に1レースは八百長があったことを明言した。なぜすべての賭事客、競馬関係者の利益のために機能し、透明性があり、効果的で確実なシステムを壊して、明白なリスクを招き、不誠実な賭事業者にもっとも大きな利益を与えようとするのだろうか。独断としか言いようがない。

 フランスは欧州委員会を説得すべきだ。

(注)EU指令は、加盟国内で直接適用されることはなく、加盟国は指令の内容に即して国内法を整備する必要がある。その際加盟国には一定の裁量権が与えられており、すべての加盟国での同一の内容に整備される訳ではない。

理由を付した意見書:欧州委員会の非難

 欧州委員会がフランスに送付した“理由を付した意見書”は約30ページの文書である。PMUとフランス宝くじ公社のことでフランスに向けられた苦情は主に、独占市場を正当化し賭事行為を助長し奨励しているのは、賭けをする機会を首尾一貫かつ確実に減らすという目標に矛盾しているということである。また、欧州委員会は賭事を積極的に発展させる施策、賭事供給の大幅な増加、賭事へのアクセスが非常に容易であることを非難した。そのほか欧州委員会の見解は次のとおりである。他の加盟国の賭事業者に対する規制を考慮すると、フランスが公共の安全維持を根拠とし正当性を主張することはバランスを欠いている。公共の安全に関して実施されている施策に一貫性がなく、また、公共の安全が真の弁明となっていないことについて、欧州裁判所の判断を求める。フランスは未成年者の賭事と賭事依存症に対してわずかな措置しか取っていない。フランスは、パリミューチュエルがブックメーカーと比べて公共の安全の面でより安心できるということを論拠の1つとしているが、PMUもまた利益の最大化を狙っている。

 競馬サークルに資金面で貢献しているからといって、賭事独占が正当化される訳ではない。外国の宝くじ会社がフランスにおいて広告を出すことができ、妨げられることがない一方で、外国の他の賭事業者がフランスで事業を行うことを禁じていることにも一貫性がない。

By Francois Hallopé

[Paris Turf 2007年8月12日「Entre le PMU et l’Europe, rien ne va plus」]


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