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2018年06月28日  - No.24 - 2

ダイヤモンドジュビリーS優勝馬マーチャントネイビー、有望種牡馬として浮上(国際)[生産]


 マーチャントネイビー(Merchant Navy 父ファストネットロック)は6月23日(土)、手に汗握る展開のダイヤモンドジュビリーS(G1)を制した。これにより、世界一エキサイティングな有望種牡馬の1頭と認められ、北半球へシャトルされるという可能性も見えてきた。

 マーチャントネイビーは故郷の豪州ではすでにG1優勝馬となっており、フレミントン競馬場でレッドカークウォリアー(Redkirk Warrior)と接戦を繰り広げたことで、かなり重い負担重量が課されていた。同馬は今年前半、世界にその実力をアピールするために、バリードイルのエイダン・オブライエン厩舎に移籍した。そしてダイヤモンドジュビリーSで、間一髪の劇的な勝利を成し遂げたのだ。

 キャリア最後となるこのレースにおいて、マーチャントネイビーは、必死に猛追して首差の勝利を収め、種牡馬としての注目度を高めた。

 クールモアの豪州の拠点は昨年末にマーチャントネイビーの種牡馬入り後の所有権を3,000万豪ドル(約24億円)で購買したと伝えられている。そして、同馬は次の南半球の種付シーズンにNSW州ハンターバレーで種牡馬入りし、種付料は5万5,000豪ドル(約440万円)となる予定。

 しかしダイヤモンドジュビリーSを制したことで、父ファストネットロックと同様に、クールモアのアイルランド拠点に早ければ来年シャトルされる可能性が非常に高い。

 エイダン・オブライエン調教師はこれまでも、優秀な豪州調教馬を北半球で活躍させて南北両半球で期待される種牡馬に変身させてきた経験がある。2010年には、ショワジール産駒のスタースパングルドバナー(Starspangledbanner)でゴールデンジュビリーS(ダイヤモンドジュビリーSの前身)を制している。

 マーチャントネイビーはファストネットロックにとって、35頭目のG1優勝産駒で、7頭目の欧州G1優勝産駒となる。豪州で同馬を手掛けたキアロン・マハー(Ciaron Maher)調教師は2016年イングリス社オーストラリアンイースター1歳セール(シドニー)において、セジェンホースタッド(Segenhoe Stud)が上場していた同馬を、今となっては控え目な価格に思える35万豪ドル(約2,800万円)で購買した。

 マーチャントネイビーは2014年11月、クイーンズランド州のクリス・バーハン(Chris Barhan)氏により生産された。母はG1競走で3着内となったリーガリーベイ(Legally Bay 父スニペッツ)で、半兄にはG2優勝馬のジョリーベイ(Jolie Bay)やステークス3着内馬ザラベイ(Zara Bay)がいる。

 とても人気があり才能豊かな母父スニペッツ(Snippets)は、2002年に死亡するまでアローフィールドスタッド(Arrowfield Stud)で供用され、ステークス勝馬54頭を送り出した。そして、スニペッツの牝馬とファストネットロックの組合せで、他にも2頭のG1馬が出ている。それはアヴァンテージ(Avantage)とウォンテッド(Wanted)である。

 マーチャントネイビーは、ファミリー(牝系)もスピード豊かである。将来アイルランドにシャトルされることになれば、優秀なスプリンターを生産することを望む多くの生産者の気を引くだろう。

 その場合、マーチャントネイビーは英国・アイルランドで供用される3頭目のクールモアスタッドS(G1 フレミントン競馬場)優勝馬となるだろう。他の2頭は、ブレイズンボー(Brazen Beau ダーレーで供用)とゾウスター(Zoustar トゥイーンヒルズスタッドで供用)である。また2011年クールモアスタッドS優勝馬セポイ(Sepoy)も昨年までダーレーにシャトルされていた。近年、クールモアスタッドSの優勝馬は種牡馬としての評価を高めている。


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By Mark Scully

(1豪ドル=約80円)

[Racing Post 2018年6月23日「Merchant Navy sets up dual hemisphere stallion career with Diamond Jubilee win」]


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