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海外競馬情報
2007年06月22日  - No.12 - 2

米国、賭博はサービス貿易自由化の協定外と主張(アメリカ)【開催・運営】


 4年前から続くアンティグア・バブーダとのインターネット賭博をめぐる紛争に関し、米国は立場を変更した。米国はサービス貿易に関する一般協定(General Agreement in Trade in Services: GATS)から賭博を除外するように世界貿易機関(World Trade Organization: WTO)に申し入れた。

 米国は従来、アンティグア・バブーダなどを本拠とする海外賭事サイトが米市民の投票を受け付けることを、同国のインターネット賭博禁止関連法によって、取り締ることができると主張してきた。しかし、今年3月に、WTOの履行確認小委員会は米国が国内で競馬や宝くじのインターネット賭博を認めていることを理由に、米国がWTOの決定を遵守していないと指摘し、アンティグア・バブーダに有利な裁定を下した。

 5月4日、米国通商代表部(U.S. Trade Representative)のジョン・ヴェルナウ(John Veroneau)氏は、米国は賭博がGATSの自由化約束外であることを主張するだろうと述べ、「不運にも、1990年代初め、米国は娯楽サービス市場 を開放するための自由化約束の草案を作成する際に、自由化約束に賭博が含まれないことを明記していませんでした。当然のことですが、その当時どのWTO加盟国も米国が自国の賭博関連法と矛盾する賭博サービスの自由化を約束するなどとは、考えていなかったはずです」と語った。

 もしサービス貿易の自由化約束の撤回を申し入れる場合には、アンティグア・バブーダなど損害を受けた国に対して、ペナルティーとして補償措置を講じなければならない。

 アンティグア・バブーダの弁護士マーク・メンデル(Mark Mendel)氏は、米国の主張は先例がなく約束の撤回にあたるので、米国に再考を迫り、損害賠償を求めると述べた。

 アンティグアのL. エロル・コート(L. Errol Cort)財務・経済大臣は、「私たちはもちろん、米国がこのような行動をとる可能性も想定していましたが、率直に言って、それはほとんどないだろうと考えていました。米国が紛争解決のルールを無視して、このような行動をとったことは理解に苦しみます。このことは、グローバルな自由貿易推進に対して重大な 影響をもたらすでしょう」と述べた。

 全米サラブレッド競馬協会(National Thoroughbred Racing Association: NTRA)は、この事態を見守っているが、新たな米国の立場においても、競馬に関してはインターネット賭博が合法であることに変化はないと考えている。

 インターネット賭博禁止法を上程したボブ・グッドラッテ(Bob Goodlatte)下院議員(ヴァージニア選出 共和党)は、米国の立場を賞賛し、次のように語った。

 「米国の反賭博関連法はマネーロンダリング、子供からの搾取、倒産などの好ましくない弊害を抑制するために成立しました。このような法律を制定することは、米国の主権に属する事項です。1993年に取り決められたGATSの協定は、インターネット賭博を想定していなかったはずです」

By Frank Angst

[Thoroughbred Times 2007年5月19日「U.S. withdraws gambling from trade agreements」]


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