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海外競馬ニュース
2018年07月26日  - No.28 - 3

ウェザビーズ社、預託料未払いに悩まされる調教師へ支援サービス提供(イギリス)[その他]


 預託料を支払わない厄介な馬主に悩まされる調教師は、新しく発足した債権回収サービス"グループ1クレジットマネージメント(Group 1 Credit Management:G1CM)"の支援を受けられる。

 G1CM は、ウェザビーズレーシング銀行(Weatherbys Racing Bank 訳注:馬主・調教師・生産者を対象に、競馬全般・セリに関する取引に適した口座や専門知識を提供するウェザビーズ社設立の銀行)と債権回収会社のARリーガルコレクションズ社(AR Legal Collections 代表:アーノ・ルドルフ氏)によって設立された。G1CMは、昨年大ニュースとなったアルシャカブレーシング社(Al Shaqab Racing)の100万ポンド(約1億4,500万円)以上の預託料未払いのような問題に頭を抱える調教師に対し、支援を行う予定である。なお、現在までにアルシャカブレーシング社の負債は完済されている。

  滞納分の預託料を"迅速かつ慎重に"回収することを目指すG1CMに対して、調教師は毎月99ポンド(約1万4,400円)と付加価値税(VAT)を支払う。また、G1CMを通じて新規馬主候補者の財務状態について問い合わせることもできる。

 ウェザビーズレーシング銀行の副理事であるデヴィッド・ハート氏(David Hart)は、以下のように述べている。「調教師の業務は、請求金額の支払い滞納や回収不能金を経験する点において、ほかのビジネスと何ら変わりがありません」。

 「厩舎運営には資金繰りが重要となります。したがって弊行は長年にわたって、馬主から承諾を得て、彼らが弊行に保有する口座から直接支払うことのできる預託料決済サービスを提供してきました。数百人の馬主および調教師がこのサービスを利用しており、大変便利です。私たちは双方にこのサービスの利用を積極的に勧めており、全国調教師連合会(National Trainers Federation: NTF)もこのサービスの認知度を高めるために協力してくれています」。

 「G1CMの設立はさまざまな意味でこのサービスの延長であり、調教師の財務管理を支援します。多忙な調教師が資金繰りを健全な状態に保てるように、信用ある取引のできるサービスを提供します」。

 NTFもこの新しい取組みを支持しており、CEOのルパート・アーノルド(Rupert Arnold)氏は次のように述べている。「私たちは数年来、アーノ・ルドルフ(Arno Rudolf)氏およびその会社と一緒に仕事をしてきました。彼らはこれまでにNTFの多数のメンバーに素晴らしいサービスを提供してくれました。これは前向きな動きです。調教師にG1CMを利用することを勧めるでしょう」。

 「預託料未払いは、調教師がたびたび相談しに来る問題で、私たちは常日頃それについてアドバイスしています。私たちが言いたいことは、調教師は信用ある取引を行う上で、そして預託料を滞納し続ける馬主から自らを守る上で、積極的に行動する必要があるということです。貸金が膨れ上がると回収はどんどん難しくなります」。

 BHA(英国競馬統轄機構)のスポークスマンであるロビン・マウンジー(Robin Mounsey)氏は、こう語った。「債権回収が状況によっては調教師にとって問題となりうることを、BHAは理解しています。それゆえ、これを支援するいかなる取り組みも歓迎されるでしょう」。

 「BHAはすべての馬主と調教師に対して、双方の負担費用を明確にした預託契約を締結することを奨励していきます。そうすれば、意見の食い違いを回避することができ、預託料は期日どおり支払われるでしょう」。

 「競馬は、馬主と調教師の継続的なパートナーシップの上に成り立っています。他にもこの問題に対処する手段が検討されれば、BHAは統轄機関としてそれを支援できるでしょう」。

By Lee Mottershead

(1ポンド=約145円)

(関連記事)海外競馬ニュース 2018年No.2「アルシャカブレーシング社、預託料未払いについて弁明(イギリス・カタール)

[Racing Post 2018年7月12日「Weatherbys steps up fight against non-paying owners」]


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